さいみんさんのためになるその類のセミナーのお話

さいみん @saimin_echo

大学で悪徳サークルに勧誘されて自己啓発どーのこーの洗脳どねーのこねーの、って記事を見て思い出した。ぼくも昔その類のセミナーを好奇心で入り口だけ経験してきたことがある。思い出しながら書き殴ってみよう。たぶん結構長い話になる。

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【第一章～勧誘編～】 名古屋で仕事してた頃、直属の上司からあるセミナーの受講を勧められた。相手は上司だしビジネス系かなと思ったが、やけに熱心に推してくる。更には当時のプロジェクトの協力会社の偉い人も勧誘に加わってきた。よほどぼくの社会人態度を見兼ねたのか、それともあるいは。

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この時点で既に警戒心バリバリだったぼくは、しかしむしろ悪徳セミナーなら面白そうだと思い説明会を受けることに。あの手の集団はいったいどんな手法でヒヨコちゃん達を洗脳しているのか、そこに興味があった。なぁに敵地だろうがいざとなったら幾らでも対応できる。いざ開催地の大阪へ。

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まぁぶらりと自由に行くつもりでいたのだが、その勧誘上司が「いや俺も一緒に行くよ。案内するよ」と言ってきかない。説明会に同行？わざわざ名古屋－大阪を？なるほどこれもマニュアルの一つかと察し、ホントですかーいやー嬉しいなーと共に説明会の会場、小奇麗なビルに到着。

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用心して入り口近くの席に位置取る。一つだけ危惧していたのが、悪徳セミナーではなく悪徳カルト系の可能性。最悪の場合は2人までならぶん殴って脱出したるよと出入口を見るも、見張り役は立っていなかったのでおそらくただの金儲けセミナーと見て落ち着く。第一章おしまい。章にする必要なかった。

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【第二章～説明会編～】 さて説明会。周囲を伺ってみれば察しがついた。会場内に人は30人ほどいれど、"説明会を受ける人"は半分程度だ。つまり自分のケースと同様、勧誘された人と勧誘した人がペアで来ている。間違いなくマニュアルだ。このペアの手法、後に書くけどとても上手い手法だよ。

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勧誘された人、勧誘した人、そして恐らく元から会場で役割を持っている人も混ざっている。受講者の体を成している人間の半数以上がセミナー側の人間。場をコントロールしやすいことこの上ない。「他の受講者も積極的な態度だから安心できるセミナーだ」と釣られる人も出ることだろう。

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説明会の中身は色んなスピーチと幾つかのレクリエーション。どうせスピーチはくそくだらん内容だろうなと聞き流していたので残念ながら全く覚えてない。レクリエーションは3回あった。対した内容じゃないけど1個ずつ書いていこうか。

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まず最初は皆で自由に歩き回りながら周囲の人と挨拶するというもの。名札を見せながらお互いの名前を言い、時間内に多くの人と挨拶する。これは単に緊張を解くためのものだろう。普通のセミナーでもありそうなものだ。警戒を解くというほどのものではない。

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ここで半数以上がセミナー側の人間というのが活きていた。全員がただの受講者ならまぁあまり上手くいかずボソボソと周囲の僅かな人間と形式的に名前言い合うだけになりそうだけど、半分を占めるセミナー側の人間が偉い活発に積極的に挨拶し回っており、受講者側もポジティブムードができやすい。

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2つ目のレクリエーションは、誰かとペアを組み、完全に無言で3分間ほどお互いを観察しあう。3分間ひたすら無言で座って見つめ合う。そして観察の結果相手がどんな人間か推測し、それを伝えるというもの。これの狙いは正直よく分からない。

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こんな厄介なお題のレクリエーションでなおかつ二人一組なので、普通ならペア作れと言われても皆所在なさ気に立ち止まってしまい進行しにくい。けれども勿論ここでも半数セミナー側の人間ってのが活き、あちら側の人間が素早く受講者に声かけてスムーズに全ペア作られた。

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ちなみにこの時ぼくには若い一人の女の子がすごい勢いで近付いて来てペアに。セミナー側はとかくアクティブすぎて分かりやすい。そして全く知らん女の子と無言で3分間見つめ合った。ひたすら舐め回すようにお互いを観察しあった。どういうサービスだ！ちょっと興奮してしまったわ！

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最後のレクリエーションは5人程のグループになり何かについて話すというもの。成りたい人間像だか何だったかな？ちょっと忘れた。集まった5人組を見てみれば、自分、勧誘上司、受講者、恐らく受講者を勧誘した人、セミナー側のどうも立場が上っぽい人、という構成。恐らくこれも規定事項だろう。

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立場が上っぽい潜入者が会話の主導権を握り、他の潜入者がサポートして、グループ内で細かくポジティブに持っていくのがこのレクリエーションの狙い。自分の勧誘者がいるから警戒を解きやすいし、お題も無垢な人を釣りやすい。締めとしてはなかなか適したレクリエーション。そして説明会は終了。

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【最終章～真勧誘編～】 書き忘れていたけど、セミナーに正式に参加すると費用は20万とかだったかな。アホか。さて説明会も終わったので勧誘者へ結論を出さねばならない。勿論NOだが、ここまで手間をかけて返事1つで逃がすわけにはいかんのだろう、まだまだ必死でアピールしてくる。面白い。

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しっかり話したいと勧誘上司に誘われ、更にセミナー側の人間である協力会社の偉い人まで来て、個室の飲み屋で二時間ほど2人vs1人の状態でお話し。飲み二時間ではなく勧誘二時間、これは実際のところかなりの長さだ。彼らの必死さが伝わってきて実に良い。

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「確かに20万払ってもレベルアップして年収20万上がったらプラスっすねー、うーんでも難しいっすねー」 などと適当にかわしていたから「もう少しでいける！」と誤解させてしまったのかもしれない。しかも相手は直属の上司と協力会社の偉い人、断り辛いだろうという圧力も期待できるのだろう。

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場の空気を読む人、協調性がある人、押しに弱い人、今後の関係性とか考える人、そういった人達になら有効手段なんだろう。バカかよ、そんなん良い子ちゃん相手にやっとけ。飽きた頃に「でもぶっちゃけ胡散臭いっすわー全然信用できねーっすわー」と切り捨てたら話が終わり、偉い人は即座に帰った。

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NOと言えないなんとやらな人は絶対覚えておいてほしいけど、遮断せにゃならん時はせんといかん。会社の人間だからって別に今後なんか知ったこっちゃない、わけわからん関係性を気にして自分が傷負っちゃ駄目なのよね。カスがどうなろうが知らんし自分が一番大事よ。

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この話のオチ。間もなくプロジェクトは終わりその上司チームも解散してぼくは次のプロジェクトへ。半年後にその上司と会議で出会うと、どうやら脱会した様子。「いやーかりすま君はやっぱり賢いね……あのセミナーは良くなかったよ……」いやぼくが賢いというか、あんたがアホなだけだ。

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ということで悪徳セミナーには気をつけましょう。ただ、騙しと気付かせもせず大金を取る手口は実に上手いので、応用する価値はあるかもしれません。無傷で立ち回りきる自信があるなら、変な話ですが手法を吸収するのも手でしょう。もちろん僅かでも不安要素があるなら近寄るべきではありません。