茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1160回「駄目なものは黙って、通りすぎればよい」
- toshi3636_1
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だと(1)昨日、シグマクシスにうかがって、話をした。とても面白かった。斬新なオフィスで、プロジェクタとかでいろいろ映っていて、コーヒーがおいしくて、いい空間だった。イノベーションについてお話したが、その質疑応答のときに、面白いやりとりがあった。
2014-01-31 07:51:04だと(2)ある方が、ある会合に行ったのだけれども、話が通じなかったと言って嘆いていた。それで、ぼくも実はその会合に行っていたのだけれども、確かにダメな感じだったので、「ああ、あれは、ダメでしたね」と言った。それから、こんな話をした。
2014-01-31 07:52:11だと(3)キュレーターの長谷川祐子さんに聞いた話。長谷川さんにとって、批評性とは、いろいろなものに向き合って、「これは違う」「これは違う」「これは違う」と判断を重ね、最後に「ここにあった」と出会う、そのプロセスそのものであると。つまり、自分が動いていくのである。
2014-01-31 07:53:16だと(4)世の中にダメなものはたくさんある。むしろ、良いものの方が少ない。乱読の意味もそこにあるのであって、たくさんの本の中に、光るものはそんなにない。だから、次々と読んで、出会うまで、動いていく。それが、本当の批評性である。長谷川祐子さんのこの原理は、とてもいい。
2014-01-31 07:54:18だと(5)異分野の人とつながろうと思って、何しろその分野のことがわからないから、最初は闇雲に会う。だけど、違和感があって、なかなか「これ」というのがない。そんな時は、文句を言うより、自分が動く。そうすると、いつか、「これだ!」とひらめくものに出会える。あとはかじりついていけばいい
2014-01-31 07:55:28だと(6)美術もそうで、大抵の作品はダメだ。ぼくは、以前Tate Modernで見たデュシャンの「大ガラス」(複製)http://t.co/8OtYuXHo3x が忘れられないけど、そのまわりにあった作品はみんな忘れちまった。
2014-01-31 07:58:08だと(7)デュシャンの「大ガラス」の正式なタイトルは、The Bride Stripped Bare by her Bachelors, Evenで、へんてこりんなのだが、光円錐みたいなものがあって、なんだか胸の奥をぐっと締め付けられるというか、すげえいい感じで、
2014-01-31 07:59:26だと(8)デュシャンの「大ガラス」のことを考えているだけで、人生の時は過ぎていくはずで、ましてや自分が「大ガラス」みたいなものをつくろうとしたら、手を動かして目を利かせて耳を澄ませて、まあ、とにかく忙しいはずだ。だから、ダメなものは黙って、通りすぎればよい。
2014-01-31 08:00:35だと(9)そんなことを、シグマクシスで質問下さった方に私は言ったのだけれども、とにかくダメなものや凡庸なものは世の中にたくさんあるから、たいていの時は放っておくのが良いとぼくは思う。そういえば、東京国立博物館の「松林図」の展示、見損なっちゃったな。あれもとてもいいです。
2014-01-31 08:02:08