『ヘイト・スピーチとは何か』出版記念シンポジウム レポまとめ
十時さん「最初に『ヘイトスピーチ』という言葉を聞いたのは、実はフェミニズムの文脈。石原慎太郎知事の三国人発言を通じてでした。本を作るにあたって、是非女性がいいと思い国会図書館で関連文献を調べて、師岡康子先生にお願いしました」
2014-02-01 14:06:28続いて、パネリスト挨拶。まずは師岡康子さん。ヘイトスピーチの定義について説明。「まだヘイトスピーチの定義について誤解がある。単なるケンカの罵倒表現ではない。少数者、とりわけ社会のなかで構造的に差別されている人々を攻撃する表現をさします」
2014-02-01 14:08:30師岡「例えば『死ね』と友達同士で言われてもたいしたことではないかもしれない。でも朝鮮人に対して同じ言葉が発されると、歴史的・社会的背景をもって人を傷付ける表現となる。生活・人生さえも変えてしまうものだということを知ってもらいたい」
2014-02-01 14:10:59出版記念シンポジウム「ヘイト・スピーチとは何か」。著者の師岡康子さんが報告しています。 http://t.co/wAZbKxJTYa
2014-02-01 14:12:45次に、前田朗さん(法学者・東京造形大教授)「金尚均龍谷大教授らと共に、ヘイトクライム研究会をこの3年ほど主催してます。 主張したいテーゼは2つです。(1)表現の自由を守るためにこそ、ヘイトスピーチを取り締まるべきである(2)民主主義国家では、ヘイトスピーチの処罰は常識である」
2014-02-01 14:17:14前田「(1)について。表現の自由を大切にしなければならないというが、ナチスドイツは口実に戦争宣伝や差別宣伝を行った。そのことを踏まえれば、表現の自由があるからといって処罰できないということにはならない」
2014-02-01 14:18:53前田「(2)について。EU加盟国(イギリス・フランス・ドイツなど)はすべてヘイトスピーチの処罰規定を持っています。このことを出さずに『民主主義』で『表現の自由』があるから、処罰できないというのが日本の憲法学では通説になっている」
2014-02-01 14:21:50田中宏・一橋大学名誉教授「昔、ベトナムの学生が品川に行く途中で『日本人は外国人を「国の害になる人」だと思ってるんですか?と聞かれた。外国人登録証の指紋押捺を問題視しての発言だった」
2014-02-01 14:29:34田中「差別について、この国ではあまり議論されない。外国人は人権擁護委員にもなれない。一度、その件で人権擁護局長を詰めたところ『あ、そうですか』と。この国の差別認識は深刻と思った」 http://t.co/SdncB01foT
2014-02-01 14:34:33田中「感覚的に私達の社会は病んでいて、そうした状態をどう変えていくかが求められている。そのことを示す象徴的な事例がヘイト・スピーチだと思っています」
2014-02-01 14:36:18在日弁護士「弁護士としてこの問題にどう関われるかを考えてきた。最近やっているのは、(人種差別的な)デモを許可するなという申し入れや、カウンター参加者が逮捕されないような支援。ただ、マイノリティ(在日)側としてどう関わるかは考えさせられる」
2014-02-01 14:40:18在日弁護士「彼らに抗議をするにせよ、弁護士の名簿がオープンになってしまったら、自分の家庭や子供が狙われるのではないかと躊躇して名前を出すことを取りやめた弁護士もいる。それでもどうやって関与していくのかについては、色々と議論がある」
2014-02-01 14:42:26在日弁護士「直接的な差別表現を見るようになったのは、1997年頃。当時はごく一部の人がネット上で言っているだけに過ぎなかった。そのときは『そんなことを言っているのは恥ずかしい奴』という認識に過ぎなかった」
2014-02-01 14:45:18在日弁護士「その後差別表現は拡大していったにもかかわらず、国内でそれに対抗できるような教育ができているかというとそうではない。 ヘイトスピーチをどうするかという議論には、本気で取り組まないといけない、というのが(差別を)やられている側の実感」
2014-02-01 14:46:36師岡「私達パネリストの共通認識は、ヘイトスピーチを許すことはできず、何らかの法規制が必要という立場であること。 排外主義者のデモは合法で警察に守られている。むしろ最近では抗議する側が逆に逮捕されているようになってしまっている」
2014-02-01 14:48:45師岡「2005年、東京弁護士会が外国人の権利に関する委員会差別禁止法プロジェクトチームで人種差別撤廃条例要綱試案をつくったが、あくまで有志の『プロジェクト』以上のものではなかった。けれども京都朝鮮学校襲撃事件以降、東京弁護士会や社会の理解も少しずつ変わってきている」
2014-02-01 14:53:04前田「ヘイトスピーチは単なるスピーチではなくて、複合的問題と考えている。マイノリティの表現の自由、政治的権利、経済的権利(新大久保等での商店営業など)公的な場面での参加の権利、等々、さまざまなものが侵害されていく。だから国家・社会はこういうものにきちんと対処しないといけない」
2014-02-01 14:59:24田中「ベトナム戦争後、首脳国によるサミットなどで難民の受け入れに関して、日本は非常に消極的だったことが明らかにされた。 条約=世界の常識だとすれば、日本はそこからズレている。条約を受け入れるならば、国内を『掃除』しないといけない。ベトナム難民のおかげで国の認識が変わった」
2014-02-01 15:06:12在日弁護士「法規制がないと、そもそも話を進めることができない。 例えば民族的マイノリティについて、国のなかでの統計を取ることができない。現在、在日コリアンの人口統計は帰化者統計などから引っ張ってきているが、亡くなった人やダブルの人もいるわけなので、いい加減な数字」
2014-02-01 15:09:08在日弁護士「法規制に関して必要だと思うことは3点。 (1)何が国内法上『違法(=差別)』かを明確にすること (2)条約内容等について検討するための部署を作ること (3)マイノリティが矢面に立たされなくても、問題が解消されるような制度をつくること」
2014-02-01 15:13:02師岡「私自身、法規制について最終的なイメージがあるわけではない。 けれども、今思い描いているのはひとまず『差別禁止法』を制定すること。そのなかに、ヘイトスピーチ規制条項を入れる形にしなければ、法が濫用されてしまう可能性がある」
2014-02-01 15:14:53師岡「まずは禁止法で差別全般が『違法』という認識を明らかにしなければならない。でないと、いたずらなヘイトスピーチ規制とその濫用に陥るだろう」
2014-02-01 15:16:18