夏川草介「神様のカルテ2」まとめ

翔DMWL @shoDMWL

最近この手の患者が増えている。夜中の救急外来にやってきて、腹が痛い、息が苦しいと言っている患者の隣で、平然とシップをくれだのコレステロールを測ってくれだの、ちょっと信じがたい要求をしてくるのだ。どうやら、「救急外来」の頭の二文字が理解できないらしい。－夏川草介「神様のカルテ2」

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当直の恐るべきところは、翌日も朝から通常通りの勤務が始まることである。夜勤の技師や看護師たちが「お疲れさまでした」などと達成感にあふれた顔をして帰っていくのを眺めながら、当直明けの医師は新たな一日と向き合うことになる。－夏川草介「神様のカルテ2」

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新しい意見に対して過去の忍耐を例にあげて反論するのは、思考の硬直した老人の所作である。もはや議論も交渉も成り立たない。－夏川草介「神様のカルテ2」

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「医者は、患者のために命がけで働くべきだという。この国の医療は狂っているんだ。医者が命を削り、家族を捨てて患者のために働くことを美徳とする世界。夜も眠らずぼろぼろになるまで働くことを正義とする世界。主治医？馬鹿を言っちゃいけない。二十四時間受け持ち患者のために駆けずり回るなんて、

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おかしいだろう。僕たちは人間なんだぞ。それでもこの国の人々は、平然と中傷するんだ。夜に駆け付けなかった医師に対して、なぜ来なかったのかと大声をあげるんだ。誰もが狂っていて、しかも誰もが自分が正しいと勘違いをしているんだよ」－夏川草介「神様のカルテ2」

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「私たち医者にとって、患者をとるか、家族をとるかという問題は、いつでも最大の問題です」見返す私に、古狐先生はかすかな苦笑でもって応える。「両方をとれるならそれに越したことはありませんが、現状ではとても叶いませんからね」「だからこそ医療改革が声高に叫ばれるのでしょうが、

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現実を見れば、何一つ変わっていません。残念なことです」「交わされる議論が、いつでも技術や金銭の問題に終始しているからですよ。最初から医者を一人の人間として認識していないのです。医者にも家族がいる。そういう当たり前のことが度外視されているのですから、人間らしい生活というものは、

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容易に手に入りそうにはありませんね」－夏川草介「神様のカルテ2」

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「貴君の年齢で夢なんぞ見つからなくて当たり前だ。『やりたいことを見つけてそこに打ち込んでいくのが人生だ』などということ自体が、ただの幻想なのだから。世の中はそんなに都合よくできてはいない」－夏川草介「神様のカルテ2」

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「目の前にあることを続けていれば、いずれそれが夢へと転ずる。まあ、人生というのはそういうものだ」－夏川草介「神様のカルテ2」

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「先生は、医師である前に人間です。そのことだけは忘れないでください」静かに告げた辰也の声に、切実な何かがあった。－夏川草介「神様のカルテ2」

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「人は必ず死ぬ。わしらがどんなに手を尽くしても、人間は二百歳までは生きられへん。いかに生きるかばっかりが吹聴される世の中やけど、いかに死ぬかっちゅうこともきっちり考えるのが、医者の仕事やで」－夏川草介「神様のカルテ2」

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「医師の話ではない。人間の話をしているのだ！」「我々は人間です。その人間が死んでいくのが病院という場所です。いやしくも一個の人間が生死について語ろうとするならば、手帳も算盤も肩書も投げ捨てて、身一つで言葉を発するべきではありませんか」－夏川草介「神様のカルテ2」

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人が死ぬということはそれで何かが片付くということではない。新たな何かが始まるということですらない。大切な絆がひとつ、失われるということである。そのぽっかりと空いた空虚は何物によっても埋められない。－夏川草介「神様のカルテ2」

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神様のカルテ2（夏川草介）読了。前作より数段パワーアップして内容が充実している続編。医師である前に人間であるという当たり前の事実が忘れ去られている現状を痛感。患者側の意見ばかりごり押ししてはいないか、熟考させられる良書。純粋な涙を誘う場面も多数あります。 #mybooklist