亜欄さんのSSまとめ

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紅藤あらん @alansouki

#ふぁぼした人を名前をあげないでキャラ化してss書く クジができました! では始めます! (生暖かい目で…途中参加の際はこのタグをふぁぼかリプをください

2014-02-01 20:37:42

1 とある地図づくりの日常

紅藤あらん @alansouki

大岩に茶の紙を引いた彼女は、ぐるりと見回してから方位磁石に目を落とす。北を指している方角を見ると地平線の向こうでは海が望めた。 「ここを埋めたら、絶対に向こうへいってやろう」 線を引く指先は真っ黒。茶の紙も彼女の指の動きに合わせて黒へと転じていく。【1】

2014-02-01 20:46:25
紅藤あらん @alansouki

@alansouki 葉を広げる大木、小さな川、獣道にぽつんと建つ掘立小屋、どれもが彼女の紙の中に刻まれる。 「あぁ…お腹すいた…」 情けない音を鳴らす腹を抱えると彼女の身はそのまま倒れた。【2】

2014-02-01 20:49:18

2 憂鬱作家

紅藤あらん @alansouki

噛みしめずに大口を開けて出した欠伸は女を捨てたものだった。ずり下がった眼鏡を直さないまま後ろに伸びをすると。 「……と、うわっちょ…きゃぁあ!」 呻きを埃の舞う部屋で出す彼女はしたたかと打った腰をさすりながら眼鏡を直す。

2014-02-01 21:01:02
紅藤あらん @alansouki

@alansouki 「痛い……」 逆さになった埃舞う部屋。下から上へと流れていくその情景に涙目になった彼女の瞳がどんどんと見開かれていく。 なんだ…世界はまだこんな見方があるじゃないか… 手から滑り落ちたペンを引っ掴み紙に齧り付く。【憂鬱作家・2】

2014-02-01 21:09:49
紅藤あらん @alansouki

@alansouki さっきまでの苦悩が嘘のようにペンが走る。言葉が、浮かぶ。なんでこんなことに詰まっていたのだ、と鼻で笑ってやりたくなるものだ。 「次は大ヒットかしら?」【憂鬱作家・3】

2014-02-01 21:12:47

3 給仕さんの囁き

紅藤あらん @alansouki

酒場の宴は昼間ながら賑やかだった。さっき到着したばかりの冒険者達は、迷宮攻略の成功に歓喜で酔いしれていた。 「お嬢ちゃん、もう一杯!」 「わっかりましたー」 笑顔を振りまきスカートをはためかせる彼女の手には既に酒ビンが握られている。【給仕さんの囁き・1】

2014-02-01 21:21:12
紅藤あらん @alansouki

@alansouki 「今回はどんなところを攻略してきたんですか?」 「聞いてくれるか、俺の大活躍を」 「是非!」 注がれた酒を上機嫌に飲み干した彼は愛想を振りまく給仕に気を許したのか、全てを曝け出した。何があったのか、どこに財宝が眠っているのか。【給仕さんの囁き・2】

2014-02-01 21:26:50
紅藤あらん @alansouki

@alansouki 「かっこいいですね!」 「だろ、後でまた残りを掻っ攫いにいくさ」 「だ、そうですよ。是非取りに行って結婚式あげてください」 「ありがとう…これで彼女を幸せにできるよ」【給仕さんの囁き・3】

2014-02-01 21:32:19
紅藤あらん @alansouki

@alansouki 路地裏で交わされる密会は彼女にとって幸せなこと。 くっ付けない恋なんて、大っ嫌いよ。 舌を出す彼女にはウェデングドレスを着た少女の姿しか映ってなかった。【給仕さんの囁き・4】

2014-02-01 21:34:38

4 スプレーアート

紅藤あらん @alansouki

「またか…」 掃除用具を手に持った老人の眼前に広がるのは空のスプレー缶と壁一面に描かれた海。 「もういっそのこと消さんでいいか、誰も文句は言わんだろう」 【スプレーアート・1】

2014-02-01 21:40:28
紅藤あらん @alansouki

@alansouki 「ゴミ溜めをゴミ溜めのままじゃいけないよ、老人。その判断は最高に俺好きだよ」 掃除用具を抱えたままスラムに消えてく細い老人を逆さにって見つめる少年は、青に汚れた指先で鼻を擦った。【スプレーアート・2】

2014-02-01 21:44:16
紅藤あらん @alansouki

@alansouki 「俺は、さ。描ければいいだけだけど。綺麗な方がやっぱりいいじゃん」 次はどの壁を使おうか。灰色の壁はまだこの街を占拠している【スプレーアート・3】

2014-02-01 21:47:51

5 航海日記

紅藤あらん @alansouki

「肉食いたいです。船長」 「黙れ」 「何で船長、胸肉ないんですかー?」 「ばっかおま」 船員の制止の前に本人からの制裁が下った。頭を抱える部下は眼帯のついてない瞳に涙を湛えた。【航海日記・1】

2014-02-01 21:54:45
紅藤あらん @alansouki

@alansouki 「次言ったら、錨と共に沈めるからなお前」 「すみませんでした……!」 「胸の話はすんなよ……」 「あと身長…」 小さな背はそんなヒソヒソ声に睨みを利かせながら甲板の先へと向かう。【航海日記・2】

2014-02-01 22:09:47
紅藤あらん @alansouki

@alansouki 「野郎ども、肉が食いたきゃお宝だよ!」 腕を組み高らかに宣言する彼女の眼には島が映っている。猛々しい男共の意気込む声に静かに笑った。 【航海日記・3】

2014-02-01 22:12:30

6 求めるモノ

紅藤あらん @alansouki

頬に詰めた食べ物によって彼はリスと化していた。剣士であるがその威厳は全くない。童顔の顔に差した剣は初心者が使うようなもの。実際、旅を始めて彼は日が浅い。【求めるモノ・1】

2014-02-01 22:42:16
紅藤あらん @alansouki

@alansouki 食べることに夢中だった彼は突然目の前から人が飛んでくるのを見て目を剥いた。小さな身体は地面に突っ伏したが、その眼はぎらついている。 「絶対……抱きしめる……」 何を? と思ったのは一瞬で、彼の瞳は彼女の一点に釘付けになった。【求めるモノ・2】

2014-02-01 22:47:43
紅藤あらん @alansouki

@alansouki 彼にとって喉から手が出る程欲しい物が彼女の腰には下がっていた。名刀と言われるそれは、名高い職人が作った刀だった。 「欲しい……」 目をぎらつかせた彼女はかれの熱視線に気づかず、目的の物へ走っていく。 「俺、絶対あいつとパーティ組む!」【求めるモノ・3】

2014-02-01 22:54:54
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