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遠い夏の夜、花火の音。ふわりと揺れる髪が、提灯の光に照らされて輝いた。下駄で器用に走る君を、僕は追いかける。夏祭り、人混みの中。君の長い髪が、あの紺色の浴衣が、消える。夏の夜、花火の音が遠くなる。金魚の絵柄が、水槽に落ちる。君の姿は、花火の下に消えた。 #twnovel
2014-01-26 01:10:23始まる前から失われることを知っていた恋人だから、あの美しい新月の夜が、あれより長かったら見つけてはもらえなかったし、あれより短かったら彼には触れられなかった。きっと、理由を新月に委ねて、甘すぎるほどの後悔に酔いしれることもできなかった。 #twnovel
2014-01-26 01:16:16#twnovel 石畳の道を歩いていた。脇へ小さな路地が現れ、見知らぬ国の文字を掲げた店に戸惑う。香ばしい匂いが辺りに漂った。思わず、店のドアを押す。鈴の音が大きく響いた。「いらっしゃいませ」調理場のほうから声がかかる。姿は見えなかった。さては店主が山猫でないことを祈るばかりだ。
2014-01-26 01:51:54辛いこと。悲しいこと。嫌なこと。無かった事に出来るのよ。嬉しいこと。楽しいこと。幸せなこと。何時までも永遠に。 私、魔法の言葉を知っているの。でも扱いには気を付けて。簡単なもの程、使い方を間違えると恐ろしいのだから。貴方にも教えてあげるわ。その言葉はね、「 #twnovel 」
2014-01-26 02:14:03ねぇ、キスをしよう。彼女は言い、僕は頷かず彼女の口づけを受け入れる。これは、浮気に入るのかな。頭の中でぼんやり考えるが縛られた手足をどうすることも出来ない。どうかこの行為が浮気に入りませんように。僕は願った。それよりも動けるように願うのが先だと僕は後から気づく。#twnovel
2014-01-26 03:57:43何故だか秋の夜長は人恋しいとか寂しくなる感情が俺にもある。誰か傍に居て欲しいと。そんな想いを抱えているとアイツから電話が来た。雑談してたら突然アイツから言われる「話してたら寂しくなくなったよ。でも傍に一緒に居るのが1番いい」うん。俺もお前と同じ気持ちだよ #twnovel #BL
2014-01-26 04:05:08「何考えてたの?」いつものように彼女は唐突に尋ねる。遠慮のない間柄とまではいかなくとも、昔から僕らはそうなのだ。「別に」「女の子のことでしょ?」僕はどんな表情だったか。「そ、君のこと」いつも通り話題を散らして。#twnovel 「いま、なんて」それは言葉になっていなかったけれど。
2014-01-26 04:05:14夜が明けない時間に目が醒めて、暗過ぎる部屋、褥の中で身動ぐ。耳をすませばサーっという雨音が聴覚をせめ立てた。消さなければ。優しい声も暖かな手も柔らかな笑顔も。雨に流して貴女を忘れなければ。貴女を拒絶した僕に、夢ですら逢う資格などないのに何故胸が痛い。 弁望で #twnovel
2014-01-26 04:05:36今すぐ駆け出したい衝動を抑え込む。どうせ眠ってるんだから。そうだよ。いい迷惑だ。我慢しろ。そうやって抑え込む。 でも。 心が欲してる。身体が欲してる。温もりを優しさを。抱き締めてよ、そばに居てよ、苦しい位に抱いてよ。ねえ、ねえ。ねえったら! 涙は出なかった。 #twnovel
2014-01-26 04:13:36剥ぎ取られていると感じたとき、桃の皮をむいているみたいだとだけ思った。何かが果汁のように染み出て意識の輪郭を滲ませて、やはり桃のようだと思った。全て取られて何もかもが滲んで見えなくなったとき、彼が剥ぎ取っていたのは私の自意識だと知る。 #twnovel
2014-01-26 04:16:17「雨や風の強い音は平気なのに雷は怖いのか?」そう訊ねると彼は俯いてこくんと頷いた。雷が鳴るかと構えて少し怯えている姿が何とも愛らしかった。その瞬間、鋭い閃光の後でドーンと地鳴りがする程の雷に遭遇すると2人は思わずお互いの服の袖を掴みながら目をぱちくりとさせていた #twnovel
2014-01-26 04:57:26部屋の中がむし暑くてクーラーを付けっぱなしで寝てたら、いつの間にか彼が帰宅していた。窓を開けていたみたいで心地いい自然の風が吹き抜けていて鈴虫が鳴いている「スーツのまま寝るな」「なら着替えるね」「そのままでいいよ。その姿好きだし飽きたら俺が脱がすから」 #twnovel #BL
2014-01-26 05:24:49最初は顔だった。初めて会ったのだからそこに愛情なんて微塵も無かったのは自覚していた。とにかく彼を早く自分の物にしておきたい…ただそれだけ。彼は砂糖菓子のようにふんわりと笑う。子供で何も考えなしだった俺はもうそれだけで何もいらなかった。それが15歳の冬の恋 #twnovel #BL
2014-01-26 05:31:49初恋の人と付き合って初めて作ってくれた料理は、初お泊まりした翌日に出た朝御飯の卵かけご飯。料理が作れない恋人が一生懸命卵を割ってくれたっけとふと思い出に浸る。その恋人は今になっても相変わらず料理が苦手だ。変わった事と言ったら卵が高級になった事だろうか? #twnovel #BL
2014-01-26 05:36:50高校生の頃は少ない小遣いで電車に乗り色んな所に出掛けた。デートなんて今は大したことじゃないけど当時は大冒険。限られた時間の中はしゃいで疲れる。帰りの電車の中、俺の肩を枕に眠る彼を見ながら思う。俺と居るの楽しい?と少し自意識過剰になり俺は彼の頭を撫でた #twnovel #BL
2014-01-26 05:41:44お互い一人暮らしをしたのは大学生の時。週末どちらかが暇なら家へ泊まる。起きた時のキスは欠かせないけど彼からばかり。たまには俺からもしたい「俺の顔に何か付いてる?」きょとんとしてる彼に自分からキスをしてみる。真っ赤になる彼を見て自分も恥ずかしくなった #twnovel #BL
2014-01-26 05:57:25皆を幸せにする薬を完成させた科学者がいた。彼は薬が簡単に、確実に皆に行き渡る方法を考えに考えた末、そこかしこの水道水の水源へ薬をこっそり入れた。かくして、皆が幸せになった。いつ何時でも幸せだ。でも、皆どこか物足りない。何かが足りない気がするのだ。そう、何か、が。 #twnovel
2014-01-26 06:00:58#twnovel 「本当に」切り出して失敗したと思った。「本当に、さみしくなるよ」ちくしょう。胸のうちで舌打ちし、彼女の出方を待つあいだ僕はずっと、虚ろな本当の収まりどころに苦心していた。「貴方が居なくなったら、私」その本当が彼女を叩きのめす一撃だと知りつつ、振り下ろせないまま。
2014-01-26 06:06:21【聖女2763】・・よろしく頼むと言い聞かせただけあって、最初に邂逅したときの悪感情、それはもちろん、母親を奪われたという幼子には止む無き気持ちであったが、それは克服されて、姉への一途な思いが姿を見せて、一堂の心を揺さぶらずにはいられなかった。 #twnovel
2014-01-26 06:10:05彼の瞳に見蕩れるままに、宇宙の果ての色は、きっとこのように光っていると思うとき、微粒子の集合へと変貌してゆく私。触れられるときが来るのだとしたら、もう、そこから彼に浸透していくしかない予感に、ひとつに溶け込む恐怖と自分を失う歓喜を見つける。 #twnovel
2014-01-26 07:16:18「なんで地球は丸いの?」『だれも一人ぼっちにしないためだよ』「でも丸の反対側にいる人と、あなたが一緒に動いたら、二人はずっと会えないよ」『だから迷った時はじっとしてなきゃだめなの』「それでもみつからなかったら?」『GPSがあるわ』「技術力!」 #twnovel
2014-01-26 08:19:29ブオンブオンブオンと外から聞こえた。「暴走族?」「かもね。でも一人みたい」「こんな時間に勘弁してほしいな」「そうね。でもすぐ静かになるでしょ」妻は言うと窓をカラカラと開ける。ブオンブオンブオ…。音がピタリとやんだ。「ね?」笑う妻の手元には見慣れない銃が一丁。 #twnovel
2014-01-26 08:20:48意識はなかったと言い逃れしても、芽吹く前の身体にはもどれない。裁かれなければいけないとの自覚はあっても、開花してしまうまで時を止めることはできない。それでも、明るい木洩れ日の中でなら、記憶の輪郭を偽って、彼を見つけてしまったことを後悔してもいいのだろうか。 #twnovel
2014-01-26 10:16:22ビー玉を太陽に透かしてみたんだ。理由なんてない、ほんの出来心さ。綺麗だと感じることができればそれで良かった。それなのに、ビー玉の中の世界にもうつろな目をした人間がいたみたい。結局綺麗な世界なんてどこにもないのかもしれない。 #twnovel 諦めた僕は、ビー玉を手放した。
2014-01-26 10:33:00「私も剃った方がいい?」初めてのセックスの後、彼女は聞いてきた。「強制はしないけど…」曖昧に答えた。翌日ショーツを脱がすと彼女にはまだ陰毛があった。少し残念だったが…「待って」立ち上がると彼女は鞄から剃刀とクリームを取り出し「剃りたいでしょ?」と微笑んだ。(完) #twnovel
2014-01-26 10:38:33