- erikarayan
- 7978
- 0
- 1
- 66
0)STAPを勉強すればするほど、これは本当に凄すぎる研究だと思ったので、理解が間違っているかもしれないのを承知で、内容を出来る限りの日常語でまとめて置きたいと思う。
2014-02-02 17:06:231)受精卵は他人の胎盤であってもそこにとりついて赤ちゃんになる事が出来、更にその赤ちゃんが大きくなって子供を生む事もできるという能力を持っており、この性質を全能性という。iPS細胞でも、3つの胚葉(内、中、外胚葉)を作れるという多能性は持てたが胎盤にとりつくことはできなかった。
2014-02-02 17:06:402)胎盤にとりつけるという事は、免疫機構を持つ生物にとっては、大変な能力で遺伝子の異なる他の生体を免疫が攻撃しないという事で、受精卵にだけ許されていた能力だ。でないと親と遺伝子の異なる赤ちゃんはお母さんと臍の尾で繋がっていることはできないからだ。
2014-02-02 17:07:063)免疫機能の無い、植物には全能性がある事はよく知られている。例えば切り取ったニンジンの一部を培養すると新しいニンジンができる。ところが哺乳類の分化した細胞(他の細胞になれない体細胞)が全能性を再獲得するなんて、「分子生物学の歴史を冒涜するデマ」と叱られる程の事だったのだ。
2014-02-02 17:07:364) http://t.co/rjY5kcuzUt によれば、小保方博士は、細胞にとって過酷な状況(pH5.7という酸性、ストレプトリシンOというバクテリア毒で細胞膜に穴を空ける、粉砕する?(Trituration)等のどれか)に晒す事で、様々な体細胞が多能性を再獲得したという。
2014-02-02 17:08:475)小保方グループが凄いのは、誹謗中傷とも言える程の批判を受けても(受けたため?)、この「刺激による多能性獲得」現象を、これでもかという程に証明して見せた所だ。そのやり方は、分化して多能性を持たなくなったT細胞を使うという方法と、その変化の一部始終を追いかけるという方法だ。
2014-02-02 17:09:316)以下3ツイはこのT細胞の話だ。 我々の細胞には、個人(個体)を識別するMHC分子というものを細胞表面に出しており、T細胞というやつは、このMHC分子が自分以外の細胞であった場合にこれを攻撃するTCRという分子を持っている。このMHC分子は親子と言えども全く異なる識別子なのだ。
2014-02-02 17:09:547)心臓の上にある胸腺という臓器で、それぞれ異なるMHCに結合する膨大な種類のT細胞ができるが、誤って個体自身にきっちり結合する細胞ができてしまったらそのT細胞は危険因子として自殺を命じられる。そのMHCにも全く結合する気配の無いT細胞は、再度TCRを作るチャンスを与えられる。
2014-02-02 17:10:208)このように、自分の体を攻撃する事は無いが、他の細胞は攻撃する能力を持ったT細胞はエリートT細胞として体内に出ていく前に遺伝子再構成を行う事で、一つのT細胞は特定のMHC(例えば細胞内に入ったウィルスが作るMHC)を持つ細胞を攻撃するTCRを持っている。全くよくできた仕掛けだ。
2014-02-02 17:11:039)T細胞のこの能力は、ウィルスに感染した細胞を攻撃したり体内に侵入した外敵の細胞を攻撃する我々の頼もしい味方だが、親と遺伝子の異なる受精卵にとってはたまったものではない。何故、受精卵がこの免疫の攻撃を受けないのかは未だに謎であるが、兎に角、全能性を持つという事は大変な事なのだ。
2014-02-02 17:11:2210)多能性を持つ細胞には、その細胞行く末を決める転写因子群のどれを駆動するかを制御するOct4遺伝子が発現している。細胞の多能性を維持する為に(幹細胞でいるために)Oct4の発現は必要なのだ。だからこの発生の門番であるOct4の発現の検出で細胞が多能性を持つかどうかが分かる。
2014-02-02 17:12:5611)小保方グループは、Oct4遺伝子が発現すると緑色になるマウス(Oct4::GFPマウス)を遺伝子操作で作っておき、緑になるかどうかで多能性を確認できるようにした。GFPは下村脩が発見した、青い光をあてると緑色(509nm)の蛍光を発するオワンクラゲから採った蛍光タンパクだ。
2014-02-02 17:13:3612)この多能性細胞が生まれると蛍のように光るマウスを使い、CD45というT細胞になった事が分かる分子マーカーで分化済みのT細胞を確認しつつ、CD45の発現が消え、代わりに緑色に変わる一部始終を観察した。「CD45⇒Oct4-GFPの緑」で「T細胞⇒多能性細胞」を示すというわけ。
2014-02-02 17:15:5413)このように、色々な遺伝子の発現の様子の一部始終を観察し続ける手法をライブイメージング法というのだそうだが、 http://t.co/890nlqJ2lp に並んでいる動画を見て欲しい。少しずつ、大きめのT細胞が緑で小さなSTAP細胞に変わる様子を見る事ができる。
2014-02-02 17:16:1914)後は、得られた多能性細胞が、元から多能性を有する幹細胞が誤って最初の試料に混じっていた可能性を排除しなければならないが、これは、T細胞はTCR分子に再構成が起こるという仕組みを使った。つまり、STAPがこのような再構成された遺伝子の痕跡を有していることを確認したのだ。
2014-02-02 17:16:4015)もちろん、彼らは、どれだけの割合でこの再初期化が起こるのかも明らかにしており、流体中に物質を漂わせこれの光量を測るというフローサイトメトリーという方法で分化する細胞の割合がiPSに比べて多い事も分かった。(ぽよはね、ココの理解は自信が無い。後ではっきりさせるからね。)
2014-02-02 17:18:2216)STAPは、あまり分裂しない(自発的に変わる)細胞であるため、増やすのが難しかった問題も、副腎皮質刺激ホルモンを使った専用の培養液を開発する事で、大きな細胞株を作る事にも成功したという。
2014-02-02 17:18:4517)しかも100%のキメラ(全ての細胞がSTAP由来)も作成されている⇒ http://t.co/9y1raAiIEz このように、STAPはまさに「人工的に」作るiPSとも、その作られ方が本質的に異なるのだ。STAPには、よい勉強をさせてもらった。
2014-02-02 17:19:3218)ぽよは、このSTAPの勉強を通して、生命というのは、細胞分化という繁栄の戦略と、再初期化という天変地異のような事件に対するリスク対応の能力の狭間で存在する絶妙な存在なのだという認識を新たにすることができた。ありがたいことだ。
2014-02-02 17:20:0219)今後、生命には、何故このような仕掛けが存在しているのか? また、酸性や、細胞膜への穴あけ等のストレスが、どのような分子機構で細胞の再初期化を引き起こすのかが問題となるだろう。
2014-02-02 17:20:1820)ところで、こんな歴史的な出来事に出会った時こそ、小中高生にとっては絶好の学びのチャンスなのだと思う。だから色々な分かりやすい解説記事が新聞、雑誌に掲載されるべきだと思う。ところが、割烹着だの女子力だの、どうでもいい事ばかりで情報源を一杯にするのは、一体どういうつもりなのだ?
2014-02-02 17:20:4721)本当に、新聞&TVメディアは中高生を舐めていると思う。全く腹立たしい。全くの役立たずだ。皆、新聞やTVなぞ無視して原論文を学ぼう。3千円ぐらいだしお父さんに買ってもらおう。ネットでもいい。ネットはワクワクする知識の宝庫だ。新聞雑誌TVにお金を出すのはもったいないよ。
2014-02-02 17:21:1722)(おまけ)STAPって限りなく全能性細胞に近いけど、それでも多能性(STAPのPはPlentyなんかと同じ語源のpluripotent=多能)というのは、やはり追試などを経て完全なものにできていないという認識かしら??
2014-02-02 17:36:58ですね。plural potentialですものね。 RT @y_mizuno: ところでSTAPのPは英単語の複数形のplural(プリュァラル)って言葉で高校生も知っているハズの単語かも。多くの英和辞典で複数形に pl. って書いてある、あれですよね。
2014-02-03 01:06:42