創作と設定、そして専門知識の関係とは、とある漫画家の呟き

 漫画家のマッキ(@macchiMC72)氏が今までやってきた経験を元に創作に於ける設定や専門知識はどう扱うのがベターなのか、を呟いていたのをまとめました。
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松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

さっきロケット祭りの笹本先生のツイートを見ていてつくづく思ったのは、ディープな知識ってのは両刃の刃だなあということ。ある分野における知識というのはアドバンテージとして作用するけど、ある一線を越えるとイマジネーションを否定する凶器にも変わる。

2010-10-24 23:37:30
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

ちなみにそのロケット祭りの会話はすごく面白かったです。面白かったと同時に専門知識ってのは見栄えのするイマジネーションをことごとく否定しかねないものだと感じました。

2010-10-24 23:40:13
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

そういう刃が自分の作品に向くと、描けなくなるってのは恐ろしい事です。専門知識を駆使した分野を端から否定する編集者が少なくないのもそういったリスクを慮っての事でしょう。

2010-10-24 23:42:08
Хаями🍥Расэндзин @RASENJIN

@macchiMC72 僕はわりと好きな分野でも自作の邪魔にならない(……と思う)方です。TRPGよくやっているおかげかなという気もします。自分だけが知っているこだわりを前面に出しても皆と楽しめませんから。

2010-10-24 23:45:19
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

自分も新人の頃は自縄自縛に陥っていて、なんかアイデアを出すと「こんなのありえない」とか「こういうのはつっ込まれるよな」とか勝手に可能性をつぶしていました。その辺を是正してくれたのが最初の師匠なのです。

2010-10-24 23:47:08
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

@RASENJIN 自分も今では面白さ優先が身についているので、マニアが頭を抱えるアイデアを平気で使えるようになりました(笑)読んでいる人のごく一部だけを楽しませても意味無いですからね~。

2010-10-24 23:49:21
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

その師匠はド新人の自分のネームをわざわざ添削してくれた恩人です。その先生のポリシーは「面白さ優先」。自分の頭でっかちな部分がどんどん否定されるうちに考え方が変わっていきました。

2010-10-24 23:51:17
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

設定や考証に縛られるのではなく、それをどう活かすか、むしろおちょくるぐらいの大胆さが必要だと学んだのです。一言で言うと、「ルールは俺だ」ってヤツですね(^^;

2010-10-24 23:54:12
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

その上で、考証や設定とのすり合わせを楽しむ。作劇上必要なら無視する。逆に大きな嘘をつくために細かいリアルを蒔いておく。そんな基本をその師匠からは学びました。

2010-10-24 23:57:35
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

専門知識を深める事に怖さは感じますが、逆にそれをもてあそぶ楽しみも知っているつもりです。まあそれでも友人からツッコミをいただくこと多数ですが(^^  一つ分かったのは「知らずにつく嘘」と「知っていてつく嘘」には大きな差があること。

2010-10-25 00:03:24
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

「知らないのにつく嘘」は、興味も無い分野の漫画を描く事になってしまった新人にありがちなことですが、これをろくな下調べもさせずに描かせる編集者がいるのは悲しい事です。当然ちょっとでもかじった事のある人は騙せないし、素人にすら足元を見られてしまう。

2010-10-25 00:08:09
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

描かせる側の論理としては、手垢のついていない視点で描かせたほうが読者の立場に近くなるから云々・・・らしいのですが、作り手側が読者と同レベルでどうやって楽しませるんだよと(^^;

2010-10-25 00:11:08
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

基本フィクションを読む楽しみの一つに「知らなかった事を知る」というものがあって、これはトリビアにも通じる娯楽の重要な要素なんですが、これは単に知識を並べるだけでは「へー」と言ってもらい辛いものでもあります。

2010-10-25 00:32:25
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

劇中で知識を言わせるだけというのは下策でしかなく、そのトリビアを噛み砕いて語る手管が必要になるのですが、これはそのテーマとしている分野を知らない(あるいは興味が無い)人間にとっては非常に難しい。

2010-10-25 00:34:08
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

ですからそういう場合はベテラン作家などはブレーンを雇ったりします。でも新人にはそんなこと出来る訳もない。詳しい人が身近にいれば別ですけど。取材などに行ければ良い方で、下手すると数冊の資料を渡されて描かされたりします。これでは良いものが書けるはずもない。

2010-10-25 00:37:18
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

思い入れがあったほうが、モチベーション的にも良い物が描けると思うのですが、先ほどの「読者の視点を持った何も知らないヤツに描かせたほうがいい」という一種の信仰は少なからず編集者の中に存在します。

2010-10-25 00:40:07
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

もちろん、そのパターンで成功した作品(例:六三四の剣)はありますが、そういう例が語られるのは成功例が少ないから。

2010-10-25 00:41:48
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

実際には、「好きこそ物の上手なれ」で成功した人の方が良いものを沢山世に出しているのです。必要なのは、その専門知識や思い入れをコントロールする事。だから「両刃の刃」なのです。

2010-10-25 00:43:35
松田未来 コミティア146 C50b 「翼駆人アラン 第Ⅵ章」 @macchiMC72

知っているからこそ、読者の視点を鑑みてコントロールできる、というのが自分の信念です。ですが、漫画に限らず「素人の視点」を盲信する考え方は根強くありますね。新聞記者が専門的知識を持てないのも同じ理由と聞きました。親しみやすさと視点が素人と同じというのは違うはずなんですけどね。

2010-10-25 00:47:27