10周年のSPコンテンツ!
157
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
『ビックリマンシール』や『SDガンダム』、『ストリートファイターⅡ』などに続いて、同じく80~90年代に日本で大流行したクリスチャン・ラッセンの絵をイラストレーターとして分析してみようと思います。
▼過去のまとめ
ツイートまとめ イラストレーター・中村佑介氏による『ビックリマンに見るイラストレーションの力と可能性』の話。 2014.01.24 に『SDガンダム』に関する記述を追記。 172699 pv 3949 216 users 624
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
と言っても、いまの若い方にとっては名前を聞いただけでは、なかなか馴染みがないと思うので、まずはクリスチャン・ラッセンの作品の紹介。今でも時々ジグソーパズルや展覧会で見かける、極彩色で塗られたリアルタッチの海の絵が多いです。 http://t.co/8x4m4gLdZe
拡大
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
存在的には今だと片岡鶴太郎さんの作品の立ち位置が近いと思います。タッチではなく、イラストレーションでもないのに世俗的な絵画という部分です。そのイルカの絵が80年代には本当にブームで、画集1冊も持っていないような絵に縁遠い家庭にも、必ずなんらかの形で1枚はあったほどです。
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
それだけ日本全土に浸透したのに、なぜか絵に経験や知識のある人からはあまり良く思われず軽んじられてきたラッセンの作品。それは断りにくい展覧会会場での絵の売り方に原因があったように思いますが、だからと言って作品の質はどうなのか?本当に強引なだけで人々は買ってしまったのか?
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
まずラッセンの作品が当時の人に好まれた下地として、イルカ、スキューバダイビング、エコブーム。今考えるとファッションに近いと思うのですが、当時の車にはよく、イルカのステッカーや、"地球を守ろう"といったメッセージのステッカーがよく貼っており、ラッセンの作品モチーフと重なります。
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
そして、ビックリマンの章でも少しご紹介しましたが"スーパーリアル"という主に無機物(車や工業製品など)を描く為によく使用されていたグラデーションを使った塗り方で、有機物(海や生物)を描いた新鮮さ。(※図は空山基さんの作品) http://t.co/nHOnqIDLRV
拡大
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
絵にあまり知識や関心のない人にとっては、それこそビックリマンシールのようなシンプルな線で描かれた絵より、漫画『北斗の拳』のようなたくさん影の描かれた絵の方が、"手が込んでいる=金銭的価値がある"と思いやすいです。
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
例えば、実際にかかった時間や各作品の意図は置いといて、同じ女性が描かれた作品でも、「ピカソ(図:左)はわからないけど、ルノワール(図:右)は綺麗!」という人は多いです。ラッセン作品も当時では非常にわかりやすい高価さを持っていました。 http://t.co/QByAZJKY62
拡大
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
またそのスーパーリアルなグラデーションで塗られたネオンカラーのような艶っぽい色彩も、80年代の流行もありましたが、もっと以前の日本人までも本能的に引きつけるような特徴だった気がします。何かの色彩に似ていると思いませんか? http://t.co/KxqbioSn0k
拡大
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
"ヤン車"と呼ばれる改造車に使われる色によく似ています。ヒョウ柄やゴールドなどの新しい流行りはあるものの、基本的には今もあまり変化することがない事から、日本人を根源的に引きつける色彩だと思います。 http://t.co/WMKcjs3DTT
拡大
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
(※日本人とヤンキー文化のもう少し深い説明・考察については、五十嵐太郎・編著『ヤンキー文化論序説』や斎藤環・著『世界が土曜の夜の夢なら』をご参照下さい。)
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
そして構図の面でも、恐らく偶然にもラッセン作品は日本人の心をくすぐる面白い要素を持っていました。普通の絵ならどこかはトリミング(カット)されるような、空、山、海、地面(海底)、動物、植物がひとつの画面に。これって何かに似ていませんか? http://t.co/NtoxdccPsN
拡大
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
答えは"スノードーム"です。これは海がモチーフなのでよりわかりやすいですが、私たち日本人は狭い土地柄もあってか、古くは盆栽、子供の時にはミニチュア家具、そしてお土産にスノードームという、世界を手のひらに収めたようなものが大好きです。 http://t.co/gA9nYlkrdW
拡大
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
今度は逆にスノードーム側から見てみましょう。これ(図:左)なんかラッセンと同時代に流行したヒロ・ヤマガタさんの作品(図:右)に似ていると思いませんか。共通しているのは1画面に全ての要素が入ってい小宇宙感というかミニチュア感です。 http://t.co/h9f1TVzXkh
拡大
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
何も"小宇宙"とは比喩でもなく、この作品なんてもう空を通り越して宇宙まで入っています。以上の様々な要素が非常に奇跡的なバランスで"ちょうどいい感じ"に1枚にまとまっているのだから、世間に受けたのも頷ける話なのです。しかし… http://t.co/1Dd4mx4RP6
拡大
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
しかしそれらの"ウケる要素"はどちらかというと"イラストレーション"の必須条件であり、もしラッセンの作品が"アート"なのだとしたら、それ以上に作者の内面を深く表現したり、社会に問題定義をしていたとしても個人的に働きかけなければいけないのかもしれません。
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
もっとぶっちゃけて言ってしまうと「アートと名乗ってる割に難しくなさそう」なんです。ラッセンがイラストかアートかの論議はさておき、主に展覧会で絵を売っている以上、ラッセンは"アーティスト"と捉えられます。それに対し商品に絵が使われる(絵自体は売らない)が"イラストレーター"です。
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
それが当時、ブームと同時に非難も受けていた大きな理由なんだろうと思います。
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
例えば同じリアルタッチでアメリカの大衆の絵として、また日本でも広く愛されたノーマン・ロックウェルの非難を聞かないのは、彼はあくまで"画家"や"イラストレーター"とは言っても、決して"アーティスト"と名乗らなかったからだと思います。 http://t.co/LYadF26Mil
拡大
中村佑介🎨8/16~9/1福岡展 @kazekissa
つまり僕の結論としては、時代の流行で絵画作品として額がつけられて売られただけで、ラッセンはイラストレーターだったのではないかということです。と聞いても、当の本人は「そんな難しいことどっちでも良くない?強い奴が勝ち!!」とどこ吹く風かもしれません。
残りを読む(9)

コメント

BUFF @geishawaltz 2014年2月4日
大野左紀子さんのブログにあったラッセンについての文章と併せて読むと面白さ倍増かしら。
酔宵堂 @Swishwood 2014年2月4日
箱庭感と云う点では山口晃あたりにも通じるものがあるってことでしょうか
もといのうない @MotoiNounai 2014年2月4日
ヤン車をして日本人を根源から引き付ける色彩というのはどうかなあ。過激な装飾を競い合うヤン車のテンプレは80年代に出来上がり今に至るので、ラッセンとツッパリヤンキーが同じ80年代のセンスなのではという気が。
もこ @mocomb 2014年2月4日
ヤンキー的色彩、ヤンキー的世界観へ持っていきたかったんだろうな、というのはわかるけど根源的にひきつけるものとしてヤン車を挙げるのには違和感がある。
雑草スレイヤー@神奈川(武蔵)←→東京←→神奈川(相模) @gc_cic 2014年2月5日
ヤンキーという職業というのは非常に新しい発想ですね。
ログインして広告を非表示にする
ログインして広告を非表示にする