茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1164回「メディアの、中立性とは何か?」

脳科学者・茂木健一郎さんの2月4日の連続ツイート。 本日は、メディアについて。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1164回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、メディアについて。

2014-02-04 07:02:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

めち(1)アメリカで、最近、ネット・ニュートラリティがまた話題になっている。インターネットが、すべての情報を、その内容や発信者に関係なく、平等に扱うという原則。多くのネット関係企業や、情報発信者が、そのような原則を連邦政府が維持することを求めている。

2014-02-04 07:05:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

めち(2)インターネットでは、さまざまな立場の人がさまざまな意見を言い、また、その多様性もロング・テールであり、虹色と言ってよいくらいのさまざまな主張がある。そのような複雑性こそがネットの特徴であり、ネット及びそれに促された経済の発展の維持のためにも、中立性を保つべきだ。

2014-02-04 07:06:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

めち(3)ところで、ネット・ニュートラリティにおける「中立性」とは、とんがった意見を封じることではないことに注目したい。どんなに極端な意見でも、それが流通することを妨げるのではなく、むしろ、流通することを保証することで、全体としてのバランスを保っている。

2014-02-04 07:07:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

めち(4)統計的分布で言えば、真ん中あたりだけを流通させるのが「中立性」ではない。むしろ、さまざまな意見を反映させて、その全体としてバランスをとるのが、「中立性」である。つまり、0.3や-.5のような微温的な主張だけでなく、+78や-64のような主張を通し、全体としてゼロにする。

2014-02-04 07:08:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

めち(5)このような、多様性のスペクトラムを担保した上での中立性、という原則から、日本の伝統的メディアは遠い場所にあるようである。さまざまな主張を流し、全体としてバランスをとるというよりは、個別の主張が微温的になるように自己規制して、それが「中立性」だと勘違いしている。

2014-02-04 07:10:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

めち(6)都知事選の間に、「原発」に関する主張、議論を控えるようにという動きが、一部の伝統的メディアにあったと伝えられている。これは、「中立性」概念の誤解によるもので、当たり障りのない主張だけを伝えることは、本来の意味でのメディアの中立性ではない。

2014-02-04 07:11:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

めち(7)今回の都知事選が典型だが、伝統的メディアが、個々の主張ではなく、それを微温化した主張のみを伝えることによって、結局、既存の、保守的な立場が温存される結果になることが多い。つまり、伝統的メディアは、有権者の選択に資する実質的ダイナミクスとなることを放棄している。

2014-02-04 07:12:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

めち(8)アメリカ大統領選における討論のような、選挙結果を実質的に左右するhigh stakesの機会を一切提供せず、各候補が花鳥風月のごとく微温的に並ぶだけの日本のテレビ、新聞は、結局、現状維持、恒常性追認の機能だけを果たしているだけで、本来のメディアの中立性からはほど遠い。

2014-02-04 07:14:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

めち(9)本来、メディアは、各候補の主張をその生の勢いのままに伝え、それが激突し、止揚する「坩堝」となるべきで、それこそが中立性なのに、縁側でお茶を飲んでいるだけの存在になっている。ネットの持つ中立性と、伝統的メディアの誤った「中立性」概念を、一度反省的に比較してみるべきだ。

2014-02-04 07:16:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1164回「メデイアの、中立性とは何か?」でした。

2014-02-04 07:16:32