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リムストーン心理研究所 http://t.co/ZNXFuWqkq2 スカイプにて各種人生相談、発達障害、うつ病、統合失調症対応カウンセリングを行っております
2014-02-01 13:49:37「ホームレスになれだと?」 引きこもりは我が耳を疑った。 「ホームレスになってまで詰んだ町を離れて、そこで再就職先を見つけろって、 あんたはそういうのか?」 『ええ、そうです』 「ふふ」 岬66
2014-02-04 13:27:42引きこもりは冷笑しながら立ち上がった。 事実上、自分の勝ちだと思った。 登山男の論理は常軌を逸していた。 彼が単に自分の偏狭な価値観を押し付けようとしているのか、あるいは最初からからかいにきていたのか、それとも他に何らかの目的があるのか 岬67
2014-02-04 13:29:29その意図はまったく読めなかったが、少なくとも「引越し先が見つけられないのならばホームレスになってしまえばいい」 などとのたまう輩をまともに相手にしてやる必要はないのだ。 この時点で議論は破綻した。 岬68
2014-02-04 13:30:12相手方の一方的な落ち度により続行不可能となったのだ。 あとは、その事実を態度で見せつけてやればよい。 どうやら少々頭のおかしい男のようではあるが、 わずかなりとも思考能力が残されているなら、次第に場の空気と己が犯した過ちを察し、 岬69
2014-02-04 13:31:00恥のあまりいたたまれない気持ちにならざるを得ないはずであった。 引きこもりはそう考えるとバス停の椅子から立ち上がり 腰に手をあて周囲の風景に見入っているそぶりを装った。 岬70
2014-02-04 13:31:49引きこもりは無言を貫き登山男との対話にはもうそれ以上応じない意思を明確にした。 登山男も無言であった。 60秒ほどそのままの状態が続き、そろそろ奴に与えた効果を確かめようかと、引きこもりは登山男のほうへ振り返った。 岬71
2014-02-04 13:32:45登山男はニヤニヤ笑っていた。 『ホームレスになればよかったではないですか』 登山男はまったく同じ文言を続けた。 引きこもりはこれはもう殴るしかないと考えた。 岬72
2014-02-04 13:33:24しかしながら彼自身には腕力も、実際に人に暴力を振るった経験もなかったため、結局歯軋りするのみで踏みとどまった。 心の奥底にはどこまで挑発されても自分はこうなのだろうと冷ややかに諦念を決め込む彼の分身がいた。 岬73
2014-02-04 13:34:11「ホームレスになれだって?」 いたしかたなく引きこもりは議論を再開した。 こうなれば理詰めでとことん追い詰めてやるより他ないと考えた。 「ホームレスになどなってまで、生きられるわけないじゃないか」 岬74
2014-02-04 13:34:58『なぜです?日本は砂漠でも北極でもありません。屋根がないからといってそう簡単に人は死なない』 「いやそうかもしれないが、そんな話をしているのではない。ホームレスにまで零落れるだなんて人として 悲しすぎるじゃないか」 岬75
2014-02-04 13:35:40「そこまでして生きていたい気になる人間などいるものか。 ホームレスになどなるくらいなら死んだほうがずっとましだ」 『冒涜ですな』 そこで登山男の瞳が異様なまでに黒光りした。 岬76
2014-02-04 13:36:19