くみかおる、『アマデウス』を語る

英語の学習教材として、というよりは単に好きな映画として語ります。
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It happens sometimes @ElementaryGard

"Do you have pupils?" "I don't have pupils. They get in the way. I have to have time for composition" "Composition does not pay, you know."

2014-02-03 21:27:42
It happens sometimes @ElementaryGard

映画『アマデウス』でパパ・モーツァルトが神の子である息子とこんなやり取りをしていました。 「弟子は取らんのか」 「弟子なんていません。邪魔だし。作曲に集中したいから」 「作曲は金にならんだろうが」

2014-02-03 21:29:53
It happens sometimes @ElementaryGard

あの映画が心憎いのは、こういう何気ない会話から、あの時代のウィーンの音楽界がどう回っているのか観客に分からせる仕掛けがあちこちにあること。

2014-02-03 21:32:47
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主人公サリエリの屋敷は豪華。マリリン・モンローみたいなグラマーな声楽歌手にお稽古をつけ、宮廷では皇帝陛下のピアノの先生。裕福な生徒を何人も持つことで豊かに暮らしていることが映像でわかってしまう。

2014-02-03 21:35:34
It happens sometimes @ElementaryGard

モーツァルトの屋敷はそんなに豪華ではなくて、召使もいない。お父様がやってきて「生徒を持たないのか。作曲では食べていけん」と苦言。この一言で、サリエリのような連中がどううまく世渡りしているか、ウィーン音楽界がどう回っているかが観客には理解される。

2014-02-03 21:38:47
It happens sometimes @ElementaryGard

皇帝が姪っ子(むろん姫様です)のために音楽教師をつけようと考え、モーツァルトの名を出す。サリエリはカチンときて、それでも表面はにこやかにこう言い返す。「陛下がえこ贔屓をされていると世間で思われはしないか心配です」

2014-02-03 21:41:21
It happens sometimes @ElementaryGard

"That's an interesting idea, but my concern is to protect you from any hint of favoritism."右の馬に乗ってるのが皇帝で、後ろにいるのは宮内長官。 http://t.co/LQOa8ZEicD

2014-02-03 21:50:47
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It happens sometimes @ElementaryGard

なぜ右に宮内長官が写っているか、わかるでしょうか?

2014-02-03 21:51:42
It happens sometimes @ElementaryGard

これはですね、世間の目の象徴なんですよ。「サリエリの奴、家庭教師の話がモーツァルトに行くと知って嫉妬して妨害したんだぜ」と言われたくないので、サリエリは作り笑顔で「陛下がモーツァルトにえこ贔屓されてると世間に思われはしませんか」と、うまく理屈づけて反対しているのです。

2014-02-03 21:55:01
It happens sometimes @ElementaryGard

皇帝陛下、馬の上で納得してしまいます。「えこ贔屓ね」と。余談ですが左側に木の幹が写っているのは偶然ではありません。これも映像言語として計算されたものです。 http://t.co/1xGoK13UYX

2014-02-03 22:01:27
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It happens sometimes @ElementaryGard

ここでシーンが切り替わる。「これは何なんです」と怒り顔のモーツァルト。 http://t.co/8UlTGymgDn

2014-02-03 22:03:36
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It happens sometimes @ElementaryGard

宮内長官です。サリエリと皇帝のやり取りを第三者として見聞きし、皇帝と同じく「なるほど」と思った(と思われる)ひとです。「何ですとは何だね」と動じない。 http://t.co/PKmlajYBb1

2014-02-03 22:05:55
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It happens sometimes @ElementaryGard

「13の小娘を教えるのに自作を委員会に提出して審査を受けろ、ですと?」 http://t.co/tfLw3tyGjx

2014-02-03 22:07:21
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It happens sometimes @ElementaryGard

宮内長官は、世間の目の象徴であると同時に、モーツァルトが作品提出を義務付けられて怒るシーンへの繋ぎ役でもあるのです。審査を受けさせるという案が誰によってどう出され、皇帝に承認されたかの工程をすぱっと省略して、怒るモーツァルトの姿に話を進められるから。

2014-02-03 22:14:12
It happens sometimes @ElementaryGard

この歯切れの良さ、改めて惚れ惚れします。

2014-02-03 22:16:20
It happens sometimes @ElementaryGard

映画やドラマやアニメで外国語を学ぶときは、こうやって脚本や演出技法にまで踏み込んで味わえるとより身につく。

2014-02-03 22:18:02