『ラストエンペラー』を分析しよう  坂本龍一の作曲技法

予告編です。
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It happens sometimes @ElementaryGard

『ラストエンペラー』のあの美しい旋律部を弾いてみた。和声進行の謎が改めて解けた気がする。マイナーコード+サブドミナント・コード。イ短調でいえばCとGはけっして鳴らさず、メジャーコードはFのみ。サブドミは独特の浮遊感があってメジャーにしてはどこかマイナー臭がある。

2014-02-05 11:10:38
It happens sometimes @ElementaryGard

そしてドから全音階上昇して1オクターヴ高いドまで一小節ごとに上がっていくラインが和声進行のなかにそっと仕込まれている。旋律はラで始まりラの引力に抗って登ろうとして最後はラに引き戻される感じ。一方で和声はドから上のドへ坂を上がっていく。監獄皇帝の、自由への強い憧れのように・・・

2014-02-05 11:14:08
It happens sometimes @ElementaryGard

旋律の基本形はAm→Am7→Am。コードじゃないですよ旋律の骨格となる音を和声化するとこうなるってことです。これ『炎のたからもの』の旋律に通じる。

2014-02-05 11:16:43
It happens sometimes @ElementaryGard

『ラストエンペラー』の主旋律パートを弾く。ドから順にあがって1オクターヴ高いドまで坂を上っていくラインが和声進行に含まれている、と先ほど述べましたが、すみませんあれ間違いです。

2014-02-05 20:27:02
It happens sometimes @ElementaryGard

今、弾いてみて発見。第一小節~第四小節にかけてド→レ→ミ→ファと坂を上がっていく。その後、第五~八小節で再びド→レ→ミ→ファと同じ坂を上がっていく。ここでドレミファというのは移動ドでの呼称です。原曲はホ短調なのでイ短調にしてドレミ化。

2014-02-05 20:30:33
It happens sometimes @ElementaryGard

http://t.co/YXAVSQqYQa これの2:06~2:23のところ。移動ドで♪ラ~ミ~レミドレラ、レミソ~ミレ~ドラ~、ラ~ミ~レ~ドラシドレソ~ミレミドレラ♪ 和声ですが、飾りはいっさい取って、一小節ごとに左手でド→レ→ミ→ファ→ド→レ→ミ→ファと鳴らすと・・・

2014-02-05 20:39:34
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It happens sometimes @ElementaryGard

ちゃんと聞けるのです、こんなに削った音でも。これがこの曲の、この美しい主旋律部分のエッセンス。

2014-02-05 20:41:15
It happens sometimes @ElementaryGard

この反復されるドからファへの上昇ラインが鍵。けっしてソにたどり着くことがないままドに引き戻され、再びファまで上っていく。けれどもソにはいかず、2:23からミに落下。

2014-02-05 20:51:41
It happens sometimes @ElementaryGard

マッチョなドミナントの音「ソ」にはたどり着けずに元いたところに引き戻される・・・これはまさに、映画のなかで皇帝が何度も何度も城から出て自由に生きたいと願いながらも引き戻されてしまう姿です。http://t.co/08l0r9oz1B

2014-02-05 21:00:20
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It happens sometimes @ElementaryGard

作曲者のインタビューにあたっても、この技について語ったものがない。おそらく本人が知らない。知らないで使っている。頭ではなく耳で計算された音。

2014-02-05 21:02:15
It happens sometimes @ElementaryGard

この分析は私が世界初です、たぶん。

2014-02-05 21:03:19
It happens sometimes @ElementaryGard

五度の音程は力強さの象徴。スーパーマンのテーマがそう。♪ドッドソ~ソラソファソ~♪ ド→ソは五度。スター・ウォーズのテーマもそうです。

2014-02-05 21:09:09
It happens sometimes @ElementaryGard

ド→ファは四度。これは内省的な音程。『スター・ウォーズ』で老賢者オビワン・ケノービが出てくるとこの音程が鳴る。フォースのテーマですね。http://t.co/GITbRKTBPl

2014-02-05 21:14:08
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It happens sometimes @ElementaryGard

スーパーマンは重力に抗っていきなり五度に舞いあがり、ついには雲を突き抜けて1オクターヴ高いドに到達する。天上界にまで飛べる男。一方でラストエンペラー溥儀氏は重力に抗って五度を目指すものの四度で常に力尽き、地上に着陸を余儀なくされる。

2014-02-05 21:17:47
It happens sometimes @ElementaryGard

この違いはジョン・ウィリアムズと坂本龍一の作曲姿勢の違いでもあります。前者は旋律で歌い上げる。後者は和声で歌い上げる。右手と左手の違い。そういえば龍一氏は左利きでした。

2014-02-05 21:19:59