f_zebraさんによる、官製談合とかその辺りの仕組みの話 

zebraさんは業界にいらしたのが10年ほど前という話なので、今はもう少し違うのかも。(多分ね。) でも昔ほど談合ができる仕組みは確実に少なくなっているはずだ。
ログ カルテル 安定供給 公共事業 官製談合 総合評価方式 社会インフラ
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Flying Zebra @f_zebra
先日の北陸新幹線とか、ちょっと前の関電の送電線工事とか、最近「談合」がニュースになっている。なぜ談合という仕組みが禁止されてもなお続いているのか、かつて談合の温床だった建設業界に身を置いた経験から少しお話ししてみよう。昼休み中にどこまで書けるか…
Flying Zebra @f_zebra
談合というのはカルテルの一種だが、特に公共工事などの競争入札で受注者側が示し合わせることを言う。一般競争入札では最低価格で入札した者が落札するが、事前に相談して落札する会社を決め、他の会社はわざと高い価格で入札することで落札価格を高く維持するのだ。
Flying Zebra @f_zebra
業界の共謀だけで談合が成立するには、業界の「秩序」が強く保たれていなければならない。誰かが抜け駆けすれば簡単に崩壊してしまうからだ。そして、現代の世の中でそんな「裏の秩序」を保つことがどれほど非現実的か、想像してみて欲しい。ではなぜ現代でも談合が成立するのだろうか。
Flying Zebra @f_zebra
大きな要因は、発注者の関与だ。公共事業では官製談合と呼ばれる。大規模な事業では入札参加者を制限する指名競争入札が行われるが、指名するのは発注者だ。そして発注者が入札参加者に「調整」を指示、または主導するというのが官製談合の典型的なパターンだ。
Flying Zebra @f_zebra
受注側にとって、談合には受注価格の引き上げという分かりやすい動機がある。では発注側はどういった動機で談合を黙認、あるいは積極的に指示、さらに主導したりするのか。ここを理解しないと、この問題の本質に迫ることなど到底おぼつかないだろう。
Flying Zebra @f_zebra
業界と監督省庁の癒着というのは、確かにある。設計検討などの技術的な相談に無償で乗ってもらったり天下りを受け入れてもらったりしているのであまり厳しくできないという面はあるだろう。これは談合を黙認する動機にはなるかもしれないが、積極的に指示する理由にはならない。
Flying Zebra @f_zebra
かつては発注側担当者に対する利益供与、つまり贈賄も行われていたらしいが、私が入社した頃にはほぼなくなっていた。政治家に献金なり選挙協力なりで恩を売って口を利いてもらうということもあるが、談合とは直接関係しない。いずれにせよ、これらは主な動機にはならない。
Flying Zebra @f_zebra
賄賂が欲しければ、談合などさせずに賄賂の額でも「競争」させる方がより高額の賄賂を期待できるだろう。政治家への献金(これは合法)や選挙協力(内容によるけど、たいてい違法)は個別の業者単位で行うが、政治家に期待するのは予算を付けてくれることであり、受注調整への関与ではない。
Flying Zebra @f_zebra
実は、公共工事の品質を保つ仕組みが、談合に頼る他になかなかないという事情がある。社会インフラの供用年数は多くが50年以上と長大だが、技術力のない業者が受注した場合、数十年後に工事の瑕疵が顕在化してもどうしようもない場合が多い。
Flying Zebra @f_zebra
昔から続く大きな会社だから技術力があるというわけでもないが、事前に資料だけで業者の技術力を見極めたり、工事中の監督で数十年後に顕在化する瑕疵を見破るのは難しい。そして、社会インフラを造る公共事業においては工事の瑕疵は大きな社会的損失に繋がる。
Flying Zebra @f_zebra
また、発注側にも品質維持の観点から落札価格を必要以上に落とさないという動機もある。特に土木工事ではかなりの部分で工事価格と品質は比例してしまう。そのため、公共工事の入札では予め最低価格を決め、それ未満の価格での入札は無効とする場合もある。
Flying Zebra @f_zebra
なお、官製談合の報道でよく聞かれる「予定価格を漏らす」という行為には、実はそれほど意味があるわけではない。公共工事の積算基準は公開されているので、工事公告の内容を丁寧にトレースすればまともな工事業者ならかなりの精度で予定価格を算出することができる。
Flying Zebra @f_zebra
(時間切れ。続きはまたのちほど)
Flying Zebra @f_zebra
(昼間の談合の話の続き) 官製談合、つまり発注側が主導する談合について、品質を落とさないためにある程度の価格を維持したいという動機が発注側にも働くことまでお話ししたと思う。よく分からない業者が受注して品質が保てなければ、予算削減の効果以上に損失が大きいということ。
Flying Zebra @f_zebra
更に、単体の工事だけでなく、長期的な開発計画を持っている発注者としては将来に渡って信頼できる業者が必要な数だけ残ってくれると安心だ。競争の結果退場する業者が相次ぐと、将来の開発計画だけでなく、既存の施設の維持管理にさえ支障を来すかもしれない。
Flying Zebra @f_zebra
このような甘えの意識が業者との癒着を生み、ぬるま湯の中で必要以上の業者が生き延び、結果的に国民の血税が無駄に費やされてきた。これはもちろん悪いことには違いないのだが、だからといって排除すれば世の中がもっと良くなるというわけではないというところが何とも難しい。
Flying Zebra @f_zebra
談合が横行すると公正な競争は阻害される。ところが全く競争がなくなるわけではなく、発注者の覚えをめでたくするため、各社は技術と品質を競う。実際に、談合が当たり前に行われていた時期に整備された社会インフラは諸外国と比べてもかなり高品質だ。
Flying Zebra @f_zebra
10年ほど前から談合のシステムが以前のようには機能しなくなり、公共工事で極端な安値受注が目立つようになった。公共事業に投入される税金は随分節約できたが、品質は明らかに落ちた。顕在化するのはまだまだ先だろうが、将来の補修に掛かる費用は何倍にも膨らむだろう。
Flying Zebra @f_zebra
ライフサイクルで見た場合、建設費の極端な圧縮は結果的にライフサイクルコストの増大に繋がることが多い。結局、国民の血税が余計に費やされることになってしまう。談合がなくても適正な工事価格が維持される仕組みがあればいいのだが、今のところ妙案はないようだ。
Flying Zebra @f_zebra
発注側である行政府も手をこまねいているわけではなく、色々手を打ってはいる。入札価格だけでなく、過去の工事実績を様々な視点から点数で評価し、総合点と価格から落札者を決める総合評価方式など。今も試行錯誤が続いているが、なかなかうまくいっていない。
Flying Zebra @f_zebra
評価が難しい理由の一つは、社会インフラのライフサイクルが一般の消費財などに比べて極端に長いことだ。工事に対する評価が最終的に固まるまで何十年も掛かってしまい、次の工事の入札に迅速に反映することが難しいのだ。
Flying Zebra @f_zebra
仮に、評価点数が高くしかも安価で大量に入札する業者(単体にしろ複数にしろ)が出てくれば、対抗できない既存の業者は受注できなくなる。工事受注がほとんどない状態が2年も続けば、大抵の会社は潰れてしまうだろう。
Flying Zebra @f_zebra
新規の業者が評価点数通り優れていればまだ問題は少ないが、安値にはそれなりの理由があるのが普通だ。ただ、巧く隠した欠陥が顕在化するのは10年20年先かもしれない。その頃には、退場した会社と一緒にそれまで積み上げられてきた技術も失われている可能性が高い。
Flying Zebra @f_zebra
工事品質に特に問題がなくても、急成長で市場を圧巻した業者(またはその集団)は旨味がなくなれば急に撤退するかもしれない。そうでなくても、発注者の我が儘は聞いてもらいにくくなる。発注者として、やりにくくなるのは確かだ。
Flying Zebra @f_zebra
普通の民間企業の事業部門と違って、公共事業や公益事業ではその事業をやめてしまうという選択はできない。だからこそ、短期的には無駄が多くても多くの業者を温存し、サプライチェーンを維持したいという動機も強くなるのだ。
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コメント

水面計@いつのまにかオッサン @W_L_G 2014年2月6日
検査技術や暗黙知を情報処理する技術が最近顕著に発展しているので、どうにかそれらを付き合わせて巨大公共事業における品質管理を詳細な事後検討が可能なレベルに上げれないのかな~ とか最近考える。 問題の起きた箇所について誰がどういった材料でいつどんな環境下で施工して、それからどんな点検・補修をしたのか というのがあっという間にわかれば、色々と世界が変わる気がする
hiroharu.minami @hiroharu_minami 2014年2月6日
海外諸国でも談合の持つメリットは動揺に存在するだろうと思うのだけれど、どの様に解決しているのだろうね?
Halfricesetitsmore @Halfriceset 2014年2月6日
受注側を「既存マスコミ」、官製談合を「記者クラブ制」、安値受注する低品質の新規業者を「フリージャーナリスト」と読み替えてみる。…残念ながら、安直な適用はできないようだ。
Flying Zebra @f_zebra 2014年2月6日
日本のゼネコンはアジアや中東で欧米のゼネコンと競合していますが、自国に十分な施工会社のない新興国ではどのみち海外に頼らざるを得ず、談合のようなシステムは成立し難いと思います。むしろ、接待などで役人個人に取り入ることが受注の成否を左右したりします。
Flying Zebra @f_zebra 2014年2月6日
アメリカやヨーロッパでは、発注者と施工業者の間にコーディネーターが入ることが多いと思います。コーディネーター自身が施工を担当することもあります。大規模プロジェクトでは施計施工一括発注が一般的で、50年以上の供用期間にわたって瑕疵担保を補償するような契約もあります。日本でも、羽田空港再拡張は確かそんな契約だったような。
hiroharu.minami @hiroharu_minami 2014年2月6日
「50年以上の供用期間にわたって瑕疵担保を補償する契約」 これは施工会社の長期的かつ経営的に安定な存続が前提でしょうから、指名の段階で物凄く業者が絞られそうですね。
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