- karitoshi2011
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0【デュピュイが求める「科学技術的文化」②】デュピュイ『聖なるものの刻印―科学的合理性はなぜ盲目なのか?』(2014、原著、2008)。現代世界における科学技術の制御について、深い洞察がなされている。まずは、科学者に教養を求める論→ http://t.co/0MzJKG2ooM
2014-02-02 09:32:44【デュピュイが求める「科学技術的文化」①】
1【デュピュイが求める「科学技術的文化」②】科学と人文的教養が相互に学び合う必要についての古典的な著作にスノー『二つの文化と科学革命』(原著第2版、1964)がある。http://t.co/oSbDoahsir 約50年後に著わされた本書では科学技術の帰結への悲観論が基調。
2014-02-02 09:33:25倫理良書レビュー 2013年2月 島薗教授おすすめの図書
C.P.スノー 著
『二つの文化と科学革命』(松井巻之助他訳) みすず書房
2011年刊 (初刊、1967年、原著第2版、1964年)
http://www.rinri.or.jp/research_support_Shohyo1302.html
2【デュピュイが求める「科学技術的文化」②】著者は物理学から科学哲学さらに現代文明論に転じた学者。ロールズ『正義論』のフランスへの紹介者。ブランスの哲学者には珍しく?英語圏の議論に通じてる。そしてスノーと同様、文系の「知識人」が科学に疎いことをたいへん困ったことと見なしている。
2014-02-02 09:35:233【デュピュイが求める「科学技術的文化」②】「21世紀のまともな人間は、なぜ科学技術的文化になじまずにいることが許されなのか。わたしはその問いを根本から捉えることでそれに答えたいと思う。一般教養は、それがまず何より人間たちの、万人の自由への教育でないとしたら、ブルジョワ的体裁の」
2014-02-02 09:35:434【デュピュイが求める「科学技術的文化」②】「空しい飾りでしかないだろう。発言の自由と行動する能力はわれわれのもっとも尊い資産である。それはまたもっとも恐るべきわれわれの災厄の源泉でもある」。自然に対する人間の「行為の変容」を知るには科学(科学技術)の変容を知る必要がある。
2014-02-02 09:36:055【デュピュイが求める「科学技術的…」②】「少なくともサルトル以来、フランスの哲学と思想は、だいたいにおいてこの行為の変容ということに関心をもたずにきた。フランスのよき知識人は、いまや行為が優先的に作用する科学の諸領域で、みずからの無知を広げてご満悦なのだ。このどうしようもない」
2014-02-02 09:36:436【デュピュイが求める「科学技術的文化」②】「無教養がそんな知識人を無能に陥れている。現在、知的かつ政治的議論のたいそうなお題目となっているあらゆる問いは、もう一度、自然と技術に中心的な位置を与える道徳的かつ政治的な哲学の枠内で提起し直さなければならない。」ここまでp68。
2014-02-02 09:37:017【デュピュイが求める「科学技術的文化」②】たとえば気候変動による数億の難民が生じるかもしれないという予測もある。「この人間の大波は、われわれの哀れな計算をたあいもないものにしてしまうだろう。政治的行動は今日、もはや達成すべき革命といったものではなく、まだ間に合うちすれば」
2014-02-02 09:37:258【デュピュイが求める「科学技術的文化」②】「斥けるべき破局を見通して考えられねばならないのだ」島薗注:これは狼少年と見なされかねない議論だが、「破局」の予測がなされてること、そうならないように制御する見通しが見えていないことも確かで、「破局」がありうるとの前提は避けられない。
2014-02-02 09:38:099【デュピュイが求める「科学技術的…」②】「進歩」の予測に対して「破局」の予測が現実味を帯びるようになった時代、予測されたリスクを超えた害に見舞われることが頻繁に起こる「リスク社会」では、科学技術を「破局」と結び付けて考え、なぜそうなるのか、どう制御できるのかを考えざるをえない。
2014-02-02 09:39:3510【デュピュイが求める「科学技術的…」②】しかし哲学者にその問題意識は薄いとデピュイは歎く。「その一方で、科学者やテクノクラートや技術者たちは、しっかりした一般教養をもっていなければ公共の危険物になってしまう。なぜなのか。わたしは人類の冒険の継続そのものを危険にさらす来るべき」
2014-02-02 09:40:1311【デュピュイが求める「科学…②】「破局に関心をもっている。わたしが考えているのは、いまやわれわれは人類の自己破壊というこの考えがたい出来事に目を凝らして生きなければならないということだ。それも、この出来事を不可能にするのを目標としてではなく―それでは矛盾していることになる―」
2014-02-02 09:40:3912【デュピュイが求める「科学技術的文化」②】「その時期をできうるかぎり遅らせることを目標として、われわれは猶予の時代に入っている。」「破局」というとき、まず、身近な経験として9.11、スマトラ沖地震ツナミ、ハリケーン「カトリーナ」、リーマン・ショックなど。人災、天災、そして…
2014-02-02 09:43:1713【デュピュイが求める「科学技術的…②】科学技術災(これは島薗の言葉)。何よりも原爆からチェルノブイリに至る核の制御の困難、そして、遺伝子操作や再生・長寿に関わる生命科学や合成生物学に至るナノ・テクノロジー、そもそも技術的環境から人間性を統御しようとする情報科学や認知科学等の」
2014-02-02 09:44:0914【デュピュイが求める…②】支配がもたらす道具的行為の優越化などが念頭に置かれている。そしてそれを見抜いていたイリッチ、アレント、ヨナス、アンダース、ジラールらの視座の導入が目指され、形而上学的な「破局」論として提示される。破局は予測されるが、その可能性をなくすことはできない。
2014-02-02 09:47:3815【デュピュイが求める「科学技術的文化」②】では、予測される破局とともに生きていくというのはどういうことか。科学技術の内から答えは出てこないだろう。「人類は科学と技術によって生み出された諸問題に対する解決を、過去においてつねにそうしてきたように、科学と技術のうちに」
2014-02-02 09:48:1716【デュピュイが求める「科学技術的文化」②】「見つけることができるだおう、そう考えている人たちはみな未来の現実性を信じていない。彼らは、未来はわれわれが作るものだと思っている。それはしたがって、われわれに自由意志と同じように未決定なのだと」持続可能性とか未来世代への責任として、
2014-02-02 09:48:5317【デュピュイが求める「科学技術的文化」②】あるいはリスク社会論としてhttp://t.co/OVF1NtLzD0 また、昨今では「トランス・サイエンス」とか「ポストノーマル・サイエンス」http://t.co/Y9iuhdaMDl などと論じられていることについて、
2014-02-02 09:49:21倫理良書レビュー 2012年2月 島薗教授おすすめの図書
ウルリッヒ・ベック 著
『世界リスク社会論――テロ、戦争、自然破壊』
ちくま学芸文庫 2010年刊 (初刊は2003年、原著は1997年、2002年の2冊)
http://www.rinri.or.jp/research_support_Shohyo1202.html
18【デュピュイが求める「科学技術的文化」②】デピュイは「破局」論という視角から迫ろうとしている。これはフランス風に深遠であるとともにやや衒学的な議論だが、学ぶところは多い。とくに「科学技術文化」を育てることが不可避だという認識は同意をえやすいのではないだろうか。(続)
2014-02-02 09:49:43