太田出版『d/sign』No.18 電子書籍のデザイン これ売れない世界はどうかしてる!電子時代のページネーションマニュアル、立役者へのインタビューなど。童話三匹の子ブタの知られざる歴史と白井晟一論を併せた拙論「神の子の家1、2」も収録 http://bit.ly/blXLnn
2010-10-20 23:34:25童話三匹の子ブタの徹底的批判と、導きだされる拡張された建築インスツルメンツの凶暴性、アクロバティックかつスムースに白井晟一の住居論へ。いままでこんなに三匹の子ブタのことを真剣に考えた45歳男性が存在したであろうか。ぜひご笑覧ください。 http://bit.ly/blXLnn
2010-10-21 00:30:25これです。RT @rhenin: 童話三匹の子ブタの徹底的批判と、導きだされる拡張された建築インスツルメンツの凶暴性、アクロバティックかつスムースに白井晟一の住居論へ。いままでこんなに三匹の子ブタのことを真剣に考えた45歳男性が存在したであろうか。・・・
2010-10-24 12:53:453匹の子豚については、その原型である「3羽のガチョウ」とともに、フロイトの「小箱選びのモチーフ」を連想せずにはいられない。
2010-10-24 12:56:51「小箱」のモチーフは『ヴェニスの商人』からだが、それを女の選択が転換されたものと解釈する。『リア王』をはじめとして、そこで選ばれるのは、最も年若い末娘で、美しく善良だが、沈黙している女性。フロイトに拠れば、この沈黙とは死を意味する。彼女のもともとの姿は死の女神だという。
2010-10-24 13:00:57「死」という「宿命」の代わりに、願望逆転によって、「美」の化身が「選択」される。しかし、それが災厄を生むことは、パリスの審判も示している通り。
2010-10-24 13:02:46そこで「3羽のガチョウ」だが、ここでも生き残るのは一番小さなガチョウ(女性的存在)だ。一番大きなガチョウは藁の家に住んでいたためにオオカミにその家を吹き飛ばされて食べられてしまう。真ん中のガチョウは干し草の家だったために同じ運命に。最後のガチョウだけが鉄と石の家だったから助かる。
2010-10-24 13:06:51三つの「家」と「小箱」のモチーフは重なるだろう。ここで「選択」している男性とは言うまでもなくオオカミである。ただし、この男性にとって一番小さなガチョウとは文字通り「死の女神」だ。ガチョウの計略で、家の開口部に口をあてたオオカミは熱湯を注ぎ入れられ、殺されるのだから。
2010-10-24 13:09:15それぞれのガチョウが家に南京錠で鍵をかけるというのも、ごく素朴に解釈して、貞操観念への連想が働いているだろう。二羽の鵞鳥をオオカミはまず食べてしまうのだから、オオカミにとって「選択」の要素は稀薄かもしれない。だが、いずれにしてもオオカミは死の女神に導かれざるを得ない。
2010-10-24 13:13:40ところで、論者の中谷氏が明晰に指摘しているように、ガチョウには家を作る手がない。藁と干し草の家は自分たちで建てているのだが、最も小さなガチョウは鉄と石を持った男に出会い、彼の行為で家を建ててもらう。
2010-10-24 13:15:22ガチョウがオオカミを殺すにあたって料理していたというのが「マカロニ」というところも意味深長だ。これも円筒だから。
2010-10-24 13:18:24俗流的と言われるかもしれない精神分析的解釈はそれほど深く信じていないにせよ、ある種の象徴の置換作用は神話分析に欠かせない。
2010-10-24 13:19:56さて、「3羽のガチョウ」が「3匹の子ブタ」に変化する。中谷氏が挙げている1890年に採集された民話ヴァージョンでは、食糧がないために母ブタに追い出された3匹の子ブタが、同様の運命をたどる。3匹目の子ブタは煙突から入り込んだオオカミを熱湯の鍋に落とし、煮て食べてしまう。
2010-10-24 13:45:13このヴァージョンでも、子ブタたちは偶然出会った男たちに材料(藁、小枝、煉瓦)をもらい家を建てている。鉄・石→煉瓦という変化は明らかに新しい。フロイトの分析で死を暗示するものとされた「鉛」に対応するのが「鉄」だろう。
2010-10-24 13:48:59注目すべきは、母ブタが子ブタたちを追い出している、という点だ。ガチョウ・ヴァージョンよりも「餓え」のモチーフが前面に出る。そして、ここにも父ブタはおらず、代わりに謎の「男たち」がいる。
2010-10-24 13:52:14オオカミがガチョウや子ブタたちを選択する、という方向で考えたが、この「男たち」が実は単一の「男」であって、この男が末娘のガチョウや1匹の子ブタを選択した、と考えることもできるかもしれない。「小箱選び」ではなく、「小箱(=家)作り」のモチーフ。
2010-10-24 13:56:51