2010年10月25日

野川忍・明大大学院教授(@theophil21)の語る「日本と外国・雇用法制の比較で留意すべきこと」

よく政策論議とかで言われる「アメリカでは・・」「ドイツでは・・」「フランスでは・・」「スウェーデンでは・・」などの諸外国との比較。だが、野川忍・明大大学院教授(@theophil21)によると、それは単純に例として引き合いに出すのは考えるべきことだそうです。
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theophil21 @theophil21

雇用法制の比較(1)法や制度を考えるとき、よく「アメリカでは」「ドイツでは」と諸外国が参考例として出され、「日本でもこうすべきだ」という主張も頻繁にみられる。他方で、「日本は日本だ。事情の異なる外国を持ち出すのはおかしい」とも言われる。雇用法制を対象としてこの点を考えたい。

2010-10-24 14:59:33
theophil21 @theophil21

雇用法制の比較(2)まず、法制度一般について米国とドイツは最もよく比較され、また参考例として重視されるが、雇用法制については特にその傾向が著しいのはなぜか。いくつか理由があり、その第一は、そもそも日本の雇用法制が米国とドイツに根を持っていることが多いという事実である。

2010-10-24 15:01:02
theophil21 @theophil21

雇用法制の比較(2)市民法の基本法は民法であるが、日本は明治時代に民法を制定する際、当初のフランス民法を土台とする案が法制定の直前に覆ってドイツ民法に基礎を置くこととなった。大日本帝国憲法がプロイセン憲法を参考にしていることは周知のとおり。ドイツ法の影響力は決定的となった。

2010-10-24 15:04:02
theophil21 @theophil21

雇用法制の比較(3)労働法の分野に直接該当する法律は、第二次大戦終了までは、工場法などわずかしかなく、民法の考え方が雇用契約をめぐる紛争処理にも影響し、ドイツ法の影響はやはり強かった。また、労働法を講じる学者たちも、ドイツに留学したりドイツ法を学んだ者が多かった。

2010-10-24 15:06:46
theophil21 @theophil21

雇用法制の比較(4)戦後も、労働契約をめぐる考え方や、労働協約についての議論は圧倒的にドイツ法の影響を受けていた。また、戦後の発展は同じ敗戦国で、良質な労働力を基盤として復興しようとしていたという点で日独は共通しており、参考にできる社会事情や制度が生まれていた。

2010-10-24 15:09:39
theophil21 @theophil21

雇用法制の比較(5)またアメリカは、何よりも敗戦日本を「実質的に独占的に支配しており、社会制度や法体系についてはほとんど全面的と言えるほどの発言力と影響力をふるった。日本の労働組合法や労働委員会制度など、労働法も戦後のアメリカの影響力は比類がないといえる。

2010-10-24 15:11:30
theophil21 @theophil21

雇用法制の比較(6)また、政治的・経済的・社会的関係において、アメリカと日本とは同盟国であり、(当否は別として)「運命共同体」とまで称されたことから、雇用に関する法制度を考えるにあたっても、アメリカの状況を参考にすることはごく自然であったといえる。

2010-10-24 15:12:59
theophil21 @theophil21

雇用法制の比較(7)しかしもちろん、イギリスやフランス、スウエーデンやデンマークやイタリアなど、欧州諸国を中心として、先進資本主義国としての関係の深さや経済体制の共通性を基盤として、いまや、参考にできる外国はいくらでもあるではないか、との考え方も十分ありうる。

2010-10-24 15:15:16
theophil21 @theophil21

雇用法制の比較(8)ただ、日本にとっていまだに米国とドイツは、特に雇用法制については群を抜いて重要である。たとえばフランスの社会事情は、特に雇用・労働関係については基本的条件が違いすぎてごく限定的にしか参考にならない

2010-10-24 15:18:06
theophil21 @theophil21

雇用法制の比較(9)一例として、フランスでは、今般の年金改革に対して労組がゼネストを連発して国民生活に多大な被害をこうむらせているが、国民は7割が労組指示である。これは普通のことであり、パリで労組のストにより交通がマヒしても常に6割以上のパリ市民は労組支持である。

2010-10-24 15:19:51
theophil21 @theophil21

雇用法制の比較(10)たった3%の組織率の労働組合をこれだけ支持する国民性、気に入らないことを政府がすれば直接民主主義の手法でデモやストで覆してしまうのが当然という社会がフランスである。こういう国の法制度をいきなり日本に導入できないのは当然である。

2010-10-24 15:21:21
theophil21 @theophil21

雇用法制の比較(11)また、スウエーデンは確かに立派な国で雇用法制も社会保障法制も比較的よく機能しているが、人口800万という規模であることや100年以上中立国であったことは日本と異なる決定的な特徴である。日本の15分の一の人口の国では国民すべてが把握されるので政策の基本が違う。

2010-10-24 15:24:07
theophil21 @theophil21

雇用法制の比較(12)こうして、雇用法制を比較するにあたっては、日本の社会経済構造や歴史的経緯などとある程度は共通性を持つ(ドイツ)か、歴史的事情から法制度についても圧倒的な影響を得なざるを得ない国(米国)が中心となる。しかし具体的制度によっては他国も参考となるのは当然である。

2010-10-24 15:28:21
theophil21 @theophil21

連続ツイート、見直し不足で誤記続出でした。最後の「影響を得なざるを得ない」はもちろん、「受けざるを得ない」です。またフランスについて「労組支持」を「労組指示」と書いてしまいました。スミマセン!

2010-10-24 15:40:59

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