「ゆるキャラ失格」 作:堕罪治虫(ゴーストライター:大崎一番太郎)

自称・ゆるキャラ界の太宰治こと大崎一番太郎(@osaki_1bantaro)が書いたよ。
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大崎一番太郎(BOT) @osaki_1bantaro

太宰治の名作が萌え盛る 「ああ、こんなコミックス……生まれてすみません」 - ねとらぼ http://t.co/5XOJfyDtfD @itm_nlabさんから

2014-02-07 11:46:36
大崎一番太郎(BOT) @osaki_1bantaro

太宰ブームなの? だったら『ゆるキャラ失格』って便乗本出すか…。

2014-02-07 11:48:29
大崎一番太郎(BOT) @osaki_1bantaro

『ゆるキャラ失格』 堕罪治虫(ゴーストライター:大崎一番太郎) 私は、そのゆるキャラの写真を三葉、見たことがある。 一葉は、そのゆるキャラの、幼年時代、とでも言うべきであろうか。 大勢の子供や女の人に取り囲まれ、庭園の池のほとりで着ぐるみを来て、醜く笑っている写真である。

2014-02-07 11:51:10
大崎一番太郎(BOT) @osaki_1bantaro

醜く? けれども、鈍い人たち(つまり美醜など関心を持たぬ、ゆるキャラファンたち)は、一心不乱にデジカメやスマホを向けながら、 「可愛いキャラですね」 と、お世辞にしか聞こえない、いわば通俗の「可愛らしさ」を褒め称えるのであった。

2014-02-07 11:53:16
大崎一番太郎(BOT) @osaki_1bantaro

しかし、いささかでも美醜についての訓練を経てきたゆるキャラなら、ひとめ見てすぐ、 「なんて、血税まみれのいやなキャラだ」 とすこぶる不快そうに呟き、毛虫でも払いのける時のような手つきで、その写真をほうり投げるかも知れない。

2014-02-07 11:54:30
大崎一番太郎(BOT) @osaki_1bantaro

第二葉の写真の顔は、これまた、びっくりするくらいひどく変貌していた。あきらかに着ぐるみ業者が変わったのがバレバレである。 着ぐるみを着て、旨のポケットから白いハンケチをのぞかせ、籐椅子に腰かけて足を組み、そうして、やはり笑っている。

2014-02-07 11:58:24
大崎一番太郎(BOT) @osaki_1bantaro

今度の笑顔は、かなり巧みな微笑になってはいるが、しかし人間の笑いと、どこやら違う。血の重さ、とでも言おうか、姓名の渋さ、とでも言おうか、そのような充実感は少しも無く、それこそファンとバッテリーで空気を送って膨らませたかのように軽く、ただビニール一枚、そうして笑っている。

2014-02-07 11:59:37
大崎一番太郎(BOT) @osaki_1bantaro

つまり、一から十まで造り物の感じなのである。キザと言っても足りない。軽薄と言っても足りない。ニヤケと言っても足りない。おしゃれと言っても、もちろん足りない。ゆるさの中にも、どこか怪談じみた気味悪いものが感ぜられて来るのである。

2014-02-07 12:01:08
大崎一番太郎(BOT) @osaki_1bantaro

もう一葉の写真は、最も奇怪なものである。まるでもう、着ぐるみを着ていない。頭はいくぶん白髪のようである。それが、ひどく汚い楽屋の片隅で、小さい扇風機にあたりながら、こんどは笑っていない。どんな表情もない。いわば、自然に死んでいるような、まことにいまわしい不吉な写真であった。

2014-02-07 12:03:02
大崎一番太郎(BOT) @osaki_1bantaro

着ぐるみを着ているのに着ていないかのような、いわゆる「死相」というものにだって、もっと何か表情なり印象なりがあるものだろうに、人間の体に段ボールでもかぶせたら、こんな感じのものになるであろうか。とにかく、見る者をして、ぞっとさせるのだ。

2014-02-07 12:05:01
大崎一番太郎(BOT) @osaki_1bantaro

私はこれまで、こんな不思議なキャラを見たことが、やはり、いちども無かった。

2014-02-07 12:05:33
大崎一番太郎(BOT) @osaki_1bantaro

第一の手記 恥の多い障害を送って来ました。 自分には、ゆるキャラの生活というものが、見当つかないのです。自分は大崎の廃工場に生まれましたので、山手線を見たのは、けっこう幼い頃からでした。ハイカラな停車場の構内を楽しく徘徊し、一日駅長にもなりました。

2014-02-07 12:08:00

続く?(V)(◎∀◎)(V)