原子力発電所の寿命の決め方と廃炉についての技術的なおはなし

原子力発電所で度々議論の対象となる「寿命」と「廃炉」に関する問題。 どうも印象論が先行して技術的なお話が少ないように感じたので、ネットでわかる範囲でまとめてみました。 まぁ前半の照射脆化の話は難しいかもだけど、後半の廃炉については「廃炉に必要な技術ってそんなに特別なの?」というのが個人的な感想です。 続きを読む
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葉色処置に関する資料を読むに、結構とっつきにくいところが多いからある程度まとめようかな~? 都知事選に向けて思うところもあるしな

2014-02-08 17:40:07
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廃炉処置だ、なんだよ葉色処置ってw

2014-02-08 17:41:31
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さて、原子力発電所の寿命と廃炉について、自分なりにまとめたので連続でツイートするよ! 20ツイートくらい埋めるので気にするひとは注意な!

2014-02-08 21:23:09
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原子炉の寿命評価について、九州電力さんのこちらの資料(http://t.co/PEFUkL3RHBhttp://t.co/gkFo2zV5uo)を抜粋して書いているので、気になる人は見てみてね

2014-02-08 21:23:47
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2さて、原子力発電所の寿命を決めるのは原子炉圧力容器の脆化である。他の機器は頑張れば交換できるが、これだけは汚染も酷いしデカイのでどうしようもない。  いちよう無理をすれば交換することはできるがそうすると新規に建造するのと同じくらいのコストがかかり、現実的ではない というわけだ

2014-02-08 21:25:33
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3原子炉圧力容器は内部に核燃料で出来た炉心を収める最重要機器なので非常に強固に作られている。原子炉の高温高圧に耐えられるような厚さ数十センチのステンレス鋼の缶で、普通にほっておけば何百年と壊れないものだろう。

2014-02-08 21:26:37
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4原子力発電所ではこの原子炉圧力容器をはじめとして、通常運転する分には温度や圧力が問題となることはあまりない。確かに原子力発電所の圧力と温度は凄まじいが、最新の超臨界圧発電所に比べればぶっちゃけ大したことないのである。

2014-02-08 21:28:12
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5なので原子力発電所では原子力発電所特有の問題、照射脆化の問題が重要となる。これは核分裂反応によって生じた中性子が金属材料の原子をビリヤードのごとく突き 回すことで材料の特性が変わってしまうことによって生じるものである。 http://t.co/GlrNvORzSW

2014-02-08 21:29:12
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照射脆化が進展すると材料が脆くなり、特に低温での使用が難しくなる。原子力発電所の原子炉圧力容器の材料は常に「万一の事故において冷却水が 注入され原子炉容器表面が急冷されても」健全性に問題がない事を確認しているが、ここで照射脆化の程度が原子力発電所の寿命を決定することになる

2014-02-08 21:32:49
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7ここで注意すべきは最低でも「万一の事故の時に急冷されても大丈夫」な強度を確保しているわけで、原子炉の寿命が尽きた瞬間崩れ落ちるわけでなく、事故さえなけ ればまだまだ十分な余裕がある強度なのだ。 http://t.co/jKkKlhocbM

2014-02-08 21:33:49
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8で、よく言われる「原子炉の寿命は40年」というのは、大昔その原子炉を作るときに「数十年後の材料脆化の程度なんてわかるわけないけど、40年も見とけば間違いないよな」 という事で決められた値である。多分照射前と5年後照射を比べてその線をそのまま伸ばしたくらいの適当さで決めたはず。

2014-02-08 21:34:37
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9だから「原子炉の寿命は40年! これ以上伸ばすのは絶対にダメだ!」とかいうのは、「40年前の人々は絶対に正しい! いかなる反論もこれを認めないぞ!」と言うのと本質には何も変わらない。 これが正しいのなら核燃料サイクルも核融合も今ごろは(ry

2014-02-08 21:35:44
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10原子炉の寿命評価には原子炉をそのまま使っている。照射脆化は中性子により起きるので、中性子量が多い炉心部に試験材料を置けばそのまま未来の材料がどうなるかがわかるのである。個人的にこの評価方法の単純明快な点は気に入っているw http://t.co/VebR2zH7RL

2014-02-08 21:38:52
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11このような方法を使えば運転して40年しかたっていない玄海一号機で60~90年運転した場合の健全性評価が行えるのだ。寿命の延長は安全性の軽視ではなく、そもそも何十年先がどうなるかわからないので一番安全側に設定し、最初から炉心内部の監視試験片による実験で補正してくつもりだったのだ

2014-02-08 21:46:59
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1さて、話題をもう一つ。 寿命の話になると「原発の寿命を延ばしているのは廃炉の技術がないのを誤魔化すため~」的な話がたまに出てくる。寿命の話はもうしたので今度は廃炉の話をしてみよう。

2014-02-08 21:50:04
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2廃炉の話になると「今まで廃炉が終わった原子炉はない、だからこれからも一生無理なんだ! 出来たとしてもすごい大変なんだ!」的な話を聞くが、これは本当なのだろうか?

2014-02-08 21:50:23
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3そういった人たちには是非ともこちらの写真を見て欲しい、これはアメリカの原子力発電所の解体の画像だ。発電所の寿命が40年以上と長いのでまだ数は少ないが、すでに廃炉は行われている事なのだ。 http://t.co/ddGIk1TWEq http://t.co/ZQotKVeX5l

2014-02-08 21:54:58
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4このようなものを見ても「廃炉の費用はどうなるんだ!」と言うだろうが、先行事例を見るに1kW辺り3万~5万円程度で可能である。これは日本の標準的な100万kWの原子力発電所の場合は概算で300億~500億円程度であり、特別高くはない http://t.co/wllVmeeLx9

2014-02-08 21:57:03
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5また「廃炉には技術的な問題が多くあるので莫大な費用がかかる!」などと言っている人々をよく見るが、果たして本当にそうであろうか?  そもそも廃炉に関する技術的な問題とはいったいなんなのであろうか?

2014-02-08 21:58:06
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@W_L_G 間違えました、当初「シッピングポート原子力発電所の100MWeは現在の主要な原子力発電所と同等の出力」と書いていましたが、正しくは現在の主要な原子力発電所の出力1000MWeの十分の一でした。 お詫びして訂正いたします。

2014-02-08 23:21:35
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6例えば先ほどの写真はアメリカで建設された最初期の原子力発電所、シッピングポート原子力発電所である。当初出力100MWeと現在の主要な原子炉と比べて十分の一の出力の炉であるが、1957年から1982年まで運転された後、1985年に廃炉が始まり1989年には完全な更地に戻っている。

2014-02-08 23:22:43
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7この廃炉に何か特別な技術開発を行ったわけではない。しかし解体は当初見積もりも7百万ドル少ない91.3百万ドルで、作業員の総被ばく線量も当初予想10man・Svよりもはるかに少ない1.52man・Svで終了した。廃炉は既存の技術で特別な価格高騰なしにすでに行われていたのだ。

2014-02-08 22:02:26
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8そもそも廃炉で問題となるのは放射線である。原子炉の廃炉においては配管やコンクリートの表面が主に汚染されているので、廃炉作業は如何に被ばく線量少なく化学薬品やグラインダーを使って表面の放射性物質を剥ぎ取るかにかかっているのだという。

2014-02-08 22:03:17
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9ここで求められる技術とはすなわち「動き難い防護服を来た状態で如何に短時間で作業を終えれるか?」とか「表面を削った時に生じる粉塵が外に漏れない ようにどうやって養生するか?」といった類のものである。これは作業員の健康と安全のために必要なことではあるが、絶対に不可能な技術ではない

2014-02-08 22:04:44
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10他にも鉛の壁などで線量を遮断することも重要だが、ぶっちゃけ廃炉に関して何か特別で解決不能な問題なんて何もないのではないだろうか?普通に考えれば分かることだが原子力発電所程度の大きさの構造物を壊すのはごく普通に行われていることであり、普通に解体するなら何の問題も起きようがない。

2014-02-08 22:07:42