マイ・フーリッシュ・ハート #3 から エピローグ

ニンジャスレイヤー二次創作のログです 前回 http://togetter.com/li/624992
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ひたちえぼ @EVO_Hitachi

*これから始まるのは、ニンジャスレイヤーの二次創作テキストの放流です。2時間強続きます。煩わしいと感じた場合は、あなたが眠って起きるまで、フォローを外したりミュートにすることをおすすめします*

2014-02-08 22:09:30
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

*この二次創作テキストはフクロウの見た夢であり、ニンジャスレイヤー本編とは何の関係もないことをここに記す*何かはっせいした時には #owl_nj をお使いください*

2014-02-08 22:10:02
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

*カラテ描写は一切無い*

2014-02-08 22:13:22
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

バントー・マネージャーに呼び出されたのは、思っていたより早かった。「悪いな、店を盾にされたら、こっちも頷くしかない」マネージャー室で差し向かい。お互い手には吸いかけのタバコ。「元はアタシが悪いんだから謝らないでよ」 1

2014-02-08 22:14:23
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

ノナコの予想は的中し、ハゲタカがノナコを辞めさせるよう圧力をかけてきた。「今の予約客が捌けるまでは粘ったから頼む。それまで働いた分は、最終日に現金で」「助かる」「なに、ゴシューギぐらい出すさ。役得もさせてもらったしな」「役得ねェ」二人は共犯者の笑みを交わした。 2

2014-02-08 22:16:41
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「でも、実際お前、ラッキーだよ」バントーが新しいタバコをくわえる。ほとんど反射的にノナコはライターを差し出す。「ここ、近々あのマッポの仕切りになる。あいつがバックにいる限りは摘発ナシ。見返りにカネと女だ。オコノは厄介な客に取り入ってくれたぜ」「やめとけって言ったんだけどね」 3

2014-02-08 22:18:45
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

バントーはノナコの言葉にため息をついた。「あいつ。オコノな。人気だけど常連が少なくてさ。カワイイし男を良い気分にはさせるんだろうけど、客を値踏みしてりゃ自分だって値踏みされるって分かってねぇ。お前が羨ましかったみたいだぜ」ノナコは鼻を鳴らした。それが嫌がらせの真相か。 4

2014-02-08 22:21:07
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「これからどうする? 別の店行くなら、知り合い紹介しようか」「まだ考え中だから」オコノの言うとおり、ノナコは借金があろうがなかろうが、ここ以外に行く場所も帰る場所も、待つ者もいない。やりたいことはあったはずだったが、とうに忘れた。「……リゾートにでも行ってこようかな」 5

2014-02-08 22:23:01
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

バントーとの話し合いを終えたノナコは、ロッカールームに立ち寄った。話を知っているらしい何人かのオイランが、同情や優越感に充ちた視線を投げてよこす。ノナコは無視してロッカーにしまっていたジュエリーボックスを持ち出し、自分の部屋に戻った。 6

2014-02-08 22:25:31
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

薄暗い彼女の城。ベッドに正座する。蓋を開けてひっくり返すと、客が置いていった名刺や連絡先のメモが散らばった。「ハト、ツバメ、クジャク、モズ……」めぼしい物を一枚ずつ取り上げて並べる。備え付けの電話を手にした。「モシモシ、ノナコです。お久しぶり。会いたくなっちゃって」 7

2014-02-08 22:29:14
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

……本当に会いたい男は、連絡先も知らない。 8

2014-02-08 22:31:01
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

マイ・フーリッシュ・ハート # 3

2014-02-08 22:32:42
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

最後の夜。タバコをふかしながら、やり残したことについて、ノナコは考える。「渡り鳥は掃除してから出ていく」のコトワザもある。どう幕引きをするのか、できるだけさっぱりとして、後悔のないように出ていきたい。あの男が「やり残したこと」と呟いたのは、こんな気持ちからだったのだろうか。 9

2014-02-08 22:34:50
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

マケグミサラリマンのハト、若いパルクール・ヒキャクのツバメ、売れないゴスパンクギタリストのクジャク、小柄でサディストなヨージンボーのモズ。連絡が取れた客はノナコを惜しんだ。彼らはきっと、それぞれの淋しさに寄り添う止まり木を見つけるだろう。 10

2014-02-08 22:39:17
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

ノナコは呟く。「アタシはどうしろッてのよ」鳥の来ない止まり木は、ネオンの森に孤独に突っ立っているしかない。そもそも、もうすぐその役目も終わるのだ。長くオイランを続けてきたノナコには、次という選択肢がいつのまにか無くなっていた。 11

2014-02-08 22:42:09
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「あの人も来ないし……」内線。受話器を取る。事前にノナコを買いたいと言っていた客が来たのだ。この客が帰ったあとは、就業時間中に飛び込み客を待つだけだった。ノナコは灰皿に煙草を押しつけた。「とりあえずは、お仕事、頑張るか」 12

2014-02-08 22:44:12
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

その真夜中に、カラスが飛びこんできた。いつもこんな遅い時間には来ない男だったが、珍しいと思う暇もなく、ノナコはベッドに沈み込んでいた。二人の視線が交差する。瞬間、互いのアトモスフィアがいつもと違うことを読みとる。「……待ってた」「約束したろ?」 13

2014-02-08 22:47:30
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「肩、痛そう。怪我?」「仕事でな。きっちりやり返した、し、実際平気だ。気にするな」「わかった。けど、辛かったら言って」 「お前こそ、脛、どうした」「店の子に平手打ちしたら、やり返された」「喧嘩か」「そんなとこ」「お互い災難だな」「お互い頑張ってるよね」 14

2014-02-08 22:50:11
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

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2014-02-08 22:53:44
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「ちょっと、ダイジョブ?」「アー……ゲホッ……悪い」「部屋、ちょっと寒かったかな。お風呂であったまる?」「いや、いい。時間が無い」「時間なんか気にしないでよ。あなたが最後のお客さんなんだから」「いや……」「なぁに?」「いや……なら、まぁ、焦らないことに、するさ」 15

2014-02-08 22:53:57