日本海軍と肉じゃがに関する諸説を検証

「海軍」「料理」 で検索すると、やたらに雑学系botで 「肉じゃがは、日本海軍の偉い人がイギリスで見たビーフシチューを気に入り それを見た事が無い料理人に口頭でその特徴を告げ再現させようとして、偶然出来た産物。」 と出ますけど、それ伝説ですから(・ω・)ノシ
2014-02-09 02:26:18
この説の「海軍の偉い人」とは東郷平八郎を指すが、東郷がイギリス留学時代に食べたシチューの味を忘れられず、担当烹炊員に命じて作らせたところ、シチューなるものを知らない烹炊員は東郷から聞いた内容を元に醤油と砂糖で味付けした……というのがその骨子。
2014-02-09 02:31:54
この話を元に、現在舞鶴と呉が共に「肉じゃが発祥の地」として名乗りを挙げている。前者は東郷が明治34年に舞鶴鎮守府長官になっていたからで、後者は彼が同23年に呉鎮守府参謀長になっていたから、てのがその根拠。だったら明治32年に鎮守府長官だった佐世保が出てきてもおかしくないんだが…
2014-02-09 02:38:17
それどころか、烹炊員へ自由にメニューを注文できる立場なら日清戦争の際の防護巡洋艦「浪速」艦長時代もそうだと思うんだけど、なんで舞鶴と呉だけが「我が町こそ肉じゃが発祥だ!」と名乗れるのか……それはわからん。大人の事情というやつだろう。
2014-02-09 02:45:17
それはさておき。鎮守府司令長官や艦長といった高級士官のメシを作る烹炊員(厨業師)は、元々シャバで料理人をやっていた経験者の中から選んだり、民間から軍属の立場で雇用していたりした。つまり、選び抜かれた一流の料理人なわけだ。
2014-02-09 02:50:38
当然、和洋中の料理に関する知識も豊富で、注文を受けたらどんな料理でも作れちゃう凄腕料理人だったりする。そんな彼らが、明治も後期になってシチューの存在を知らないというのが果たしてありえるのか?
2014-02-09 02:53:39
シチューが日本国内に入ってきたのは明治維新からそれほど経っていない頃で、洋食屋のメニューにしっかり「シチウ」が入っている。その後、洋食は急速に家庭食に取り入れられていったが、明治23年(呉鎮参謀長時代)~同34年(舞鎮長官時代)にはシチューの存在は広く知られていた。
2014-02-09 02:59:11
重ねて書くが、高級将校担当の烹炊員は一流の料理人。それなのに、すでに民間でも知られているシチューの存在を知らないなんて、ちょっと考えられない。これじゃ「肉じゃが=代用シチュー説」は無理があるわな。
2014-02-09 03:04:48
まあ正直、肉じゃがに関しては「あ、やっぱり……」って感やなぁ。タモリの番組とかでもやってたけど、どっかで「諸説あります」をやたら言ってたし。
2014-02-09 03:06:29
思えば、獣肉を砂糖と醤油で味付けする調理法は江戸時代から普及していたし、その後の牛鍋(すき焼き)を見ると判るように、明治には珍しくも何とも無い調理法だった。じゃが芋だって戦国時代に日本に伝来していて、その後江戸時代には救荒作物として東北で栽培されてたので、そう珍しくも無い。
2014-02-09 03:12:48
つまり、肉と芋を醤油と砂糖で煮込むというのはそう変わったことではない。牛肉とじゃが芋の調理法として自然発生的に生まれたと考えるのが普通ではないか?
2014-02-09 03:16:18
@aruma_kanjiro 材料と料理の技法的に、肉じゃが=アイリッシュシチュー+すき焼き の様は感じですよね。 昔TVの企画でF1のジョーダンGPに肉じゃがをケータリングで出した時、エディージョーダンは「アイリッシュシチュー?」と質問していたのを思い出しました。
2014-02-09 03:13:18
@katogoma そう。こんな伝説(?)が生まれたのは、もしかしたら外国人が肉と芋をゴッタ煮にしているところを見て「これって日本式シチューだ!」と言ったから、なのかもしれませんな。
2014-02-09 03:25:23
まあ絞首刑の方でもライターで燃えた方でもどっちでも良いけど、肉じゃが=ビーフシチュー話って昨今のB級グルメ流行りから突然言われだしたんじゃなかったっけか。
2014-02-09 03:24:54
(これは、最初に肉じゃがを観光の目玉に推した舞鶴の中の人々に、そういう打ち出し方を考えたアドマンがいたんじゃねえかなあ、と邪推……)
2014-02-09 04:09:22
あった。明治22年11月に日本海軍にて制定された「五等厨夫教育規則」には、ちゃんと「シチュウー仕方」としてシチューの作り方が明記されている。つまり東郷が「浪速」艦長だった頃には、すでにシチューは海軍でも一般的な料理だったわけだ。「肉じゃが=シチュー説」は、これで否定できる。
2014-02-09 04:27:33
結論: 日本海軍にて、シチューを知らない烹炊員が砂糖と醤油で偶然に生み出したのが肉じゃがだ、という説は9割がた嘘です(・ω・)
2014-02-09 04:44:35
今朝方、肉じゃがが海軍発祥でシチューを知らない烹炊員によって偶然生み出されたもの、ていう説に対する疑問を延々書いた訳なんだけれど、ここで新説登場。「栄養価の面からシチューを採用しようとしたが、当時は材料が揃わないので、醤油と砂糖で代用して作られたのが肉じゃが」説。
2014-02-09 15:04:26
詳細は→ http://t.co/D0BKHrqRYM 簡単にまとめると、脚気蔓延を危惧した東郷が栄養価の高いシチューを普及させようとした所、当時はワインやバター等一部の食材が入手困難だった。だから砂糖と醤油で甘辛く煮込んだ説。実はこれ、意外に信憑性バカにできない。
2014-02-09 15:08:22
海軍の脚気問題について、東郷は若い頃から最前線にいた男だった。海軍の脚気対策については高木兼寛の業績がよく知られてるけど、実は東郷も明治20年、大尉時代に兵学校生徒を対象とした脚気対策のためのパン食比較実験の指揮を執っている。東郷が脚気に人一倍敏感だったとしても不思議じゃない。
2014-02-09 15:17:32