【戦国武将姫MURAMASA・ひみつ話】繋ぐ手は時を越えて尚も――

ソーシャルカードゲーム戦国武将姫MURAMASAの公式アカウントみの吉による小話まとめ
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門弟★戦国武将姫-MURAMASA-【公式】 @minokichi_ss

【戦国武将姫MURAMASA・ひみつ話】繋ぐ手は時を越えて尚も―― 

2014-02-11 23:38:06
門弟★戦国武将姫-MURAMASA-【公式】 @minokichi_ss

他愛の無い戦――否、戦とも言えぬほど稚拙な国境の争いに過ぎないはずだった。 1

2014-02-11 23:38:33
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錆びまみれの農具を長柄を括りつけた武器未満の道具に粗末な胴丸鎧を貼り付けた者は兵ではなく山賊の類にしか見えなかった。 2

2014-02-11 23:39:12
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その癖、統率だけは取られており、よくよく見れば武具未満のそれらもやけにしっかり作られていた……一人対峙する少女の双眸が無数の敵を見据えた。 3

2014-02-11 23:40:00
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少女の痩身に似合わぬ槍を縦横に振るい、粗末なーーだが、当たれば死ぬ事には変わらない無数の鋭さを弾いては尽くをなぎ倒した。 4

2014-02-11 23:40:11
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槍を振り下ろすと赤色が地に斑に広がる。数刻に渡る戦闘の為か少女の息は荒く、疲労が身体を震わせている。石突を地に付き、膝を着いた。敵は尚も迫り、殺意は少女へと突き進む。 5

2014-02-11 23:40:56
門弟★戦国武将姫-MURAMASA-【公式】 @minokichi_ss

火花が溢れ、敵の一陣が爆ぜるようにはじけ飛んだ。其処には長身の女性――と、いっても少女より数歳上と言う意味だが、一人、少女の背後にあった。 6

2014-02-11 23:41:08
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「せっちゃん……」少女の声は安堵がある。助けられた事ではなく、呼びかけた女性が無事であった事による安堵だ。 7

2014-02-11 23:41:18
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せっちゃんと呼ばれた長躯の女性は少女の肩を担ぐ。「どうやら罠に候」少女と同じく女性の息は荒く、疲弊が肩を上下させている。 8

2014-02-11 23:41:42
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「ここは引きましょう。仲間は既に撤退させました故に」女性は少女の肩に手を回し、少女も頷いた。9

2014-02-11 23:41:57
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二人の背中に白と黒の翼が広がった。互いの背に一翼、二人揃っての翼がそこに有り、戦が始まった頃は無かった月の光が二人照らしている。 10

2014-02-11 23:42:07
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旋風が砂塵を舞い上げ、2人が飛び上がる……それは夜闇に溶け、消えていく。だが、ここまでだった。戦い続けた疲弊が二人のどちらか、恐らくは両者の意識を散逸させ……地へと落下した。11

2014-02-11 23:42:29
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――におい、甘いにおい……少女は目を閉じたまま、そんな事を思った。「気がついたかしら??」聞き覚えのある声、それも懐かしい声にゆっくりと目を開く。12

2014-02-11 23:42:47
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「鎮信様……」呟くと共に目を開くと懐かしい人が其処にいた。ああ、死んだのかと思ったが、手を繋いだままの女性からは体温を感じ取っていた。13

2014-02-11 23:43:28
門弟★戦国武将姫-MURAMASA-【公式】 @minokichi_ss

「鎮信……??わたしは吉弘鑑理です。その方は私と似ているのですか??ふふっ……」そう言っては鑑理と名乗る女性は微笑んだ。少女は周囲を見渡すとどうやら茶屋の座敷に寝かされていた事に気づく。 14

2014-02-11 23:44:27
門弟★戦国武将姫-MURAMASA-【公式】 @minokichi_ss

少女は改めて鑑理を見つめた。よく似ている……が、別人だ。それに鎮信様は既に亡くなられている……やっぱ、死んだのかな??少女の疑念は握り返す手によって再度霧散した。15

2014-02-11 23:45:04
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「せっちゃん……」少女は心配そうな表情を浮かべ、手を握り返す女性を見つめた。「倒れていても手だけは離さなかったんですよね」鑑理はそう言葉を添える。16

2014-02-11 23:45:41
門弟★戦国武将姫-MURAMASA-【公式】 @minokichi_ss

女性もまた目を開き、鑑理を見ては驚きの表情を浮かべる。だが、その後の言葉は少女とは異なった。 17

2014-02-11 23:46:03
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「お尋ねしたく思いますが……この場所、そして何時かをお教えください」鑑理より返ってきた言葉に少女は困惑した。数十年前の日付だったからだ。どういう因果かわからないが時を越えたとしか説明がつかない。 18

2014-02-11 23:46:10
門弟★戦国武将姫-MURAMASA-【公式】 @minokichi_ss

「……どうやら辛い事が起こったようですね、でも……安心してください。ここを治めるかまちーは困っている人は見捨てない人だから」 19

2014-02-11 23:46:33
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鑑理はそう言いながら、軽く微笑み……「実は今、丁度人を探してて新しく開く茶屋、まぁ、ここなんだけど、ここの店員さんを探しているの……あなたたちが良ければの話だけど」と言葉を続ける。 20

2014-02-11 23:47:20
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少女は困惑した。茶屋の店員なんてどうすればいいのだろう……だが、女性の手が何も言わず握り返した。心配なんていらないんだ……いつでもどこでも二人ならやっていける。少女もまた手を握り返し、少女と女性はとある茶屋で働く事となった…… 21

2014-02-11 23:47:35
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【戦国武将姫MURAMASA・ひみつ話】繋ぐ手は時を越えて尚も――   了

2014-02-11 23:50:22