【第一部-拾四】誰かを見つめる時雨と夕立、そして村雨 #見つめる時雨

時雨×夕立 夕立×村雨
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誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「…夕立?」 夕立が僕のパジャマの裾を掴んで、僕を見ていた。僕が声をかけると、驚いたように肩をビクッと震わせた。 「…な、何でもないっぽい…」 …口ではそう言っているが、夕立の手は裾を握ったままだった。何もないようには見えない。 「…どうかした?」

2014-02-11 01:20:09
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

夕立が顔を伏せる。裾を握る力が少し強くなった気がした。 「……」 僕は何となく、目の前にあった夕立の頭を撫でた。サラサラした柔らかい手触りが、心地良い。…でも、どうしたんだろう? 「…ぽい…」 …そういえば僕が山城と約束した日の夜、夕立の帰りが随分遅かったのを思い出した。

2014-02-11 01:25:08
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

あの夜、僕は気疲れで眠かったっていうのもあって早めに就寝したけど、夜中に扉が開いた時に隙間から漏れた月明かりで、夕立の帰りを知った。あれは何時くらいだっただろうか…。時刻はわからなかったけれど、深夜も深夜だったのは間違いない。

2014-02-11 01:30:13
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「…夕立、どうしたの? 何か悩みがあるなら、何でも言ってよ」 夕立を撫でながら声をかける。すると夕立が消え入りそうな小声で呟いた。 「…もっと、撫でて欲しいっぽい…」 「…うん、いいよ」 僕は夕立の肩を引き寄せ、頭頂から後頭部にかけて撫でてあげた。

2014-02-11 01:35:11
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

夕立が僕にもたれかかる。頭を僕の首元に擦り寄せるように動かしている。ちょっとくすぐったい。 「…時雨…」 「何かな?」 「…夕立の名前、呼んで…」 名前?そんなの、いくらでも言ってあげるけど…。本当にどうしたんだろう。 「…夕立」

2014-02-11 01:40:09
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「…時雨」 「…夕立」 「…えへへ…」 夕立が嬉しそうな声を漏らす。そして顔を上げ、僕の頬に頬ずりをしてきた。僕の耳に夕立の息がかかる。僕は夕立の頭をあやすように優しく叩いた。

2014-02-11 01:45:11
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

夕立が僕の肩に顔を沈め、再び大人しくなった。夕立の体重が僕側に傾いてきたので、夕立を抱くように支え直す。 「時雨…。時雨って好きな人いるっぽい…?」 「え…」 突然言われ、心臓が跳ねる。夕立…どうして…。

2014-02-11 01:50:09
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「…冗談っぽい…。何でもない…」 「…そ、そう…」 心臓が焦るように早く脈打つ。この鼓動、夕立にも聞こえちゃってるかな…。 「…時雨に好きな人がいるかはわからないけど…時雨を好きな人は、いるかもしれないよ…」 「え?」

2014-02-11 01:55:10
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

それはどういう…。 「……なんでもないっぽい!ぽい!」 夕立が僕から身体を離した。 「ありがと、時雨。元気出たっぽい!」 そこにはいつもの夕立の笑顔があった。

2014-02-11 02:00:14
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「時雨、寝よう。もうこんな時間っぽい」 夕立が布団の中に潜っていく。 「う、うん…」 夕立が言っていたことが気になるけど、夕立はそれ以上話す気は無さそうだった。仕方なく、僕も自分の布団に潜ることにする。と、電気消さないと。 「じゃあ消すね。おやすみ、夕立」

2014-02-11 02:05:09
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「うん…おやすみ、時雨…」 部屋が暗闇に包まれる。僕は手に伝わる布団の感触を頼りにして、布団に入りこんだ。…夕立の言葉が頭に悶々と漂う。 「…夕立」 なんとなく声をかけた。…夕立の寝息が聞こえた。もう寝ちゃったか…

2014-02-11 02:10:09
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

……そういえば、今日は咬まなかったな、夕立……

2014-02-11 02:15:09

次の日…

村雨視点

とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

全ての明かりを落とした部屋。唯一の光源となっている月明かりが、ひどく明るく感じられる。 「ん…んっ…」 白露は遠征で今はいない。でも普段この部屋に白露がいると思うと、声を出してはいけないという感覚に陥る。しかし、口を抑えた掌の隙間から漏れた自分の声が、部屋に反響していた。

2014-02-12 00:00:31
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…夕立…ぁ…はぁ…」 夕立の歯が私の鎖骨を咬む。痛みは殆どない。むしろピリピリと痺れるような感覚が、とても心地よく感じられた。 「んっ!…ふぁ…」 彼女の指が傷口に触れ、鋭い刺激が身体を走った。 「…時雨…」 …夕立が、私でない名前を呟く。

2014-02-12 00:05:53
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…時雨、夕立のこと、撫でてくれたんだよ…」 「…うん…」 夕立が私の首に舌を這わせた。私の首元は、既に夕立の唾液に塗れていた。 「…夕立がね、時雨に好きな人いるっぽい?って言ったら、時雨…すごいドキドキしてたんだよ…」 「…うん…ぁ…」 夕立の歯が、肩に食い込んだ。

2014-02-12 00:10:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「んっ…時雨、最近とっても楽しそう…。よくカレンダー見てる…」 「…うん…んっ…」 夕立の手が、私の胸の膨らみを掴む。 「…時雨にそのことを言うと、恥ずかしそうにするんだよ…」 「…うん…うん…んくっ…」 既に硬くなっていた先端も圧迫され、甘い刺激が身体を走った。

2014-02-12 00:15:29
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「時雨…」 夕立が私の肩に顔を埋める。…この前に比べればだいぶ落ち着いたみたい。よかった…。ダメ、焦っちゃダメだよ、夕立…。だから今は…私を代わりにして…

2014-02-12 00:20:24
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

日に日に夕立の時雨への気持ちは強くなっていた。気づいてすら貰えないことが、それに拍車をかけていた。それは、ただでさえ少ない夕立の容量に、入りきらない勢いで溜まっていった。そして…この前の出来事で、その一部が決壊した。溢れだした感情は、夕立自身を恐怖させるほどに大きかった…

2014-02-12 00:25:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

このままじゃまた時雨を襲ってしまう。夕立も壊れてしまう。それは絶対に阻止したかった。だから私は…身体をあげた。発散場所として。夕立の想いは時雨に届かない。行き場をなくした想いが、私にぶつけられている。これは私が言い出したこと。夕立があまりに可哀想で、夕立の為ならと思って…

2014-02-12 00:30:31
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

…違う。夕立にこうして欲しかったのは、私。夕立の時雨への気持ちは知っていた。夕立の時雨を見つめる瞳に、その意味があることに気づいた時…私は自分の中にあった気持ちを諦めた。夕立には幸せになって欲しかった。好きな人と一緒になって欲しかった。だから…応援したかった。けど…

2014-02-12 00:35:23
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

だけど…あの時夕立が泣いているのを見ていたら…気持ちが抑えられなかった…。私ね…今、すごく嬉しいの…。夕立の目に映ってるのは私じゃないけど、今私に触れてるのは紛れもない夕立なんだよ…。こんな日が来るなんて思ってなかった…。このまま、夕立を私のものに出来たら…

2014-02-12 00:40:35
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

でも…そんなのいけないよね…。夕立が弱ってるのをいいことに、そこにつけ入るようなこと…。夕立の気持ちを無視してしまうようなこと…。夕立のことが好きだからこそ…私は…。 「…んっ…あっ…夕立…ゆうだち…」 私とお揃いの夕立のリボンが、私の頬をくすぐった…

2014-02-12 00:45:23