指穴考 - 寺原太郎さん

バーンスリー奏者寺原太郎さんによる笛の指穴の大きさに関する考察。
音楽 インド音楽 バンスリ フルート
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taro terahara @srgmtaro
【指穴考】さっきリプしてて思ったが、指穴に関してリコーダーやトラベルソはかなり特殊な笛。なぜあんなに指穴が小さいのか(モダンフルートやクラリネット等ベーム式以降の笛はここでは考えない)。
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】指穴というのは、塞いでない時はサウンドホールでもある訳で、大きければ大きいほど(と言っても「≦内径」だけれど)音も出るし抜けも良い。リコーダーやフラウトトラベルソは、敢えて音量の出ない楽器にしてるのか?
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】指穴φ=内径φなら理論的には管がそこで切れてるのと同じこと。但し、指でその穴を塞ぐと、指が管内の空気柱に食い込むので、内径が半分くらいになってしまい、音程のバランスが著しく崩れてしまう。だからケーナにしろ篠笛にしろバンスリにしろ、指穴は内径の2/3くらいまでに
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】収まってる訳。経験的に、それくらいが一番効率いいってこと。逆に、音律を気にせずむしろ音色一発勝負な能管なんかは、これでもかとでかい穴(だか溝だか、もはや)が開いてたりする。然るにリコーダーとトラベルソ。あのかそけき指穴は何事ぞ。
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】指穴が大きいことのメリットには、音量以外に、開けた指穴より末端側の指の影響を受けにくいことが挙げられる。逆に言えばクロスフィンガリングがあまり効かない。リコーダーの小さな指穴は、様々なクロスフィンガリングを活用するために発達したのだろうか?
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】インド音楽ではオクターブ内に22個の音程があると云われたり、トルコやアラブ音楽では半音、四分音、六分音、九分音があると云われてたりするが、そういう微小音程を駆使するには、クロスフィンガリングでは煩雑にすぎる。耳で判断しながら"程度よく"指穴を開け閉めした方が早い。
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】あとインドや日本等の、コブシ回しや滑らかな音の動きに情報量の多い音楽の場合も、クロスフィンガリングでは却って情緒的な演奏が困難になってしまう。
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】その点から言えば、モダンフルートはたしかに戦闘力抜群のサイボーグ楽器だけど、インド音楽が実現しようとしている観点から見れば、あれは進化ではなく退化。竹の笛で簡単にできることが、メカニズムのお陰でできなくなってしまった。
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】サンキョウフルートみたいに、アラブ/トルコ音楽用に中三度のキーを付けたフルートを出してる意欲的なメーカーもあるけどね。でも五度のミーンド(グリッサンド)はさすがにできない、よね?
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】で話が指穴からズレたけど、つまりモダンフルート式のシステムは、リコーダーやトラベルソの持っていた"特殊な"性質(事情)からそっち方向へ進化していった果ての姿なんじゃないかと思うのね。
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】そもそも竹や太い葦の生えてる地方で、縦にしろ横にしろ斜めにしろ笛を吹かなかった民族はいないんじゃないかと思うんだけれど、逆に言えば竹類が自生していなかったヨーロッパで"笛"を作るのは、並大抵のことではなかったんじゃないかと察せられる。
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】大変だよね。材に縦に真っ直ぐな穴を開けるんだよ。木工旋盤なかったら無理でしょ。あるいは骨や角。あるいは陶器で。あるいは白蟻の開けた穴。あるいは白樺の皮を巻いて。とにかく、竹ネイティブから見れば涙ぐましいほどの知恵と努力の賜物。そうかそうか、そうまでして笛が吹きたかったか
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】一説には世界中の横笛の起源はインド辺りというけれど、そうして伝わった未知なる宙空の植物で作られた管楽器は、ヨーロッパの人々に、何とかして自分たちの手に入る素材で真似しようと躍起にならせるだけの悪魔的魅力を持っていた訳だ。
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】話が指穴と関係なくなってる?まあまあ。
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】でまあ、木材加工技術の発達とあいまって、ようやくヨーロッパの人々も木で作られた笛を手に入れた。自分たちの、自分たちによる、自分たちのための笛だ。やったね!だがしかし、木で作られた笛には、竹製の笛と比べて大きな弱点があった。それは、割れやすいということ。
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】実際、元々そういうカタチで生まれて育った生物である竹と比べて、木を削って穴を開けて作られた笛は、あまりにも脆い。ちょっとした温度と湿度の変化で簡単に割れてしまう。
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】で、ここでやっと指穴に話が戻るのだが、もしかしたらリコーダーの指穴が小さかったのは、機能的な理由ではなく、構造的な制約だったのかも、とこの項書き始めてから思いついたのでした。
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】それは単に"指穴が大きくなると材としての強度が弱まる"というだけじゃなくてね。管の肉厚を竹ほどに薄くはできない、ということも含めて。肉厚が厚くなるとどうなるかというと、振動体がただの棒状の空気柱ではなく、管内のメイン気柱の上に指穴の分だけポコポコ煙突のついた形状、って
taro terahara @srgmtaro
【指穴考】ことになる訳ね。つまり、大きな指穴を開けてしまうと、その指穴径×肉厚の容積分だけ誤差が出る。オクターブで音程バランスがひどく崩れる。だからその誤差を最小限に留めるために、鳴りを犠牲にしてまでも小さな指穴方式を採用した、のではないかと、それが本日深夜の連投の帰着点。

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