ろいったー百物語

紅つるぎ @beni_rw

@rowit_next 「おっと、ただし一つ約束だ。俺との約束を、誰かに話したりはするなよ？……そんなことになったら、俺はお前を、連れて行かなきゃいけなくなるから」さあ、この話をしてしまった彼女は……それから、いったいどうなったのかしらね。昔々の、お話よ。

紅つるぎ @beni_rw

（灰色の空と、濡れそぼった木々。何も存在しない空間を見つめる紅つるぎの目の中にだけ、ほんの一瞬真っ赤な髪の人影が映った）あなた…？

紅つるぎ @beni_rw

あなた、あなた……迎えに来てくれたのね。遅かったじゃない。ずっと…あたしはずっと、貴方を待っていたのに。（二階の窓を開け放ち、まだ冷たい二月の風の中へ身を投じる）

アーデルハイト @Adelheid_rorp

（机の上にずっと置いてあったけれど、開くことの出来なかった本を手に取った。手に力が入らず、本を持った手が震える。表紙をめくる勇気は、まだ、出ない。――端末を操作すると、本を両腕で抱え、ベッドへゆっくりと倒れ込んだ。端末の画面に記したそれは《居場所》の名）

アーデルハイト @Adelheid_rorp

【2/28】『Edelstein』

チョコラテ @ChocoLatte_rwt

@rowit_next その昔、欲に塗れた一人のサキュバスがいました。 サキュバスはこの世の全ての欲を見たいが為に 翼と引き換えに不老と半永久に生きられる命を得ました。 サキュバスは自らの探求欲を満たすために人間の世界に降り 沢山の欲を見て、自らそれに加担するようになりました。

チョコラテ @ChocoLatte_rwt

@rowit_next サキュバスは自らに似せた少女の人形を作りました。 「お前が出逢った世界の欲を見てみたい」 少女は自らが人形とは知らず、人間と触れ合いました。 そこで、一人の魔導師と出逢ったのです。 少女を見た魔導師は彼女を好きになり、共に生活をするようになりました。

チョコラテ @ChocoLatte_rwt

@rowit_next 魔導師は少女を愛し、少女も魔導師を愛するようになりました。 ある日、少女はサキュバスに呼び出され、戦いの駒にされて壊れました。 魔導師は悲しみ、少女を復活をサキュバスに望みました。 サキュバスは魔導師と契約を行い、少女を蘇らせました。

チョコラテ @ChocoLatte_rwt

@rowit_next 魔導師がサキュバスにした契約は 「欲を満たすために私以外の人間に手を出さぬこと」 サキュバスが魔導師にした契約は 「お前の中の欲を死ぬまで捧げ続けること」 魔導師はその契約をのみました。 サキュバスは魔導師と少女に同じ時を生きる呪いをかけました。

チョコラテ @ChocoLatte_rwt

@rowit_next 同じ時を生きる呪い。 それは少女か魔導師の命が尽きるまで、老いることなく生きつづける不老の呪いでした。 呪いの影響で魔導師は＜魔女＞となりました。 これから先、サキュバスが生きている限り 魔女と少女は人間ではない道を生きることになったのです。

チョコラテ @ChocoLatte_rwt

@rowit_next 魔女はこれからも生き続けます。 千夜一夜を語る物語にあった、王の暴挙を抑えるために嫁いだシェヘラザードのように その自らの欲と物語でサキュバスを愉しませ続けるでしょう。 もしかしたら、その魔女はすぐ近くにいるのかも知れません。 例えば 続きはまた明日。