敗戦のなかの天皇―ダワー(1999)『敗北を抱きしめて』より

 1945年8月15日、いわゆる「玉音放送」をきっかけに、日本のひとびとは戦争の終結を知ることになります。それとともに、彼らは敗戦と日本社会の復興に向き合うことになりました。  以下では、とくに天皇や帝国主義と敗戦後の社会の関係を考えてみましょう。この点に関して重要な議論を提起しているジョン・ダワ―氏による『敗北を抱きしめて』という著作からの引用の抜粋です。本書は、複数の表彰をうけ、多くの読者を獲得しました。 出典 続きを読む
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dabitur @dabitur

[book] 読。評判通りの名著でした。 / 原著1999年 / ダワ―(2001)『敗北を抱きしめて』下  http://t.co/1R5yuLPeE0

2014-02-16 23:54:21
dabitur @dabitur

下巻では「天皇制民主主義」(Imperial democracy)という表題のもとで三つの章が置かれており、天皇と敗戦直後の日本社会・米国との関係について多くの記述がある。著者の天皇にたいする関心の高さを物語る構成だといえよう。以下、総論部分から少し引いてみる。

2014-02-17 00:05:49
dabitur @dabitur

[quote] 「降伏の時まで、天皇は国民教化における最高の献身対象であった。兵士はみな携帯用の『戦陣訓』を携えて戦争にいった。戦陣訓は次のような文章ではじまる」(ダワー(1999/2001)『敗北を抱きしめて』、下巻、p.3) http://t.co/1R5yuLPeE0

2014-02-17 00:06:33
dabitur @dabitur

[quote]「『夫[そ]れ戦陣は、大命に基き、皇軍の神髄を発揮し、攻むれば必ず取り、戦えば必ず勝ち、遍く皇道を宣布し、敵をして仰いで御稜威[みいつ]〔天子の威光〕の尊厳を感銘せしむる処なり』」(ダワー(1999/2001下:3))

2014-02-17 00:07:26
dabitur @dabitur

[quote] 「〔さらに、〕真珠湾攻撃の四ヵ月前に出た重要な冊子に、『臣民の道』がある。これは政府のイデオローグたちが執筆したもので、天皇は天照大神の直系の子孫であり、日本は神の統治したまう国であることを強調していた」(ダワー(1999/2001下:3))

2014-02-17 00:07:53
dabitur @dabitur

[quote] 「すなわち、『皇国臣民の道は自我功利の思想を排し、国家奉仕を第一義とし、天壌無窮[てんじょうむきゅう]〔天地ともに永遠に続くこと〕の皇運を扶翼し奉るにある』と」(ダワー(1999/2001下:3))

2014-02-17 00:08:44
dabitur @dabitur

[quote] 「『臣民の道』は、孝と忠を皇国の最高の美徳とし、こうした美風をそこなう『個人主義、自由主義、功利主義、唯物主義』を注意深く排斥しようと苦心した文書であった」(ダワー(1999/2001下:3))

2014-02-17 00:09:19
dabitur @dabitur

[quote] 「天皇裕仁は不可侵であり、天皇の率いる戦争は聖戦であった。天皇に体現された徳は、唯一かつ不変であった」(ダワー(1999/2001下:3))

2014-02-17 00:10:14
dabitur @dabitur

[quote] 「〔本書のなかで〕のちに明らかになるように、裕仁はしたたかで適応力のある人物であり、天の助け――もっと具体的にいえばマッカーサーの助け――によって生き残り、満ち足りた人生を送った」(ダワー(1999/2001下:3))

2014-02-17 00:11:05
dabitur @dabitur

[quote] 「他方、裕仁を、とりまいた忠良なる臣下たちは、みな責任を問われ、公職から追放され、戦争犯罪で訴追され、さらには処刑された者さえいた。天皇が日本の侵略においてどんな役割を果たしたかが、きちんと調査されたことは一度もなかった」(ダワー(1999/2001下:3f))

2014-02-17 00:11:41
dabitur @dabitur

[quote] 「アメリカは、天皇の承認のもとに、天皇の名において行なわれた抑圧と暴力に対して、道義的責任すら認めないよう、天皇を説得した。側近たちが天皇退位の可能性をもちだすと、最高司令官は断固これに反対した」(ダワー(1999/2001下:4))

2014-02-17 00:12:29
dabitur @dabitur

[quote] 「こうして占領軍当局は天皇の名において戦われた聖なる戦争そのものと天皇個人を切り離したが、そればかりでなく、占領軍がかかわってつくりあげた新生民主主義国家の中心に、天皇を再び据えつけたのであった」(ダワー(1999/2001下:4))

2014-02-17 00:12:59
dabitur @dabitur

[quote] 「天皇のこの魔法のような変身は、政治的にも思想的にも広く深い影響をあたえた」(ダワー(1999/2001下:4)) 

2014-02-17 00:13:49
dabitur @dabitur

[quote] 「何が正義かは権力によって恣意的に決められるものとなり、戦争責任の本格的な追及は矛先をそらされてしまった」」(ダワー(1999/2001下:4))

2014-02-17 00:14:10
dabitur @dabitur

[quote] 「国家の最高位にある政治的・精神的指導者がつい最近の事態になんの責任も負わないのなら、どうして普通の臣民たちが我が身を省みることを期待できるだろう?」(ダワー(1999/2001下:4))

2014-02-17 00:14:47
dabitur @dabitur

[quote] 「戦後の政治意識は混濁してしまった」(ダワー(1999/2001下:4))

2014-02-17 00:15:16