Orphe兄貴の艦これ航海日誌~ペナン編(2014年2月)

マイアミ鎮守府VSケンペイ天狗
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orphe @orphechin

白い光に照らされた廊下の中で、羽黒は立ち尽くしていた。 #艦これ航海日誌

2014-02-13 01:28:12
orphe @orphechin

目を閉じて思うのは赤い海の事だ。自分はそこで半身を浸している。掌に水を溜め、顔を浸ける。塩の味と鉄の味。水は粘り、絡み付き、顔からとれない。今一度水を掬い顔を拭う。水は一層粘りを増し、顔を赤く塗りあげる。睫毛に絡んだ滴が、自分の目を塞ぐ。それが嫌で、目を擦る。 #艦これ航海日誌

2014-02-13 12:47:31
orphe @orphechin

擦った瞼を開いて見えたのは女の顔。整った鼻を砕かれ割れた唇の先からとめどなく血を流した女の顔。そこに自分の拳が吸い込まれていくのを見た。幾度となく拳は女を撃ち据えその顔を歪ませ、削る。顔は次第に粘液と固体の凝固物と成り果て赤い海の中に沈み、やがて海と融け合う。 #艦これ航海日誌

2014-02-13 12:53:09
orphe @orphechin

もう一度海の水で顔を拭う。いや、塗り付ける。赤い水は自分の体をくまなく覆い、単色へと変貌させる。手を突きだすと、暗闇がそこに黒の差し色を加える。赤と黒。それが自分の色であり存在の顕現であると再確認する。自分は両手を握りしめ、そして開く。 #艦これ航海日誌

2014-02-13 12:58:07
orphe @orphechin

開いた手の先から白い点が広がっていくのを見た。それは次第に数を増し大きくなり、そして自分の手から浮き上がる。白は一本の腕を形作る。その手が自分の喉に伸ばされ、締め上げる。 #艦これ航海日誌

2014-02-13 13:00:24
orphe @orphechin

白い手が自分の首の骨が軋ませる音が聞こえる。音は世界を取り巻くように渦をなし自分を責め立てる。意識が遠ざかる中、鼓膜が破れる程の高い音が鳴った。 目を開けたとき、羽黒の目の前には白い天井が広がっていた。頭を振りベッドから起き上がり、窓の方へ向かう。 #艦これ航海日誌

2014-02-13 13:04:52
orphe @orphechin

窓に広がる青いペナンの空を見つめ、羽黒は息をついた。 #艦これ航海日誌

2014-02-13 13:05:48
orphe @orphechin

早朝から調査をしたが、概ね不首尾に終わった。情報屋や街の顔役、そこらのチンピラ、乞食。提督と羽黒は様々な連中に聞き込み、時に尋問をしたものの、手がかりになるようなものはつかめなかった。ただ、一つだけひっかかる言葉を残した者がいた。それは1人の年寄りの言葉だった。 #艦これ航海日誌

2014-02-14 00:17:06
orphe @orphechin

「この地には神が多くいる。不思議と思われることもここでは常識となる。お前たちが探す者が何者かは知らない。ただ、やめておくべきだとは思う。神の足跡を辿ることは2つの結果しかもたらさない。栄光か、さもなくば冒涜か。お前たちのしていることはきっと後者だ」#艦これ航海日誌

2014-02-14 00:21:17
orphe @orphechin

提督は中指を立てて老人の元を去ったが、彼の言葉は妙に提督の脳裏に残った。不思議と思われることもここでは常識となる。このペナンには多民族社会の名残で多くの宗教施設がある。そのうちの誰かが、何かしら、変なものを呼び覚ましたのかもしれない。彼はそんな事を考えていた。#艦これ航海日誌

2014-02-14 00:24:59
orphe @orphechin

聴きこみをし、羽黒と昼食をとり、また調査に向かう。午後も手がかりはなし。 「羽黒、疲れたか?」「いえ、大丈夫です。司令官さんは?」「クソ暑い中歩きまわって喉が渇いた。ホテルに戻る前にどっかでビールをやりてえ」「ですね」 街を歩く2人の前に、人だかりができていた。#艦これ航海日誌

2014-02-14 00:28:01
orphe @orphechin

濃い顔立ちの連中が奇妙な衣装の支度をしようとしていた。「あれは…なんでしょうか、司令官さん」羽黒が提督に聞く。「さあな…おいそこの坊主。あれはなんだ」街を歩いている子供の1人を捕まえ、訊く。「あれはヒンズー教のお祭りだよ。神様の降臨を祈るのさ」#艦これ航海日誌

2014-02-14 00:30:13
orphe @orphechin

よく見ると、衣装姿の男たちの後ろにはいくつもの神輿が置いてある。神輿は動物やあちらの神の形をしており、日本のものとはまた別の趣がある。「ネオンまでついてますね」「向こうはやることがハデだな」日は沈みかけている。夜にはネオンを付けた神が街を練り歩くというわけか。#艦これ航海日誌

2014-02-14 00:33:17
orphe @orphechin

*beep* 提督の携帯が鳴る。<ドン・ファン>、愛宕からの着信だ。「手がかりは見つかったか」「ええ。とびっきり忌々しいのが」彼女から教えられた場所は、2人の歩いている街道からほど近い移民街だ。 #艦これ航海日誌

2014-02-14 00:36:02
orphe @orphechin

現場について提督と羽黒を待っていたのは愛宕、<ナイジェル>、隼鷹、そして…鉄柱に巻きつけられた肉塊だった。いくつもの穴が穿たれた「それ」は、恐るべき腕力を持って無理矢理に飴のように引き伸ばされた人の体だった。「うちの商売敵だった男よ」愛宕が言う。#艦これ航海日誌

2014-02-14 00:38:14
orphe @orphechin

「で、この人間飴の素材はどんなこと仕出かしたんだよ」肉塊から目を逸らし、<ナイジェル>が愛宕に訊く。 「ごく普通の悪党よ。ただ少しだけ、趣味がローマ的でね。仕事に失敗した艦娘同士を殺しあわせて楽しんでたサディストだったのよ。他にも種々の拷問をやってたって言うわ」#艦これ航海日誌

2014-02-14 00:41:16
orphe @orphechin

「その結果がこのゴルゴダの磔刑かよ…」「提督、さすがにあたし、気分悪くなってきた」「同意だな。帰らせてもらうぜ」「待って。こいつが殺されたという事は、敵対組織の仕業という線を考えなおした方がいい」#艦これ航海日誌

2014-02-14 00:43:43
orphe @orphechin

「私はあまり敵を作らないタイプなの。叩き潰すのも手間だし、取り込むやり口も心得てる。ただこいつは最後まで私に抵抗してた男。正直なところ<ジェイク>が殺された時、真っ先にこいつの関与を疑ってたのよ」愛宕が言う。#艦これ航海日誌

2014-02-14 00:45:09
orphe @orphechin

「そんな奴が殺されたということは…」マイアミ提督が考えこむ。 「犯人はプッツンさん。それも相当危険なね」愛宕が胸元からジタンを取り出し火を付ける。紫煙を吹き出し、「狂人は厄介よ。金も色も、およそ取引など通用しない。彼らはただ自らの妄想を唯一の行動原理とし、動く」 #艦これ航海日誌

2014-02-14 00:50:33
orphe @orphechin

ただ一つの原理だけで動く、か。 愛宕の話を聞きながらマイアミの男は考えていた。 -まるで深海棲艦だな。 そして羽黒を見やる。 -あるいは… 「そういや<ジョーンズ>はどうした?」<ナイジェル>が言う。 「お前の話を聞いてて思ったが、あいつ、やばくねえか」 #艦これ航海日誌

2014-02-14 00:53:38
orphe @orphechin

「そういえば来いと言ってたのに、来てないわね」 「おい一応仲間だろうが」<ナイジェル>が苛立つ。 「あいつは確か、ペドフィリアだったな」マイアミ提督が言う。 「<ナイジェル>の直感が正しければ、あいつも狙われていておかしくない。すでに狩りの対象にされているかも」#艦これ航海日誌

2014-02-14 01:01:18
orphe @orphechin

直後、提督たちの後ろから、悲鳴が聞こえる。男と女、複数の悲鳴だ。 「噂をすればだな」羽黒に合図する。 「追え」会釈し、直後トップスピードで駆ける羽黒。隼鷹もいつの間にか持っていた巻物を開き、そこから何十もの艦載機を放たせる。 「俺達も行くぞ」 #艦これ航海日誌

2014-02-14 01:04:50
orphe @orphechin

現場から百m程度離れた移民街の路地。その狭い道を走る羽黒の前、屋根の一角に、「彼」はいた。片手に吹雪、片手に彼女の提督を吊るしたその男は、恐ろしく盛り上がった筋肉を擦り切れた軍服に包み、そして顔には天狗の面を身に付けていた。羽黒は彼に砲の照準を合わせる。 #艦これ航海日誌

2014-02-14 01:09:01
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