ストレイトロード:ルート140(3周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」のコンビがお届けする、短編という名の習作。1日1話ペースで継続中。 今回は101~150をまとめました。 元の短編の掲載場所: http://www.gekkado.jp/
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

登場人物1 藍:謎の侵略者に空を制圧された世界で、己の野望のため何かを追い求める少女。13歳。大気に関する不思議な力を持つ。ツインテールと青/黒のオッドアイが特徴。アイではなくランちゃんです。

2013-12-29 21:49:23
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

登場人物2 ゼファール:語り手。藍に運転手として雇われ、なかなか家に帰ろうとしない彼女の保護者代わりとして旅に同行する男。45歳。若い時分に夢を諦めて以来、目的なく生きてきた結果、なんかヤバイことに巻き込まれた。

2013-12-29 21:53:04
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

二人の愛車について:白いワンボックス。短編(ストレイトロード)の時に買わされ、幸い乗り捨てるような事態には陥ってないのでそのまま乗り続けている。なお左ハンドルで、藍は助手席つまり右側が定位置。

2014-02-17 23:56:00
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

取引相手に藍が手を差し出す。見ているうちにふと思い出したのは、彼女と出会った時のことだ。「契約成立ね」あの日、私は小さな手を前に、その仕草の意味を思い出せず思考を止めた。再起動させたのは仲介者が背中に入れた平手だった。「握手だろ?」やっと出した私の手を握って藍は言った。「変な人」

2013-12-29 23:16:54
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、101。握手。 休まず通常運行を続けます。

2013-12-29 23:17:26
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「いたぞ!」ひと騒動起こした現場から藍を連れ出し車に戻る途中、追ってきた子供たちが石を投げてきた。大半が路上に跳ねる音を立てる中、一つ二つ当たったのか藍は舌打ちしたが、足を止めなかった。「何も起きなかったらあっちは面白くないでしょ。反応した時点で負けなの」声はわざとらしく冷たい。

2013-12-30 22:01:04
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

表通りは人々で賑わい、広場の盛況を家の中にまで伝えてくれる。私が窓から彼らを見下ろす間、藍はラジオが流すカウントダウンを聴きながら、同じ窓から上を見ていた。「馬が走ってるみたい」「何がです?」「あの雲」地上の明かりが夜半の空を照らし、雲の形を鮮明にしていた。天馬は東へ駆けていく。

2013-12-31 23:42:07
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、103。馬。 人が見ない方を向いてみよう。そこにも世界はある。

2013-12-31 23:42:48
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

新しい年を迎えた。でもそれは世界を飛び越えるわけではなく、前の年から一歩踏み出しただけだ。土台は何も変わらない。藍が自ら大好きなパンケーキを焼く姿を見て、私はそんなことを思った。真っ黒なコゲを山盛りの生クリームで覆い隠す間も、彼女は終始笑顔。その一皿は自分で食べる分だと信じたい。

2014-01-01 22:21:04
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、104。笑顔。

2014-01-01 22:21:14
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

曲がり角の先、壁に隠れきれていない猛獣のたてがみを見ながら、交差点へ飛び出すタイミングを図る。漏れ聞こえる吐息を数える間に藍が勝手に飛び出していた。「今よ!」駆け出した背中を追えず足を止めた私と、吼えた怪物と。目が合った。「臆病なんて全部アレの餌よ」藍の怒りだけが遠くに聞こえる。

2014-01-02 23:43:31
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、105。臆病。 寝落ちとの戦いに辛うじて勝った。

2014-01-02 23:44:36
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

海沿いの道路をどこまで走っても、右手に巨大な壁が続く。藍は助手席の窓を開けてそれを見上げていた。「何のために造ったのかな」見たところ崖を覆ったものではなく、意図的に垂直方向へ石を積んだ形状だ。「街に海風が入るのを防ぐためでしょうか」「普通すぎて全然面白くない」窓を閉める音がした。

2014-01-04 19:59:19
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

登り坂の先に見えてきた光景に私は目を疑った。そこに街はある。しかし色も形も自分の記憶に残る姿とはほとんど一致しない。「この前通った時はこんなじゃなかったのに」藍も同じ印象を抱いたようだ。「こんな短い間に、街ってここまで広がるの」「何度壊れても作り直すんですよ。そこに人がいる限り」

2014-01-05 21:38:06
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、107。記憶。

2014-01-05 21:38:23
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「この辺にメモリを捨てたらしいの」藍が油の色をした川面に網を突っ込む。探し物が見つかっても中身が無事とは思えないが、それでも何か意味はあるようだ。「見てて」引き上げた網には辛うじて原型を留めた靴が入っていた。藍は網を足元に叩きつけてから言った。「物を投げ捨てるって悪いことよね!」

2014-01-06 19:29:27
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

建物から脱出した時、既に頭上では黒煙が上がっていた。大量の煙は空中で渋滞を起こし、帯びた熱を無秩序に撒き散らす。「これが証拠隠滅なのね。最低」藍と違って風を掴めない私でも、今は風の流れを見て取れる。彼女の怒りの向く先もまた鮮明に。「逃げますよ。持ち出せた資料だけでも守りましょう」

2014-01-07 20:30:55
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、109。煙。 どんな野望への道も命あってこそ。

2014-01-07 20:31:02
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

喧騒が絶えない酒場の片隅。藍は酒を入れないエッグノッグで体を暖めている。「わたしが拾うまではずっと一人だったのよね」カップに息を吹きかけるついでのように聞かれた。「あなたって今も時々、孤独に生きてるみたいな目をしてるのよ。目の前のわたしに失礼だとは思わない?」「…そんなつもりは」

2014-01-08 22:31:11
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、110。孤独。

2014-01-08 22:31:24
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

その街は古き時代の再現に注力しているという。確かに建物の外観は本の中で見たような趣に統一されていたが、目指したのが懐かしさなのか物珍しさなのか今一つ分からない。「面白い場所ね」何も知らない藍は言う。「みんな一緒。みんな同じ真似。これ流行りなの?昔はどれも少しは違ってたんでしょ?」

2014-01-09 19:56:31
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、111。再現。 テーマと個性の両立は難しい。

2014-01-09 19:56:40
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