#通翻訳者百人一首
- Garyou_Tensei
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1. 他所の訳 用語の意味の 読みをあらみ わが単価では つゆ直せざり (他の担当者が訳した文は専門用語の理解が荒くて隙間だらけ。でも私がもらっている報酬では、直している余裕はない) #通翻訳者百人一首
2013-03-24 16:20:092. 凝りすぎて 〆来にけらし うろたへの こりゃもう干すてふ 天の神様 (訳に凝りすぎて締め切りが来ちゃったわどうしましょ。締め切り飛ばすと干されるらしいけど神様たすけて) #通翻訳者百人一首
2013-03-24 16:20:403. 天引きで 山ほど税を 差し引かれ ながながし夜に ひとり数えむ (翻訳料に対し多額の源泉徴収を受けているので、還付金をもらうために長い長い夜を費やしてでも自力で請求書を計算してやる) #通翻訳者百人一首
2013-03-24 16:20:594. タグの裏に 打ち込んでみれば うろたへの ギャラの高値も 次は下りつつ (タグの裏を書いて巧妙な処理をしたはずが、裏目に出て迷惑をかけ、次回以降レートを下げると言われてしまった) #通翻訳者百人一首
2013-03-24 16:24:375. 奥の手で ことば選り分け 泣くしかぬ 声きくときぞ 訳者かなしき (どうしても判断に困る訳を泣く泣く裏技的に処理して訳注で要調整と申し送ったものの、そのまま吹き替え台本に採用されていて、製品プレイしてて切なかった) #通翻訳者百人一首
2013-03-24 16:30:386. いささかの 残れる時は 足らずして 白きままにて 夜ぞ明けにける (もう僅かしか残されていない時間では間に合うはずもなく、訳が埋まらないまま朝になってしまった) #通翻訳者百人一首
2013-03-24 23:23:227. 用語集 蓋開け見れば 数多なる 誤訳の山に いでし「ダメかも…」 (合わせるようにと提示された用語集を開いてみたところ、誤訳が非常に多く、つい諦めの言葉を口にしてしまった) #通翻訳者百人一首
2013-03-24 23:23:437. 出来高を 振り返り見れば はるかなる 未訳の山に めげし夜かも (出来高を振り返って見たら驚いた未訳いっぱいめげた夜です) #通翻訳者百人一首
2013-03-25 22:03:488. 我が案は 角の立つ意味 書かず済む 座布団挟むと 人はいふなり (この訳なら問題表現にならずにすみます。いわゆるワンクッションというやつです) #通翻訳者百人一首
2013-03-24 23:23:599. バージョンは 移りにけりな いたづらに アップデートも ならぬまにまに(ソフトウェア バージョン・アップが多すぎてアップデートが追いつきません) #通翻訳者百人一首
2013-03-24 20:51:129. かねの色は うつりにけりな いたづらに 我が名他に振る 待たされしまに (仕事の報酬が、長い不況にあたって、ずいぶんと色あせてしまったのね。前と同じような色を求めて、履歴者を他社に送ります、ぼんやりとしていられるうちに) #通翻訳者百人一首
2013-03-24 23:24:5510. これやあれ 契約口調で 書かれては 知るも知らぬも 負う訳の責 (契約書風に色々と書いてあるのに、自分は契約書が不得意ジャンルであるため、自覚があろうとなかろうと、出す訳文に大きなリスクが伴ってしまっている) #通翻訳者百人一首
2013-03-24 23:25:1711. 焼け野原 ハッパかけても 訳いでずと 人にぞ告げし アマの翻訳 (あらゆる手を尽くし自分に鞭打っても訳が思いつきませんでした、などと訳注に書いてしまっては、プロの翻訳ではないよなあ) #通翻訳者百人一首
2013-03-25 09:25:3012. 病い風邪 負けるかよ意地 しかも痔よ 寝ざめの姿 やがてなおさむ (風邪をひいてしまったけれど、納品を飛ばすわけにはいかない。それにしても朝から痔が痛い。鏡を見たら寝ぐせがひどかったので、すぐに直さなければ) #通翻訳者百人一首
2013-03-25 09:26:0113. さいばねの 峰よりおつる みなの訳 ここにつもりて 作となりぬる (山ほどのEメールに混じって届く大勢の翻訳者による訳が、社内でひとつのファイルにまとまり、納品物として出されるのです) #通翻訳者百人一首
2013-03-25 09:31:2514. この語句の しのぶ文字面 たれゆゑに 乱れそめにし われならぬ訳に (私の心が乱れているせいで、耐え難い訳調になってしまいました。こんな荒い翻訳、本来のわたしの実力ならありえないのに) #通翻訳者百人一首
2013-03-25 09:40:0415. 君がため 荒れ野にいでて 若芽つむ わがこのアドに 暦ふりつつ (上司に言われるままに殺伐としたネット上で駆け出しクラスの人材を募集してみたところ、募集用メアドに大量の履歴書が押し寄せてきたよ) #通翻訳者百人一首
2013-03-25 09:47:47誰がため 桜花背に 言葉詰む 我がTMに訳は降り積む (どのようなエンドユーザーがお読みになるのかも知らないまま、桜の季節に部屋に篭って作業しております。訳した言葉たちは、桜の花びらのようにCATツールに蓄積していきます) #通翻訳者百人一首
2013-03-27 14:59:1716. たち悪い 仕事の山の 〆が乙る まつとし聞けず 今さら凹む (大分量の厄介な仕事の納期を過ぎてしまい、延ばしてもらえずにキャンセルを食らい、手遅れと知りつつも猛省中です) #通翻訳者百人一首
2013-03-26 09:06:4617. 「むちやぶる」 制止もきかず 受けた側 「ギャラくれない」で 締めくくるとは (あの会社は無理のある発注をしてくるので避けたほうがいいと警告したのに、仕事を受けちゃって大変なことになったらしい。挙げ句の果てに未払いだったとか) #通翻訳者百人一首
2013-03-26 09:07:1218. 年の瀬の 致死に寄る波 夜冴えり 夢のかよひ路 ひとり訳さむ (年末進行で死にそうに忙しい時こそ夜翻の調子がいいので、家族が夢見る横で独りで訳しています) #通翻訳者百人一首
2013-03-26 09:16:2619. なにごとか 短き出しに 伏せる間も さらにこの上 すぐしてよとや (納期が短くて眠るヒマすらないのに、催促までしてくるなんてどういうつもり?) #通翻訳者百人一首
2013-03-26 09:23:0720. 詫び入れて 今はタジタジ なんぼなる みをつくしても 出さむとぞ思ふ (謝罪の電話でうろたえてしまったけれど、今からでもどうにかできるはず。全力で納品に漕ぎつけたい) #通翻訳者百人一首
2013-03-26 09:29:3720. 統一を 図れど訳語 不統一 身をつくしても 合わせむと思ふ (がんばってみても訳語が不統一なんとか最後に合わせたいもの) #通翻訳者百人一首
2013-03-26 20:15:22