山中教授の「国に感謝する」

iPS細胞の山中教授はノーベル賞受賞時に「国に感謝する」と述べた。この言葉は日本の民主主義に微妙な変化をもたらすかもしれない。
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shinshinohara @ShinShinohara

iPS細胞の山中教授がノーベル賞を受賞して「国に感謝する」と言ったとき、私は「うまいな」と「まずいな」という両方の感想だった。前者は、さらなる研究費増額を引き出すのに成功するだろうこと、後者は研究費配分の実権をもつ権力者の心をくすぐり、さらにその権限を強めてしまうこと、である。

2014-02-24 22:44:40
shinshinohara @ShinShinohara

山中教授の人格の素晴らしさは疑う余地がない。研究で頑張る部下たちの人件費をまかなうため、マラソンに出て寄付を募るような涙ぐましい努力も欠かさない人である。山中教授は、研究費の究極的な出し手である国民への感謝を忘れる人ではない。しかし「国に感謝する」はニュアンスが微妙に異なる。

2014-02-24 22:47:58
shinshinohara @ShinShinohara

昔にこんな事例がある。王に宰相が「王様は賞を与え、喜ばれる役目をして下さい。私は刑罰を担当し、憎まれ役を買いましょう」と言った。王は喜んでその通りにした。その結果、王は軽んぜられるようになり、皆から恐れられた宰相は王以上の実権を握った。(春秋左氏伝)

2014-02-24 22:53:49
shinshinohara @ShinShinohara

研究費を配分する役目の人は、あくまで国民の税金を有効に扱う責任をもった代行者に過ぎない。研究費の配分者に感謝するのは筋違いである。もし配分者に感謝することが「殊勝なり」として覚えめでたくなり、さらなる研究費増額が実現するなら、それは実権を簒奪した宰相と同じになってしまう。

2014-02-24 22:57:41
shinshinohara @ShinShinohara

山中教授の成果は偉大だ。あれだけの成果を出して研究費が増額されない方がおかしい。そんな人が「国民に感謝する」ではなく「国に感謝する」と口にして実際に増額されれば、「権力者におもねれば研究費がもらえる」という誤ったメッセージを与えかねない。「まずい」と感じたのはそのためである。

2014-02-24 23:01:11
shinshinohara @ShinShinohara

研究費の配分者は国民から税金の扱いを委託された「代理人」に過ぎない。もし代理人に感謝するようになれば代理人はいつしか権力者に変じ、権力者におもねらなければ研究費がもらえなくなる、ということになりかねない。山中教授は偉大であるからこそ、その影響力が変な方向に行かないことを祈りたい。

2014-02-24 23:05:05
shinshinohara @ShinShinohara

心配しすぎかもしれない。しかし兆候の間に察知することは重要である。小さな一歩であっても、方向(ベクトル)が違っていたら道に迷うことは必定だからだ。「待った!」と声を出し、それ以上間違った方向に進まないことが大切だ。

2014-02-24 23:07:45
shinshinohara @ShinShinohara

兆候の重要さを示す話がある。王様がある日、銀の箸を使い出した。その国の宰相はそれを見て逃げ出した。たかが箸じゃないか、という問いにこう答えた。「豪華な箸に合う皿が欲しくなり、装飾が欲しくなり、豪邸が欲しくなる。そうなれば税を厳しく取り立て、国が傾くだろう。」その通りになった。

2014-02-24 23:11:41
shinshinohara @ShinShinohara

山中教授の「国に感謝する」という言葉は実権を握る政治家たちの虚栄心をくすぐり、研究費獲得に大いに役立つだろう。しかしその事例を積み重ねれば「国に感謝する」という言葉を求める政治家を増加させ、国民から預かった金だということを忘れ、自分の金のように考える輩を増やすだろう。それが怖い。

2014-02-24 23:15:46
shinshinohara @ShinShinohara

@awajiya 海苔の臭みはジメチルスルフィドで、ラジカルではないですから、臭い消しに茶はあまり役立たないかも、です。

2014-02-24 23:25:31