ヨウジョスレイヤー 第1巻「ペドフェリア炎上」より「ネオショウジョ・フォー・セル」
- suzumeninja
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ネオサイタマに聳える悪の根城、トコロザワ・ピラー三階。ここはラオモト・カンのダミー会社、ネコチャン・ファンドの事務所であり、ダーク・ヨウジョ・ソサイエティのトレーニング・グラウンドでもある。窓の外では、空からの盗撮を防ぐため、数十基のサーチライトが慌しく夜空を切り裂いていた。 1
2014-02-27 00:42:39ラオモトは長さ十メートルもある高級一枚板のデスクに座り、ロリポップを咥える。今日の彼の装束は戦闘服ではない。ヨロシチャン製薬との商談があるからだ。ビジネス用のアルマーニ体操着に、紅白帽という出で立ちである。それでも、全身から幼気がみなぎっていた。 2
2014-02-27 00:43:44「ラオモト=チャン、新型のクローンショウジョ、S-12ができました」ヨロシチャン製薬の営業が、汗をふきながらしどろもどろで説明する。数億というカネが動く一大取引だ。ラオモトの機嫌を取るために、高級チョコレートを30箱も持参している。 3
2014-02-27 00:44:46「見てみよう、ヨロシチャン。ワシを落胆させないでくれよ」 ラオモトは席を立ち、ヨロシチャンと並んで、吹き抜けになっている二階を見下ろした。二階は体育館になっており、それをぐるりと見下ろす三階のガラス窓は、すべて強靭な防弾ガラス製となっている。 4
2014-02-27 00:46:13「あれです」 ヨロシチャンが指差す先には、黒い体操着に身を包んだ十数人のクローンショウジョが立ち、ボーリングのピンのように整然と並んでいた。 表向きは江戸時代から続く風邪薬メーカー、ヨロシチャン製薬は、数々の変態兵器を裏社会に流通させる死の武器商人でもあるのだ。 5
2014-02-27 00:47:06「子ネコを放せ」ラオモトがブザーボタンを押しながら命令する。 ひまわりの描かれた巨大な障子戸が開き、中から裏路地で拾ったカワイイな子ネコが姿を現すと、たちまちショウジョたちに飛び掛った! 並の人間なら50人がかりでも手篭めにされる、恐るべき幼獣だ。 6
2014-02-27 00:48:12だがクローンショウジョは、全員まったく同じ動きで左の胸元からチ猫じゃらしを抜き、一糸乱れぬ手さばきで子ネコを弄んだ。それから、まったく同じ動きで猫じゃらしを仕舞い、まったく同じ動きで乱れた髪を直し、まったく同じ動きで体操着のズレを直した。ナムアミダブツ! 何という統率力か! 7
2014-02-27 00:49:27「ムハハハハハ!」ラオモトは哄笑する。 「敵はもう子ネコでも、ケーサツでも、ロリコンでも全て骨抜きです」ヨロシチャンの営業も、ネズミのような笑い声を漏らしながら自慢げに語った。「クローンならではの統一感です。S-12は無敵です」しかし彼女の笑いもここまでだった。 8
2014-02-27 00:50:19「ではヒュージシュリケンを放せ」ラオモトがブザーを押した。 何だって? ヨロシチャンの顔が曇る。失禁し、営業体操着の前がほんのり湿る。 ひまわりの描かれた障子戸が開き、中からバンディットに良く似たヨウジョが姿を現した。直径2メートル近い巨大スリケンを背負っているのが特徴だ。 9
2014-02-27 00:52:05クローンショウジョが身構える前に、ヒュージシュリケンは想像を絶するほどの素早い動きと力で、背中の巨大スリケンを投げた。ショウジョたちは一斉に服へ手を伸ばす。だが間に合わない! クローンショウジョは、全員同時に恐怖の悲鳴を上げた。 10
2014-02-27 00:53:19新聞紙製の巨大オリガミスリケンはブーメランのような軌道を描き、ボーリングのピンのように並んだショウジョ全員の服を切り飛ばしながら、再び持ち主であるヒュージシュリケンの手元に戻った。服を失ったショウジョたちは、羞恥心のあまり、全員一斉に後ろへと逃げ去った。 11
2014-02-27 00:54:15「ムハハハハハ! ストライク! ムッハハハハハハ!」ラオモトはセンスを広げて大笑いしていた。彼は弱者が虫けらのように辱められるのを見るのが何よりも好きなのだ。 12
2014-02-27 00:55:12「ラオモト=チャン、申し訳ありません」ヨロシチャンの営業は恐怖のあまり床に倒れて、ガンギマったマグロのように口をぱくぱくとさせていた。「責任をとってダツイします」 13
2014-02-27 00:56:24「いや、いい」ラオモトはセンスをぴしゃりと閉じる。「ヘンタイがヨウジョよりも強ければ、いつ寝込みを襲われるかわからんではないか。ヨロシチャンよ、今回も良い仕事だった」 「毎度ありがとうございます」ヨロシチャンの営業は息も絶え絶えに立ち上がり、前をハンカチで拭いた。 14
2014-02-27 00:57:31「しかし、貴様はワシのオフィスの床を汚したため、生かしてはおかん」ラオモトがボタンを押すと、ヨロシチャンの営業の足元が開き、巨大タコの群がるプールへと真っ逆さまに転落した。営業がタコに手足をいいようにされるのをを見下ろしながら、ラオモト・カンはこの日最高の笑い声をあげる。 15
2014-02-27 00:58:37「ヒュージシュリケンよ、アッパレだ」ラオモトがブザーを押して体育館に声を轟かせる。「今、ワシには2つの敵がおる。ヨウジョスレイヤーとドラゴンヨージョーだ」 16
2014-02-27 00:59:33「ヨウジョスレイヤーなる鼠には、バンディットを差し向けた。お前はアースクエイクと組み、ヨージョーを盗撮してくるのだ」ラオモトが血も涙もない命令を下す。 「ロリコンデー!」ヒュージシュリケンはバク転を打ちながら、障子戸の向こうに消えた。 17
2014-02-27 01:00:13「ネオショウジョ・フォー・セル」おわり (「サプライズド・ヨージョー」に続く) #俺はもうダメだ #後は任せた
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