版古屋 比呂(hankoya_hiro)氏によるアジアンホラー・南方妖怪語り(ひとまず完結)

日本一の「首だけ女」男(多分)、比呂(@hankoya_hiro)さんが呟いたアジアンホラー・南方妖怪に関する話のまとめ。現在ひとまず完結。 個人的にまとめて読みたかっただけですが許可を得て公開してます。
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第一夜

比呂(版古屋) @hankoya_hiro

さてなんとなくアジアンホラーと南方妖怪について呟いてみる企画始めようかな。個人的なつぶやきだけど、#KRASUE ってタグだけはつけておきます。新書一冊分にはなるくらいの情報量なんで、思いついたら時々つぶやく形式になると思うので

2014-02-26 22:57:17
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

まず南方妖怪との出会いって言えば、結局ゲゲゲの鬼太郎の「血戦!小笠原」と、それがアニメ化された白黒版鬼太郎の「吸血妖怪団」が最初。この話に出てくる南方妖怪の一匹ペナンガランとの出会いがきっかけなのね。こんな妖怪す https://t.co/EGC4YDeA5S #KRASUE

2014-02-26 23:05:34
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

ハマードラキュラが好きで、吸血鬼映画が好きなあたしは「なんじゃこりゃ。ウソっぽいなあ」とか思いつつ、奇妙なフォルムと名前を記憶しちゃったのね。後に吉田八吟の著書『吸血鬼』でこいつが臓物をぶら下げた吸血飛首と紹介されているのを知る。水木デザインは空飛ぶ胃袋だった訳 #KRASUE

2014-02-26 23:15:42
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

でも、それが80年代ビデオ狂騒期にSVIのエキサイティングシリーズでリリーズされたインドネシア映画「首だけ女の恐怖」(原題Mystic In Bali :https://t.co/AA6UXKDMz5 )に出会ったところからあたしのアジア映画遍歴が始まったのです  #KRASUE

2014-02-26 23:21:29
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

ちなみに「首だけ女の恐怖」はプリミティブな表現の多い映画だけど、実はこの数年前にバリ島の呪術師バリアンに弟子入りしたオーストラリア人女性が魔術戦の結果変死したというニュースが映画の背景にあり、魔術表現も実はすげえリアルな作品だったと知ったのは後の話(^^; #KRASUE

2014-02-26 23:26:26
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro かくして、アジアにいる首だけ女映画が他にもないか、特に本家もマレーシアを中心にした探索行がなし崩しに始まってしまったのです。それが東南アジア全体に広がるアジア最強妖怪であり、あちこちで映像化されているとも知らずに……#KRASUE

2014-02-26 23:28:51
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro てことで、明日以降に続く(w 次回は、東南アジア各国で作られ続ける首だけ女映画の話にするか、首だけ女が何者なのかって話にするか、悩み中。調べた文献とかはいつか書くペナンガラン本にまとめるので、ここではざっくりと本質だけつぶやきます

2014-02-26 23:34:13
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro 『首だけ女の恐怖』の呪術の映像化については、『 別冊映画秘宝 80年代悪趣味ビデオ学の逆襲』にざっくりまとめているので、興味持たれた方はご購読下さい(w でもバリの呪術師レアックについて説明しはじめると、それだけで論文一本書けちゃうのよ #KRASUE

2014-02-26 23:47:06

第二夜

比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro ちょっと番外編的に首だけ女の背景を説明すると、バリ島にはバリアンという呪医と、黒魔術師のレアックというのがいるんだけど、使う魔術は同じだけど使い方が違うってだけとか。 #KRASUE

2014-02-28 00:28:47
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro ちなみにバリの文化だけど、バリにヒンドゥーが入った時期は11世紀頃。その後イスラムに追われたジャワ王朝の亡命者が発展させたと考えると意外に歴史は浅い。ケチャさえ観光用に生み出されたのが20世紀初頭でしかもドイツ人の手によるのよね #KRASUE

2014-02-28 00:42:32
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro でもその底にヒンドゥー以前の土着文化があり、その残滓がレアックなら相当に古い文化。問題の首だけ女の渡来も、マレー人が大航海時代以前からの海洋民族だという事を知ればいつでも問題ない。何よりバリ島は首だけ女がいる事が確認されている東端なのだ #KRASUE

2014-02-28 01:03:34
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro  なんでこんなに細かく調べてるかというと、実は「首だけ女は過去の歴史ではなく、今も生きている最恐のお化け」ってことを林巧さんの『アジアお化け旅』で知ってしまったから。確かに首だけ女っはグロいけど、最恐ってのも変でしょ?  #KRASUE

2014-02-28 01:11:12
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro しかも調べるとタイからベトナム、マレーシア、香港そしてバリと東南アジア全域に分布しているのね。映画もほぼ全域で作られてる。ってことで益々ワケワカになったんで、少しでも実像に近づこうと東南アジアの歴史、文化、民族まで調べてみたってわけ  #KRASUE

2014-02-28 01:16:57
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro ってことでバリ島の首だけ女だけでもえらい事になってます(w ちょっと結論的な事を書くと、首だけ女は妖怪じゃなくて、呪術にまつわるものだったってこと。『捜神記』には落頭民なる民族が出るけど、まさに頭を飛ばす呪術を使う「人」だったのね #KRASUE

2014-02-28 01:24:08

第三夜

比呂(版古屋) @hankoya_hiro

昨日は初めて見た首だけ女映画『首だけ女の恐怖』のことで脱線しましたが、今日は文献に現れる首だけ女、わかりやすく言うと飛頭蛮、もしくは轆轤首のお話について。なかなか映画話にならなくて申し訳ないですが #KRASUE

2014-02-28 23:39:53
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro 一番古い文献は4世紀東晋の『捜神記』の落頭民みたい。そして飛頭蛮の名前は9世紀唐代の『南方異物志』から。ここで興味深いのは、飛頭蛮は「嶺南(北ベトナムあたり)にいて耳を翼にして飛回る」とあること。そう、原産はこの時代からインドシナなのね #KRASUE

2014-02-28 23:44:12
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro その後は『太平広記』 『瀛涯勝覧(えいがいしょうらん)』『輟耕録』『本草綱目』と続きます。基本的には南方の抜け首話です。で、このどれかが日本に入ってきたのがおそらく16~17世紀。でもこの翻訳時点でとんでもない誤訳が起こります  #KRASUE

2014-02-28 23:50:56
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro 誤訳の元は安南の陳孚の詩かな。「頭飛似轆轤 蓋言土人能鼻飲者,有頭能夜飛於海食魚,曉複歸身者」<飛頭は井戸の轆轤みたいで…>ってのが井戸の轆轤は紐ついてるよなって事で『和漢三才図会』で細い紐状の首が描かれて誤解されたのではと推測 #KRASUE

2014-03-01 01:21:06
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro かくして和漢三才図会以降の怪談では、首が伸びるろくろ首が主流になります。しかも首はどんどん太くなる。これはろくろって言葉のイメージが陶芸のろくろが主流になったせいかなと。このあたりは横山泰子先生の論文を読む方が詳しいと思います #KRASUE

2014-03-01 01:24:08
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro あと妖怪仲間に教えていただいた轆轤首名称が使われる最初は林羅山の『多識編』(1630)とのこと。実際、説話でろくろ首の名前が使われるのが『諸国百物語』(1670)頃から。それ以前の説話では飛ぶ首の出る話は”生霊”の物語だったりするのです。#KRASUE

2014-03-01 01:28:57
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro てことで、今日は本邦で独自進化した轆轤首は、勘違いの誤訳から始まったのでは?という推論話でした。後述しますが、独自進化をとげた飛頭蛮がいるのは日本だけじゃありません。フィリピンのマナナンガルは、首だけじゃなくて、上半身が抜けるのね(w #KRASUE

2014-03-01 01:31:49
比呂(版古屋) @hankoya_hiro

@hankoya_hiro で、マナナンガル映画ってのもフィリピンでは製作されてまして、女吸血鬼アスワン映画と併せておいおい触れていきたいと思います。今日はこのへんまで #KRASUE

2014-03-01 01:33:44
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