#鳳翔の艦娘講座 陸軍三式潜航輸送艇 ~まるゆちゃん編~

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鳳翔 @Housyou_kankore

さてと。少し時間が押してしまいましたが、折角気分的に乗っていますので。 それでは、本日の #鳳翔の艦娘講座 を行いたいと思います。 何時もの様に拙いお話ではありますが、酒の肴・寝物語と聞いて頂ければ幸いです。 本日の艦娘ちゃんは、「皆さんと一緒に!」。まるゆさんです。

2014-02-04 23:25:03
鳳翔 @Housyou_kankore

まるゆさんは、正式名称を「三式潜航輸送艇」と云いまして、陸軍の艦船です。 私達の様に「○○型?番艦」の様な分類では無く、幾つか種類がある三式潜航輸送艇の種類をまとめて代表した形で「まるゆ」さんとして実装をされている模様です。 その艦歴は、誕生から様々なエピソードに富んでいます。

2014-02-04 23:30:49
鳳翔 @Housyou_kankore

そもそも、何故陸軍さんが潜水艇を持つに至ったか、そのいきさつはガダルカナルの戦いに遡ります。 ガダルカナルの戦いに於いて大敗をした日本は、この戦いに於いて相当数の輸送船団を失う事になります。

2014-02-04 23:33:38
鳳翔 @Housyou_kankore

しかも、その後採用をされた、駆逐艦を利用した輸送部隊(鼠輸送)も、海上で撃破されてしまう状態でした。 そんな訳で南方に部隊を展開している陸軍としましては、とにかく補給を何とかしたいと、海軍と会議を行います。

2014-02-04 23:34:42
鳳翔 @Housyou_kankore

陸「陸軍としては、海軍の潜水艦を利用した補給を提案する物である」 海「海軍としては、貴重な伊号潜水艦は艦隊決戦に備えるので反対である。先日(1942年9月)の兵棋演習でも輸送で利用した潜水艦は壊滅のうれき目に遭っているのである」

2014-02-04 23:37:17
鳳翔 @Housyou_kankore

陸「それでは海軍は我々に飢えろと云うのか」 海「代わりに海軍としては陸軍に輸送用の波号潜水艦を提供する物である(まだ建造中で1隻も出来てないけど)。但し艦は出すので、操艦要員を含めて全て陸軍が要員を出して欲しい」

2014-02-04 23:39:37
鳳翔 @Housyou_kankore

陸1「おいどうする、潜水艦は貸すけど人は出せだってよ」 陸2「これ、いざって時に海軍に運用権限持って行かれるんじゃね?」 陸3「だよなあ…それで無くても艦船沈められまくってるのに、そのうち奴ら『潜水艦が足りないので返せ』とか云い出すんじゃね?」

2014-02-04 23:41:22
鳳翔 @Housyou_kankore

陸軍「陸軍としては、海軍の提案に反対である。よって今回の案件は無かった事にして頂きたい」 (会議終了)

2014-02-04 23:42:14
鳳翔 @Housyou_kankore

とまあ、かなり面白可笑しく書いてしまいましたが、実際海軍に居豪潜水艦によるモグラ輸送を行って貰おうとした所、海軍は伊号潜水艦を艦隊決戦に温存すべく断り、代わりに波号潜水艦の提案を行います。 但しこの時点では波号潜水艦はまだ建造途中で、就役はして居ませんでした。

2014-02-04 23:43:55
鳳翔 @Housyou_kankore

…なんかすさまじい誤字が出ましたね。ええ、「伊号」ですね。 そんな訳で陸軍としては検討をした結果、潜水艦運用の権限を海軍に掌握される事を懸念し、それなら陸軍で何とかしようと云う方向に内部意見がまとまり、最終的には「陸軍独自の潜水艦」を1から建造する事を決断します。

2014-02-04 23:45:49
鳳翔 @Housyou_kankore

これは、当時海軍はどちらかと云いますと「艦隊決戦」に重きを置いていた為、「兵站」と云う分野が割と置いてきぼりになっていた事に原因があります。 さて、そんな訳で自前で潜水艦を建造する事にした陸軍ですが、勿論そんなノウハウが有る訳がありません。

2014-02-04 23:49:11
鳳翔 @Housyou_kankore

しかも、建造しようにも国内の造船所は全て海軍に建造・補修スケジュールが押さえられていた為使えず。 「円筒形の艦体で、気密が保たれればいいんじゃ無いの?」と云う発想から来たのかは解りませんが、陸軍は船体の製造を民間のボイラー工場に依頼をします。

2014-02-04 23:51:43
鳳翔 @Housyou_kankore

頼まれた方のボイラー工場も、勿論潜水艦なんて作った事ありませんし、そもそも発注元の陸軍にすらノウハウが無い。そんな訳で建造はかなり困難を極めたと云われています。

2014-02-04 23:54:22
鳳翔 @Housyou_kankore

ですが、第一次世界大戦でドイツが開発をした輸送潜水艦の図面を元に、当時民間で建造された「西村式潜水艇」を開発した西村氏の協力を得て、何と2ヶ月という驚くべき短期間で基本設計が完成をします。 それを踏まえて、実際の建造は当時SLを作っていた工場などを利用して行われました。

2014-02-04 23:56:13
鳳翔 @Housyou_kankore

実際の建造に使われた物資は、戦車用の装甲板を転用して1943年度分に建造が予定されていた20隻分が確保をされたと云われています。 ただ、この時に船体建造を行った会社が4社にまたがった為、まるゆさんの初期型、つまり1型においては4種類が存在する事になります。

2014-02-04 23:59:43
鳳翔 @Housyou_kankore

なお、これらの建造は、海軍には全く秘匿され陸軍の秘密裏に行われていました。 こうして、設計図完成から9ヶ月後の1943年10月、「ゆ1級」試作1号艇が竣工をします。 1943年12月30日、山口県の柳井湾において、海軍関係者を招いての試作まるゆちゃん潜行試験が行われます。

2014-02-05 00:03:53
鳳翔 @Housyou_kankore

最初、トリム調整に失敗をして、「艦首が沈むと艦尾が浮く、艦尾が沈むと艦首が浮く」等して全く潜水出来ませんでした。 試行錯誤を繰り返した後、ようやく船体は海面下に潜っていきます。

2014-02-05 00:06:16
鳳翔 @Housyou_kankore

但し、通常の潜水艦は「航行しながら沈降していく」のが普通でして。 まるゆちゃんの様に「停止した状態で沈降していく」様子を見た海軍関係者は「沈没した!?」と騒然となる中、陸軍関係者は「潜水成功!」と万歳三唱をして居たと云われています。 …実際はこの潜水試験、失敗だったようですが。

2014-02-05 00:07:43
鳳翔 @Housyou_kankore

さて、取りあえずこの試験により潜水・浮上を伴う航行・任務遂行が可能と判断されたまるゆちゃんは、その後建造していた各社が様々な改良を加えて行きながら量産を開始。38隻が1型として建造をされます。

2014-02-05 00:11:42
鳳翔 @Housyou_kankore

生産には電気溶接された区画をリベット止めで結合していくと云うブロック工法が採用をされた為生産性は高く、短期間でまとまった数のまるゆちゃんが実戦投入される事になります。

2014-02-05 00:14:18
鳳翔 @Housyou_kankore

ただ、基礎的な航行能力が低かった為に、輸送先への遠洋航海には複数のまるゆちゃん達に1隻の母船が随伴する編成が取られます。 任地到着後の短距離輸送では、昼間は海底に沈降をして敵哨戒機をやり過ごし、夜に浮上して航行する物とされて、必ずしも急速潜行能力は必要が無いとされました。

2014-02-05 00:16:10
鳳翔 @Housyou_kankore

ところが実際に運用をしてみると、敵哨戒機に発見された際の先制攻撃を緊急回避する必要がある事、沈座出来る海底がない遠洋では潜行運用が事実上不可能と云う事もあって、乗員練度にもよりますがおよそ1~2分での急速潜行が可能とされています。

2014-02-05 00:18:08
鳳翔 @Housyou_kankore

特に、日本製鋼所が作成をしたゆ1001級では、海軍潜水艦の急速潜行に近い45秒での急速潜行が出来る様に設計に工夫がされたりとして居ました。 こうして就役したまるゆちゃん達は、フィリピン・伊豆諸島・南西諸島・朝鮮半島方面への輸送任務に従事します。

2014-02-05 00:20:17
鳳翔 @Housyou_kankore

しかしながら、自軍にも無く連合国にも無い小型の潜水艦が、潜水艦らしくない航行をしている様子は、海軍や民間船の乗組員からもかなり奇異に見えた模様でした。

2014-02-05 00:24:27
鳳翔 @Housyou_kankore

乗組員は操船術も会得してない人が乗り組んでいた場合、とにかく「前に居る僚艦に着いていく」事とされていたり、空襲に備えてまるゆちゃんの船体に『陸軍式の』偽装を施したり、等々。

2014-02-05 00:25:40