2014年3月1日

山本七平botまとめ/【ものの見方の差】日本にない対立概念/日本のばあいは二元論/すべてに誤る善玉悪玉観/ローマ法の世界と自然法の世界

山本七平著『比較文化論の試み』/9ものの見方の差/86頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①【ものの見方の差/日本にない対立概念】もう一つ出てくる差は、彼らの対立概念という考え方です。 そして彼らの言うような意味における対立概念というものが元来は日本人にないということです。<『比較文化論の試み』

2014-02-28 10:09:07
山本七平bot @yamamoto7hei

②ヨーロッパ人の場合ですと何でも一つのものを対立概念においてとらえないと気が済まない。 これは彼らの一つの原則みたいなものなんです。 ところが日本人は対立概念でとらえてないで、これを分けて、分立させて、規定してしまうんです。

2014-02-28 10:39:21
山本七平bot @yamamoto7hei

③この分立と対立との差というのが非常につかみにくいものらしいんです。 たとえば、キリスト教というものには、そもそも、その始まったときから正統と異端というのがあるんです。 で、その正統と異端というのはずっとありまして、今でもないわけじゃないんです。

2014-02-28 11:09:04
山本七平bot @yamamoto7hei

④それでは、異端というのはキリスト教に入るのか入らないのかというのが問題なんてすね。つまり、自分達の持っているキリスト教という世界、この対象を把握するに当たって、正統と異端という対立概念でとらえているのだという事なんですが、このとらえ方は…あらゆる対象のとらえ方に出てくるんです。

2014-02-28 11:39:07
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤たとえば、左翼と右翼という形で、あるいは与党と野党という形で対象をとらえる。 またこれを善と悪という形でとらえる。 しかし対象はあくまでも”一”で、対立概念というものは、その極限にあるものは究極的には”一”であるということが、絶対の前提になっている考え方なんです。

2014-02-28 12:09:08
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥たとえば、人間というものを善悪という対立概念でとらえる。 人間は一人なんですけど、その”一”を善悪という対立概念でとらえる。 国会は一つなんだけれども、それを与野党という対立概念でとらえる。

2014-02-28 12:39:17
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦で、対立概念でとらえうる間はそれが対象を確実にとらえており、従ってその対象は実在している訳ですが、とらえられない状態になったらそれはもう形骸化してなくなっている、という考え方です。いわば与野党という形でとらえられなくなったら、国会は実質的に存在しなくなっているという考え方です。

2014-02-28 13:09:05
山本七平bot @yamamoto7hei

①【日本のばあいは二元論】これが日本にきますと一種の二元論になってくるんです。 つまり、一人の人間あるいは一つの対象を善悪という対立概念でとらえるんでなくて、人間を善玉悪玉と二つに分けるんです。<『比較文化論の試み』

2014-02-28 13:39:13
山本七平bot @yamamoto7hei

②この考え方は、対立概念とは全然違うんで、たとえば人間を善玉悪玉と二分すると、その分けられた個々の人間はもう対立概念ではとらえられないわけです。

2014-02-28 14:09:07
山本七平bot @yamamoto7hei

③この二つ、すなわち、人間はあくまでも一個の人間で、その人間を善悪という対立概念でとらえるということと、人間はもとより、あらゆる対象を善玉悪玉に二分してしまって、各々別としてしまうこととは、全く違うんです。

2014-02-28 14:39:14
山本七平bot @yamamoto7hei

④これがとらえ方の、実に大きな差なんてすが、この違いがまだ意識されずに混同されています。 ですから、日本人は、明確な対立概念で対象をとらえるというとらえ方をしていないんです。 常にしていない。

2014-02-28 15:09:02
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤ですから、ある一つの対象を見た場合、どっちかを善玉、どっちかを悪玉と分けないと気が済まない。 双方にその要素がある。 というより、 一つの対立概念で相手が把握できるのだ、 というふうには考えられないんです。

2014-02-28 15:39:07
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥これがすべてのことに出てくるんです。 これがよく、一面的という反省になるんでしょうけど、ものを見る場合にも必ず二分的になります。 たとえば、日本とか、あるいは西欧とか、そういったものも、これを一つの対立概念としてとらえうるはずなんです。

2014-02-28 16:09:09
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦しかし、それをしないで、それは全然別だと考えるか、あるいは逆に、人間はみんな同じだと考えるか、どっちかになるんです。 で、人間はみんな同じだということは、これは碓かに言えるんですが、同時に、各人は全然別だということも言えるんです。

2014-02-28 16:39:21
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧これは、同じく一つのものを把握する対立概念です。 これはどっちも正しいんですが、そういうより、その二つの対立概念で初めて対象がとらえられる、ということです。 人間がみな同じであったらこれは大変です。 …それから人間が全く別々だったら、これはまた大変で、第一話が通じなくなる。

2014-02-28 17:09:06
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨ですからこの問題は、人間という対象をとらえるときに、 対象を対立概念でとらえうるか、あるいは、とらええないか、 という違いなんです。

2014-02-28 17:39:06
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩【すべてに誤る善玉悪玉観】これは、外国など見る場合に、日本人が絶えず間違った見方をする基本になってくるんです。 報道を見ているとこれがよく分かるんですが、たとえば、ウォーターゲート事件といったような場合に、日本の記事を見ていると、これを一種の善玉と悪玉に分けているわけです。

2014-02-28 18:09:07
山本七平bot @yamamoto7hei

⑪で、新聞記事の焦点というのも、そういうふうになってきます。 ところが、彼らはそういう見方をしていないんです。 議会と大統領というのは、あくまでもその対立概念としてとらえているんです。 それから、法廷というものにしても、一つの対立概念で見ないと彼らは気が済まない。

2014-02-28 18:39:17
山本七平bot @yamamoto7hei

⑫つまり、弁護士と検事が必ず登場しなければならない。 この二つの対立するものの、どっちが欠けてもそれは法廷とは認められず、法廷は存在しなくなるわけです。 ところが日本では、公害裁判なんかを見ていますと、明らかに見方が善玉と悪玉になるんです。

2014-02-28 19:09:03
山本七平bot @yamamoto7hei

⑬日本人は、どっちかが善でどっちかが悪でないと気が済まないんで、 法廷というものは対立概念でとらえるものであり、元来それは”一”なんだ、 という意識がないですね。

2014-02-28 19:39:13
山本七平bot @yamamoto7hei

⑭ところが…セム族の文化はあくまでも一であるというとらえ方をします。そして後から二元論が…入ってきて、その影響を受けたのですが、その対立概念は取り入れても、対象をあくまでも一と見るわけです。日本ではそうはいかない。神様がいるんなら、なぜ悪魔がいるんだという面白い議論になるんです。

2014-02-28 20:09:09
山本七平bot @yamamoto7hei

⑮これは、神という対象を善悪という一つの対立概念でつかまえなければつかめない。 そうでなければ”生ける神”として把握できない。 それは、議会が一つでも、それが与野党という対立概念で把握できない限り、生きている議会とは言えないというのと同じなんです。

2014-02-28 20:39:18
山本七平bot @yamamoto7hei

⑯ですから、一つの対象を対立概念でつかみ、そこに一つの多数決原理というものが導入される。 そして、その多数決原理というもので一応決定したものは、反対者がいても、やはり”一”なんです。

2014-02-28 21:09:04
山本七平bot @yamamoto7hei

⑰ただし、反対者というものは、その場合、その決定に対しては免責を許され、責任を持たないで済む。 ただそれだけであって、その決定はやはり”一”で、二分された二つの結論にはならないんです。 これは、神学でも政治でも同じです。

2014-02-28 21:39:07
山本七平bot @yamamoto7hei

①【ローマ法の世界と自然法の世界】そしてこの考え方は、ただ「法廷だけの論理」ではなく、実は、宗教の世界にまで入っています。 というより、この宗教的把握が現実に適用された場合、現在のような形の法廷になったといえましょう。<『比較文化論の試み』

2014-02-28 22:09:07
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