福島の甲状腺癌は多発といえるのか―cyborg0012さんによる検証

 2011年3月11日の東日本大震災にともなう福島原発事故によって、放射能汚染が広範囲に広がり被曝による健康被害が懸念されています。健康被害をどう考えればいいのでしょうか。  以下では、その一例として、次第に明らかになりつつある福島県内の小児甲状腺癌の実態を考えてみましょう。小児甲状腺癌とはどのような病気なのでしょうか。そもそも福島県内で多発しているのでしょうか。cyborg0012氏による考察です。(2014年3月2日作成) 関連まとめ&参考サイト: cyborg001さんによる福島県第14回健康管理調査、男女比異常について 続きを読む
63
cyborg001 @cyborg0012

連投ツイート失礼いたします。周知のように「福島の癌が多発か否か」には論争があります。福島の多発はスクリーニング・バイアスによる「見せかけの多発」であるとは安全派の方々の言い分です。今回、2006-08年の韓国のスクリーニング例と福島を比較し、この問題を直接考えてみたいと思います。

2014-03-02 02:00:11
cyborg001 @cyborg0012

2006-08年韓国K.サムソン病院で7491人に甲状腺エコー検査が行われ、46人の悪性(要手術)が発見された。延世大学医学部が論文にまとめている(Y. J. Choi et al. 2008)。以下図は福島と韓国の比較データ。 http://t.co/ZXD7danS4q

2014-03-02 02:06:12
拡大
cyborg001 @cyborg0012

福島、韓国ともにスクリーニングで癌が発見されており、かつ韓国は最近の検査でもあるので、両者の比較は有意義と思われる。まずは、延世大学論文に依拠し、2006-08年検査の概要を説明したい(以下図)。 http://t.co/REB5dzU7dc

2014-03-02 02:11:39
拡大
cyborg001 @cyborg0012

以下図は韓国検査のフローを示している(Y. J. Choi et al. 2008)。被験者7491人、結節・のう胞等で病変を絞り、悪性所見疑い者に穿刺細胞診を行った。悪性79人のうち、要手術者46人、経過観察が33人であった。 http://t.co/TUO8zarBKk

2014-03-02 02:15:16
拡大
cyborg001 @cyborg0012

以下図は検査で発見された癌患者46人の臨床データ。なお、延世大学論文では、自覚症状で来院した通常癌患者との比較も行われている。両者の顕著な相違は腫瘍径である。スクリーニング症例は平均径0.59センチである(微小癌割合63%)。 http://t.co/jHtM3KZxqc

2014-03-02 02:21:37
拡大
cyborg001 @cyborg0012

福島と韓国の比較に入る前に、韓国検査での「のう胞・しこり保有率」に目を向けたい。被験者の平均年齢は51.3才であり、保有率は58.3%であった。福島や対照群との比較に難があるが、最新の検査でもあり、重要なデータである(以下図)。 http://t.co/OqJfWk02su

2014-03-02 02:26:55
拡大
cyborg001 @cyborg0012

韓国成人のシコリ・のう胞保有率58%と比較する、我が国の小児甲状腺病変保有率はかなり高い。日本全土が程度の差あれ被曝群と考えれば、疫学で言う選択バイアスが働いている可能性もある。環境省対照群検査の「科学的検討」は急務であろう。 http://t.co/U0GtEiSQrC

2014-03-02 02:35:22
拡大
cyborg001 @cyborg0012

次に、福島と韓国検査との比較に移りたい。議論には「論敵」が必要。医科大鈴木真一氏にご登場をお願いする。鈴木氏いわく「福島では精度の高い検査で、小さな癌がたくさん発見された」。このスクリーニング効果説は韓国との比較でも有効なのだろうか? http://t.co/y5893d0rEH

2014-03-02 02:43:38
拡大
cyborg001 @cyborg0012

福島では91-96年山下俊一氏らチェルノブイリ検査の発見率10万人対52人に匹敵する癌が発見。「精巧な検査で小さな癌がたくさん検出された」。しかし、鈴木氏のこの発言は韓国検査にはドンピシャだが、福島には全く的外れである(以下比較図)。 http://t.co/dixvZZP7dX

2014-03-02 02:54:51
拡大
cyborg001 @cyborg0012

韓国スクリーニングの63%が1センチ未満の微小癌であった(平均径0.59センチ)。これに対して、田島なおき氏が解析しているように、福島では平均径1.43センチ。7割が1センチ以上の「大きな癌」(この意味は後述)で占められている。 http://t.co/0m2dC1osOC

2014-03-02 02:59:57
拡大
cyborg001 @cyborg0012

では、同じくスクリーニングで発見されているベラルーシと福島の腫瘍径は?鈴木氏は「福島は小さな癌が多く、見せかけの多発。チェルノブイリとは比較不可能」と言っている。以下図はそのイメージ図(東京GIGO氏作成の素晴らしい図を基にした)。 http://t.co/fTUSwEjcmj

2014-03-02 03:07:20
拡大
cyborg001 @cyborg0012

上記イメージ図はデタラメである。福島、ベラルーシ、韓国スクリーニング症例の平均径を比較した以下図が真実である(ベラルーシはDemidchik Y. et al. 2013)。福島がどちらと似ているか?小学生でも分かる。 http://t.co/5ytgCSu2sE

2014-03-02 03:17:26
拡大
cyborg001 @cyborg0012

「福島の癌は小さい」(鈴木氏)どころか、ゴメリ州山下調査(91-94年、Masahiro Ito et al 96年)よりも福島の最大腫瘍径は大きい。以下図は年齢に応じてゴメリ患者の腫瘍径をプロットし、福島と比較したもの。 http://t.co/bjsswTg8oL

2014-03-02 03:23:57
拡大
cyborg001 @cyborg0012

つまり、「高技術のスクリーニングで小さな癌がたくさん発見。見せかけの多発」ウンタラカンタラは韓国06-08年のケースを指すのであって、福島の多発を説明できていない。福島医科大の先生方が一番よく分かっている。以下図が真実である。 http://t.co/OxJyvPxWZm

2014-03-02 03:30:39
拡大
cyborg001 @cyborg0012

ここからが大事。なぜ腫瘍径にこだわるのかと言うと、「癌はある大きさを超えると成長スピードが上がる」という法則があるから。これを「癌の閾値」と呼びたい。医科大も以下図のように閾値説を採用し、実際に5ミリ超の結節に注意を呼び掛けている。 http://t.co/uau3Cw6pju

2014-03-02 03:37:46
拡大
cyborg001 @cyborg0012

医科大だけでなく、伊藤病院も閾値説を採用している。162人の微小がん患者を手術せず、じっと経過観察してみた。すると、ほとんどの微小癌にサイズの変化はなかった。何と1割は小さくなっていた。 http://t.co/3TYqToxCVA

2014-03-02 03:47:45
拡大
cyborg001 @cyborg0012

甲状腺微小がん伊藤病院論文(Yasuhiro I. et al. 03年)のデータは以下図を参照。初診平均径は6.9ミリ、5年の経過観察を経ても7ミリ。ほとんど変化なし。伊藤病院によれば、微小癌は「無害な癌」で大部分は経過観察でOK。 http://t.co/FCR3b9jLfm

2014-03-02 03:57:34
拡大
cyborg001 @cyborg0012

しかし、これは大人の話だ。子供の場合、癌の閾値は1センチではなく、0.4センチとなる(山下俊一氏)。甲状腺の小容積、小児癌の進行の速さ、などが理由である。(3.11前のまともな)山下氏は小児と成人甲状腺癌の混同をきつく戒めている。 http://t.co/DbyD5rlu1w

2014-03-02 04:08:34
拡大
cyborg001 @cyborg0012

よって、小児と成人甲状腺癌を臨床比較するには、腫瘍径を年齢補正する必要がある(以下図)。大人の閾値1センチ(微小癌の基準)は、子どもでは0.4センチとなる。「子どもには微小癌という言葉は使うな」とは、甲状腺医学の常識である。 http://t.co/S53sCpX84c

2014-03-02 04:17:30
拡大
cyborg001 @cyborg0012

確認すると、「閾値」とは「癌がある大きさになると増殖スピードが上がる臨界点」(福島医科大)である。大人で1センチ、子供で4ミリである(医科大は5ミリに設定している)。福島、ベラルーシ、韓国2症例の平均径に閾値を入れたのが以下図である。 http://t.co/0oUqG5KcBO

2014-03-02 04:28:45
拡大
cyborg001 @cyborg0012

子供の場合、癌が4ミリを超えると進行スピードが上昇する。福島、ベラルーシともに閾値を超えている。これを「無害な癌」(鈴木氏)とは言わない。対照的に、韓国は閾値未満である。韓国とは異なり、福島は即手術が必要な症例(経過観察不可)となる。 http://t.co/TrMCcFfz9F

2014-03-02 04:47:01
拡大
cyborg001 @cyborg0012

さらに、韓国スクリーニング症例との比較を行いたい。韓国では細胞診を経た要手術者46人(平均径5.9ミリ)。有病率では10万人対614人となる。「検査すると小さな癌がたくさん発見される」というスクリーニング効果説を裏付けるデータである。 http://t.co/zTz2p3eVCc

2014-03-02 04:56:21
拡大
cyborg001 @cyborg0012

これはどのくらいの多発なのか?以下の簡単な式(有病率/通常罹患率=多発率)で求められる。福島との比較のために日本の通常罹患率(0-85才以上)を使用しよう(10万人対7.12人)。韓国スクリーニング症例の多発率はおよそ86倍である。 http://t.co/MIJAAxc9Q8

2014-03-02 05:03:31
拡大
cyborg001 @cyborg0012

韓国はスクリーニングで通常より86倍多く癌が発見された。福島では、H23年10万人対42.1人、H24年10万人対42.9人、H25年10万人対20.3人である(東京GIGO氏解析)。同じように多発率を求めてみる。 http://t.co/UEN3AkymrR

2014-03-02 05:07:40
拡大
cyborg001 @cyborg0012

すると、福島ではH23年で通常の200倍、H24年が204倍、H25年が96倍である。平均多発率は167倍である。韓国のスクリーニングでは多発率86倍なので、同じスクリーニング症例との比較でも福島は「多発」と結論づけられる。 http://t.co/t6b8u7W3SJ

2014-03-02 05:11:37
拡大