茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1182回「メインストリームと、ロングテール」
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連続ツイートをお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、約2日くらい前に、「あっ、そうだ」と思ったこと。
2014-03-02 06:53:06
めろ(1)3、4年くらい前か、ツイッターが世間で認知されて、ニコ動が討論番組の媒体として存在感があった頃、地上波テレビはそのうち脅かされる、みたいな雰囲気があった。新聞やテレビのようなメディアは、新しいメディアに押し流される、みたいな気分が確かにあった。
2014-03-02 06:54:30
めろ(2)それが、時代が流れて、ニコ動は普通の媒体になり、ツイッターやフェイスブックのようなソーシャル・メディアだけでは、時代を変えるような「動員」は難しい、という認識が広がっているように思う。いくつかの選挙の結果でも、結局ソーシャルメディア運動は成功しなかった。
2014-03-02 06:55:36
めろ(3)ツイッターのトレンド欄には、結局、地上波テレビ由来のネタが並んでいたりする。政治状況の変化と相まって、地上波テレビ、新聞といった旧来型のメディアと、ソーシャル・メディアの力関係は、インターネット登場以前に戻って、あるいはマスコミ優位の共生関係になったかのようだ。
2014-03-02 06:56:58
めろ(4)しかし、ネット登場以前と同じ状態に戻ったのかと言えば、そうとも言えない。起こっていることを冷静に観察してみると、「メインストリーム」と「ロングテール」の間の構造的な並立がある。地上波テレビで取り上げるネタは、視聴率の問題もあって、「ストライクゾーン」に限られる。
2014-03-02 06:58:38
めろ(5)一方、ネット上では「ロングテール」の豊饒がある。実際、一部の人たちにとっては、地上波テレビのようなマスメディアはすっかり意味を失っている。彼ら/彼女らが参照するのは、それぞれの志向に沿ったネット上の情報であり、それを深掘りすることで、それぞれの世界を構築している。
2014-03-02 06:59:53
めろ(6)新聞が、依然としてメインストリームのメディアであることは間違いない。一方、ネット上にはより深く、広い情報があり、新聞はもはや時代の最先端ではない。テレビも同様。ところが、それでも依然として新聞やテレビが力を持ち続けているという認識が存在するのが、今の状況だ。
2014-03-02 07:01:37
めろ(7)停滞したメインストリームと、先端的で多様だがまとまっては力を持たないロングテールという構造は、そのまま政治状況にも当てはまる。今の自民党政権は国家観、文明観において陳腐である。しかし、その陳腐さに、より先端的なさまざな政治思想は、ばらばらで一つになれず対抗軸とならない。
2014-03-02 07:03:23
めろ(8)新聞、テレビ対インターネットという対立軸は、人々の認識において、小選挙区制の下での政治状況と似ている。実際には多様、豊饒なロングテールがあるのに、「静かな多数派」という幻想が、勝利する。世論調査は、定義により、ロングテールの多様を切り捨てる。結果として陳腐さが支配する。
2014-03-02 07:05:13
めろ(9)メインストリームとロングテールの間のこのような対立を乗りこえるためには、メインストリーム側が、積極的にロングテール側の声を聞くという寛容さを持たねばならぬ。もし、自分たちは多数派だとおごるならば、それは、現代の構造に本質的に対応していないということを意味する。
2014-03-02 07:07:20