【姫空木】み空行く 月の光にただ人目 相見し人の夢にし見ゆる /万葉集 訳:空を渡ってゆく月の光のもとで一度だけ目を合わせた人が、二度も三度も夢に現れるよ。
2014-03-01 21:39:05【姫空木】我が心 焼くも我れなり はしきやし 君に恋ふるも 我が心から /万葉集 訳:私の心を嫉妬で焼くのも私、あの人に恋い焦がれるのも私の心。
2014-03-01 21:40:03【姫空木】塵泥の数にもあらぬ我れゆゑに 思ひわぶらむ妹がかなしさ /万葉集 訳:塵や泥のようにつまらない、物の数にも入らない私のために、辛い思いをしているあなたが愛しいことよ。
2014-03-01 21:42:18【姫空木】我が待ちし秋萩咲きぬ今だにも にほひに行かな彼方人に /万葉集 訳:私が待ちに待っていた秋萩が咲いた。今こそ色に染まりに行こう。川向こうのあの人に逢おう
2014-03-01 21:49:29【姫空木】恋ひ恋ひて逢へる時だに うるはしきこと尽くしてよ長くと思はば /万葉集 訳:恋いて恋い続けてやっと逢えたその時だけでもせめて、うれしい言葉を言って欲しい。少しでも恋を長続きさせようと思っているなら。
2014-03-01 21:51:57【姫空木】高麗錦紐解き放けて寝るが上に 何ど為ろとかもあやに愛しき /万葉集 訳:どういうことなの、宵には来ないでよ。一緒に寝る時間がない。 夜明けごろにのこのこやってきて。
2014-03-01 21:55:34【姫空木】命あらば逢ふこともあらむわが故に はだな思ひそ命だに経ば /万葉集 訳:命があったら、いつかまた逢うこともできるでしょう。私のために思い苦しまないでください。今はただ生きていさえするなら。
2014-03-01 22:01:14【姫空木】君が行く道の長手を繰りたたね 焼き滅ぼさむ天の火もがも /万葉集 訳:貴方の行く手に続く旅路を、 たぐってたたんで焼き滅ぼすような、 天の火がほしい。
2014-03-01 22:04:36【姫空木】天地といふ名の絶えてあらばこそ 汝と我と逢ふこと止まめ /万葉集 訳:世界が滅びるなんて日が来たら 僕らは会えなくなるけれど、 世界が滅びるその時まで 僕らはずっと、一緒だよ。
2014-03-01 22:06:48【蛟】吉野山こずゑの花を見し日より 心は身にもそはずなりにき /西行 訳:吉野山にある一本の梢の花を見てからというもの、私の心は肉体を離れて行ってしまった。
2014-03-03 19:51:38【蛟】数ならぬ心のとがになし果てじ 知らせてこそは身をも恨みめ /西行 訳:あの人にとって数人の中の一人でありながら、私は分不相応の恋をしてしまった。このことは私の心の罪にしてしまって、この思いはあの人に知らせず、ただ我が身を恨もう。
2014-03-03 19:53:40【蛟】惑ひきて悟り得べくもなかりつる 心を知るは心なりけり /西行 訳:これまで惑いながら生きてきたが、悟ることも出来なかったわが心を知っているのは、自分の心だけである
2014-03-03 19:55:01【蛟】浮かれいづる心は身にもかなはねば 如何なりとても如何にかはせむ /西行 訳:だれかを猛烈に好きになってしまうと、身から心が浮きでてしまってどうにもならなくなる。
2014-03-03 19:59:09【蛟】見るも憂し如何にかすべき我が心 かかる報いの罪やありける /西行 訳:見るのも辛くどうしていいか判らなくなる。このような報いを受ける罪を、自分もまた持っているのであろうか。
2014-03-03 20:03:13【蛟】なべてなきくろきほむらの苦しみは よるのおもひの報いなるべし /西行 訳:この黒々とした炎で焼かれるような苦しみは、夜の愛欲の思いの応報であろう。
2014-03-03 20:11:59【蛟】いかでわれ清く曇らぬ身となりて 心の月の影を磨かん /西行 訳:なんとかして清く迷いのない身となって、あなたのように心中に月の光が満ちみちるような努力をしましょう。
2014-03-03 20:23:24【唐紅】思ふこと言はでぞただにやみぬべき 我とひとしき人しなければ /伊勢物語 訳:思っていることを言わずただ止めてしまうのが良い。私と同じ心の人などはないのだから。
2014-03-04 11:57:42【唐紅】狩り暮らし七夕つめに宿からむ 天の川原に我は来にけり /伊勢物語 訳:一日中狩をして暮らしたので、今夜はここの織姫様に宿を借りよう。織姫様が会うという天の川の川原ならぬ天野川の川原に私どもは来たのですからねえ。
2014-03-04 12:06:13【唐紅】寝ぬる夜の夢をはかなみまどろめばいやはかなにもなりまさるかな /伊勢物語 訳:二人で寝た夜のことが夢のように儚くて、家に帰ってからうたた寝をしていると、いよいよ儚いものとなってしまう。
2014-03-04 12:10:00【唐紅】月やあらぬ春や昔の春ならぬ 我が身ひとつはもとの身にして /伊勢物語 訳:月はちがう月なのか。春は過ぎた年の春ではないのか。私だけが昔のままであって、私以外のものはすっかり変わってしまったのだろうか。
2014-03-04 12:14:24【唐紅】おほぬさと名にこそたれて流れてもつひによる瀬はありてふものを /伊勢物語 訳:そんな評判が立ったところで、大幣なら、流れてもいずれ浅瀬に乗り上げると言うでしょう。最後にはあなたのところへ寄り付くことになるものを。
2014-03-04 12:18:59