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論文「『人工知能』誌の表紙デザイン 意見・議論に接して」の紹介+人工知能学会炎上問題【まとめ一覧】

▽人工知能学会の学会誌「人工知能」Vol.29 No.1(2014年1月)がリニューアルにあたって採用した表紙イラストに対して生じた批判と議論について、同誌Vol.29 No.2(2014年3月)で「小特集」が組まれました。 小特集掲載論文の一つ、「『人工知能』誌の表紙デザイン 意見・議論に接して :視覚表象研究の視点から」(池田忍, 山崎明子)の、 @mique さんによる要約をまとめます。 ※なお、これはあくまでも一読者による「要約」であり、論文原著を手に取られることを mique さんは希望されています。 (※2014年7月現在、当該論文はwebでPDF配布されています。)  →▼人工知能 Vol.29 No.2 (2014年3月)|人工知能学会 http://www.ai-gakkai.or.jp/vol29_no2/ 続きを読む
研究者 人工知能学会誌 フェミニズム 人工知能 男女逆だと反応も逆になるまとめ 表現の自由 表象文化論 人工知能学会 公的広報 男女共同参画
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「人工知能」第29巻1号(2014年1月)リニューアル号表紙
笑い猫 @bokudentw
人工知能学会の学会誌 学会誌名の変更と新しい表紙デザインのお知らせ  http://t.co/t1XK7hw5s7  今回採用した女性が中心にいるデザインは、編集委員会および一般からは倒的な1位理事からも2位の支持 http://t.co/5KWMeC2fxT
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 →▼学会誌名の変更と新しい表紙デザインのお知らせ〔2013年12月25日〕|人工知能学会 http://www.ai-gakkai.or.jp/学会誌名の変更と新しい表紙デザインのお知らせ/
 →https://www.ai-gakkai.or.jp/new_name_cover/

  
【「人工知能」Vol.29 No.1(2014年1月)巻頭言】
「学会誌の新しい出発:まだ見ぬフロンティアを目指して
松尾 豊(東京大学)/栗原 聡(電気通信大学)

 人工知能学会の学会誌を、「人工知能学会誌」から「人工知能」と変更することになりました。また、それにともなって、表紙のデザインを一新することになりました。これまでの人工知能学会のイメージからだいぶ変わったデザインに、驚かれた方も多いのではないかと思います。その意図や経緯について書きたいと思います。
〔※略〕
 また、学会誌の名称の変更に伴い、表紙のデザインも変更することにしました。これには、クラウドソーシングを用い、デザインをコンペ形式で募集しました。合計で約100点のデザイン案がわずか3週間の間に集まり、これに対し、理事、編集委員、一般の方(会員も含む)からの投票を行いました。
その結果、今回採用した女性が中心にいるデザインは、編集委員会および一般からは圧倒的な1位理事からも2位の支持となりました。
他に、もっと「おとなしい」デザインもたくさんありましたが、投票で1位になった今回のものは、予想していたものよりもずっと大きな変更を伴うデザインで、正直、学会誌の表紙としてふさわしいのだろうかと悩みました。歴代の会長や現在の会員の方がどう思うだろうかも思い悩みました。しかし、多くの人にアピールすることを考えると、一度は手に取ってみたくなる表紙、ふと目に留めてしまう表紙というのは重要な要素だと思います。一度手に取って中身さえ見てもらえば、その中身に面白さを感じてくれる人もたくさんいるはずです。多くの人に人工知能の魅力や面白さを感じてもらうことは、学会の重要なミッションだと思います。
今回、非常に「挑戦的な」デザインが選ばれたのは、そのことを、人工知能学会に関わる多くの人が潜在的にずっと感じていたのではないかと思います。

 表紙のデザインは、今後、毎号変わっていく予定です。
今回のデザインは、「日常の中にある人工知能」というコンセプトで、掃除機が人工知能になっていることを表しています。
次号以降、どういった表紙で届くのかも楽しみにして頂ければと思います。今後、多くの人に学会誌を読んでもらうために、さまざまな形で学会誌や記事が入手可能になるような試みを行っていく予定にしています。「人工知能」という学会誌が、今後、多くの人に届いて、ますます面白い記事を掲載していけるように、編集委員会一同、尽力していきたいと思います。」

 ※参考: 「人工知能」Vol.29 No.1掲載のリストによると「編集委員」は全52名(男性48名+女性4名)との情報をいただいた。(ただし性別は名前からの推定。)

  
※なお、表紙イラストの選定過程について、次のブログ記事が詳しい。
 →▼人工知能学会の表紙について、会員として調べた/考えたこと〔2014/01/01〕|Thinking Spot http://thinking-spot-robot.blogspot.jp/2014/01/haihai-11111113-lancers-22001-1111-13.html
▽「人工知能学会の会員は2200人いますから、学会員全員に対する本表紙〔Vol.29 No.1表紙〕への有効票の割合は全体の投票の1%~数%程度でしょうか。投票に関わった会員は多くても数%と推測できます。
以上から、「表紙は人工知能学会の会員の大多数によって選ばれたという見方だけは訂正しておきたく思います。
また、これは熟慮を求められる通常の選挙とは異なります。「会員のうち数%が、〔2013年〕11/11-13の仕事の合間に、幅広い読者層にアピールできるデザインを目指して、たたき台となる表紙を選んだ」と捉えるのが、現状をより表していると思います。ここから、表紙の選定が「会員全員の意識を表していたと導くのはミスリーディングだと思います。
 ※補足しますと、編集委員会と理事会の投票がどのように行われたかは、私にはわかりかねます。」

  

2014年1月9日、批判に対する人工知能学会からの応答

 →▼「人工知能」の表紙に対する意見や議論に関して〔2014年1月9日〕|人工知能学会 http://www.ai-gakkai.or.jp/「人工知能」の表紙に対する意見や議論に関して/
 →https://www.ai-gakkai.or.jp/jsai-article-cover/

  

「人工知能」第29巻第2号(2014年3月)発行
flurry @flurry
くだんの人工知能学会誌の次号表紙だそうですわよ。メイド型ロボットがヘーゲルの精神現象学についての文章を読んでいるということだそうなので、次々号はマルクスですね。> http://t.co/0pjNjyKQo1
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ダニール @daneel
人工知能学会誌 2014/3 の小特集「「人工知能」表紙問題における議論と論点の整理」w Tweet分析とかもやってる pic.twitter.com/wFbtF27hWg
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 →▼人工知能 Vol.29 No.2 (2014年3月) | 人工知能学会 (The Japanese Society for Artificial Intelligence) http://www.ai-gakkai.or.jp/vol29_no2/

■小特集:「「人工知能」表紙問題における議論と論点の整理」もくじ

  • 栗原聡・松尾豊 「小特集「『人工知能』表紙問題における議論と論点の整理」にあたって」
  • 池田忍山崎明子『人工知能』誌の表紙デザイン 意見・議論に接して ─視覚表象研究の視点から─
  • 鳥海不二夫・榊剛史・岡崎直観 「『人工知能』の表紙に関するTweet の分析」
  • 大澤博隆 「人工知能はどのように擬人化されるべきなのか? ─人の擬人化傾向に関わる知見と応用─」

  

akemik @mique
今号の「人工知能」に載ってる小特集「「人工知能」表紙問題における議論と論点の整理」読んでる
akemik @mique
12月末に議論が発生、2月6〜10日に小特集3本の原稿受理。ということでとてもタイトな締め切りだったろうなと思う。
池田忍・山崎明子「『人工知能』誌の表紙デザイン 意見・議論に接して ─視覚表象研究の視点から─」(2014)
akemik @mique
池田,山崎(2014)「人工知能」誌の表紙デザイン意見・議論に接して -視覚表象研究の視点から-」 著者はふたりとも日本美術史、視覚文化論そしてジェンダー論がバックグラウンド。そこから想像はできるけど、やはり「批判的な論考を寄せてほしい」という編集委員の姿勢があったそう。
akemik @mique
二人は「今回のデザインが「性別役割分業」を発信、再生産するものであるとする批判はきわめてまっとうである」としている。しかし視覚表象研究の視点から見るともう少し根の深い問題があるのではないか。ジェンダー論を学んだ人であっても表紙の表現を受容する向きも多かった。なぜ受容されるのか。
akemik @mique
表紙デザイナーは「昭和な感じを出すことを意識した」と述べている。機械化による人間的空間の喪失は人間の存在を脅かすという危機感を生む。その危機感に対応するため、人間は機械未来)に対置するものとして人間的((身近な)過去な表象を求めた。この表紙は、その対立軸を利用している。
akemik @mique
表象においてノスタルジック見慣れた様式だと性別役割分業でも心地よいものに転換され、ジェンダー論の知識がある人間が見たとしても記号的判断が鈍ることがある。心地よいイメージの受容を支える美化こそが表象の力のひとつだ。
akemik @mique
この表紙に用いられた様式は、その心地よさによって性別役割分業という過去のイメージを美化し延命する力を備えている。未知の科学技術を受容させるための装置として、ノスタルジアを利用したところ女性と家事労働を自明視してきた過去がそこに含み込まれた。
akemik @mique
過去と親和的な存在として女性身体は選択されており、そのため女性身体を用いていることだけが問題ではなくなっている。機械と人間過去と未来対置という二つの思考をリンクさせているかぎり、「未知の科学技術という新しい表象出会うことはないのではないか。/主に2、3章を要約した。
akemik @mique
4章は、「コミケにあの表紙が並んでいても別に気にならないだろうけど、学会誌の表紙であることが議論の余地がある」という意見に対応すると思う。
akemik @mique
4章/池田,山崎(2014)は、異例とされた表紙イメージも、既にハイアートとされるものにまで共有されているような既視感があるイメージであり、そうした使い古された型を利用した表象の一つにすぎないこのイラストに対して人々がこだわるのは、これが学会誌の表紙だからであるとしている。
akemik @mique
二人は、表紙には内容や発信者の活動が表されるという前提が、表紙の分析研究の存在などから既に共有されていると判断できるとし、受容者がこのイメージに学会の意志展望する未来読み取ることは過剰な反応とは言えないと述べている。
akemik @mique
さらに、批判は学会への期待の反映であり、学会が描く未来が差別を温存する社会であってほしくないという意識から生まれたとしている。
akemik @mique
池田らは、進むべき未来を描くときに、どんな過去を参照しながら再現するのかを模索するとき、それは人工知能学会が考える未来のビジョンを既存のイメージに安易に頼らず考えることによってしか解決できない問題であると締めくくっている。

  

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コメント

akemik @mique 2014年3月7日
いろいろと不備のある要約なので、これはあくまで速報ということで、Web公開後はぜひ原著をお読みください。頭言で言われていたように大胆な論考で楽しかったです!
せいじつなさぎし @yozhiku 2014年8月21日
mique 小特集「「人工知能」表紙問題における議論と論点の整理」掲載論文、web公開されました。PDFで閲覧できます。 → ▼人工知能 Vol.29 No.2 (2014年3月)|人工知能学会 (The Japanese Society for Artificial Intelligence) http://www.ai-gakkai.or.jp/vol29_no2/
online_cheker(舶匝(はくそう)) @online_checker 2016年1月25日
#人工知能 の表紙は #ジェンダー論 的にも、人工知能研究の方向性的にも、アウト。ジェンダーによる役割固定化と、人工知能を具現化させた「形態イメージ」の固定化という二つの固定化弊害。研究者は既成概念を脱ぎ捨てて、もっと野放図に知能を活用すべき。#まなざし村 の人たちはこういう場に切り込むべきだ
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