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井上剛@きっと、誰よりもあなたに本を買ってほしいから。 @winouhe
1) 京都Farewell2014という演奏会に行ってきた。京都の複数の大学合唱団の4回生有志による毎年恒例のコンサートらしい。俺には初耳だが、俺が学生当時はまだ無かったのか俺が3回生までしか実働しなかったので知らなかったのかは不明。ともあれ今年は娘がその一員に名を連ねていた。
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2) 10団から集まった総勢40名程度の、混成の混声合唱団。さすがに練習不足の観はあったが、団の規模と会場の大きさと選曲とがよく親和していて気持ちよく聴くことができた。団員たちの表情も緊張が解れた感じで好感が持てた。
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3) 1st stageは様々な作曲家の作品から選った谷川俊太郎作詩のアラカルト5曲。谷川の詩はどれも、人が無意識で感じていることを思いがけない語彙で言語化してくれて、その歌は聴く者の耳に残る。大学4回生という巣立ちを迎えた歌い手たちの胸中にも強く去来するものがあっただろう。
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4) 2nd stageはポピュラーソング5曲のアラカルト。団員たちは思い思いの私服で溌剌と歌っていた。3曲目が『瑠璃色の地球』。娘が中学高校のコーラス部にいた頃は毎年のように演奏会で聴いたものだ。高校最後の演奏会で同級の仲間たちと手を繋いで歌っていた娘の姿を今も覚えている。
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5) 彼女が大学に入ってからこの曲を聴くのは今日が初めてだったろうか。そして最後でもある。最後に彼女が歌うこの曲を聴くことができて嬉しかった。少し涙ぐんでしまった。隣席の同年輩の女性も何やらこみ上げていたようだが、同じような思いだったのだろうか。
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6) 最終の3rd stageは千原英喜の組曲『みやこわすれ』。女声合唱曲として著名な作品らしいが寡聞にして知らなかった。先般、混声版の編曲がなされたらしくその版での演奏。詩も曲も非常に美しい。いつか再び合唱をやる時があればぜひ歌ってみたいと思った。
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7) 3rd stageが終わり拍手が止むと、指揮者が交代した。アンコールを用意してあるようだ。俺は『みやこわすれ』の余韻に浸っていたので、ああアンコールやるんだ、曲は何だろうな、と深く意識せずにぼんやり思考していたが、ピアノのイントロが始まった瞬間、激しく胸を揺さぶられた。
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8) 谷川俊太郎作詩・松下耕作曲『信じる』。2004年のNHK全国学校音楽コンクール中学校の部の課題曲。娘が中学1年生の時、コーラス部に入部して初めて経験するNコンで歌った曲だった。
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9) たいそう親しみやすく美しい曲で、よく記憶に残っている(というか、Nコンの過去の課題曲のアーカイブサイトで今でもたまに聴いたりしている)。当時、「豚汁食べてよみがえる命」などと替え歌にして娘と笑いあったこともあったっけな。
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10) アンコールにこの曲が選ばれたのは、考えてみればさほど不思議なことではない。いま大学4回生である彼ら団員は、中学生の頃から合唱をやっていたなら、まず間違いなくこの曲を歌っている筈だからだ(大学受験で3浪していたら話は別だが)。彼らの多くにとって、思い出の曲なのだろう。
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11) だが俺には、娘が贈ってくれた感謝の言葉であるかのように思えた。まるで、中学で合唱を始めて最初にこの曲を歌った時から大学で合唱を終える時にもこの曲を歌おうと決めていて、その10年越しの物語が今ここで完結した――そんなふうに思えたのだ。気がつくと俺は人目憚らず泣いていた。
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12) 三週間後には娘も社会人である。いよいよ親の庇護下から離れて、すべて自力で人生を切り開いてゆく時がきた。これからは親としてというよりも、最も身近な人生の先輩として、彼女が参照し続けることができる指標でありたい。その思いを改めて心に強く刻み、俺は会場を後にした。
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13) 楽しい、そして思い出に残る演奏会をありがとう。娘の、および全ての団員たちの将来に、幸いあれ。今日の感謝をこめて心より祈る。

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