芝村裕吏さんの、「ヨーロッパ最弱最低戦闘機と、イタリア最強の戦闘機の話」

ゲームデザイナーであり、軍事にも詳しい芝村裕吏(@siva_yuri)さんのお話をまとめました。第二次世界大戦時のお話です。 次回は空から海へと舞台を移し、イタリア海軍についてのお話です。 http://togetter.com/li/6549
17
芝村裕吏 @siva_yuri

さて、それはさておき そろそろ皆寝たので。軍事な話でもするか たまにはミリオタであることを教えねばなるまい

2010-02-20 00:24:55
芝村裕吏 @siva_yuri

テーマはマッキサエッタのMc200とフォルゴーレでいきますか

2010-02-20 00:33:09
芝村裕吏 @siva_yuri

ヨーロッパ最弱最低戦闘機と、イタリア最強の戦闘機の話をしたい。

2010-02-20 00:34:25
芝村裕吏 @siva_yuri

まず、一人の天才技師の話がしたい。 名前を、カストルディという。 Mcの cは、カストルディのcで、さすがイタリア。設計者名が機体コードに入るなんてしゃれている。

2010-02-20 00:40:05
芝村裕吏 @siva_yuri

あり、まちがった。この人物、イタリアにはたまにいる、天才技師だ。 デザインも考え方も、完全にいけてるタイプの人物だ。 さすがイタリア。 個人レベルでなら世界最強国だ。 が、正解。

2010-02-20 00:47:35
芝村裕吏 @siva_yuri

この人物、水上機レースであるシュナイダーカップで設計してた人でな。イギリスのスピットファイア設計したミッチェルのライバルでもある。

2010-02-20 00:51:01
芝村裕吏 @siva_yuri

イタリアという国は、まあ、しゃれてる国でな。同時に北部は600年に及ぶ工業国としての歴史があり、負けず嫌いで目立ちたがりで、家族を大事にするの国民性から優れた職人も多数生んでいる。

2010-02-20 00:53:49
芝村裕吏 @siva_yuri

この点、たかだか70年の工業国だった日本とは、全然違う。技術面というよりはセンスという点で、実にイタリアは優れていた。 まあ、いまもあんまりかわらん。

2010-02-20 00:56:13
芝村裕吏 @siva_yuri

ところが、似てるところもある。職人気質が多いという、いやんなところだ。これが、両国に残念な結果を生むことになった。

2010-02-20 00:58:38
芝村裕吏 @siva_yuri

具体的に言うと、昔かたぎの職人パイロットによる馬鹿の壁でな。 こいつのおかげで、カストルディはがっかりな目にあう

2010-02-20 01:00:21
芝村裕吏 @siva_yuri

具体的には、技術の進歩や戦術の変化を理解せずに、こうせいああせいと、注文をつける。 おかげで、レーサー設計者が速度重視ではなく、格闘機を作ることになった。

2010-02-20 01:02:37
芝村裕吏 @siva_yuri

で、生まれたのが、日本では隼(一式戦闘機) それより1世代古いけど、イタリアではmc200だ。 mc200は技術的難問があってな、就役がおくれて、まあ、大体同じ世代になった。

2010-02-20 01:05:23
芝村裕吏 @siva_yuri

両者は性能要求が似てるんで、良く似ているんだが、mc200のほうがいささか不利でね。エンジンが1500馬力(出力比15%)近く低いエンジンを使うしかなかった。 でも、速度性能は良く似てる。これはまあ、mc200の優れた設計のせいなんよ。

2010-02-20 01:08:26
芝村裕吏 @siva_yuri

しかしまあ、工業の世界に魔法はない。mc200には速度差を埋めるからくりがあった。 燃料タンクの小ささだ。 これで、重量を軽く出来る。 が、航続距離は大幅悪化だ

2010-02-20 01:10:16
芝村裕吏 @siva_yuri

結果できたものはバッタといわれる大変残念なものでな。 性能は悪くないが、弱かった。地上で補給中にやられるわ。まっすぐ帰るしかないところで待ち伏せされるわで、大変な目にあった

2010-02-20 01:13:42
芝村裕吏 @siva_yuri

あげくに、ライバルの新型機がでてきて、さらに大変なことになった。

2010-02-20 01:14:36
芝村裕吏 @siva_yuri

日本のほうはどうかというと、航続距離が長いのはいいので序盤はよかったが、やっぱりライバルが新型増やすと、負けた。

2010-02-20 01:15:59
芝村裕吏 @siva_yuri

職人気質のパイロットの終わりだね。 日本で愛された名パイロット、南部さんの日記とかは、泣ける。

2010-02-20 01:17:45
芝村裕吏 @siva_yuri

さて、この陳腐化した旧式機をどうしよう。 ここで、日本とイタリアの国の差が出る。 どちらも、エンジンの強力化で対応しようとした。 エンジンのめぼしも、実は同じだった ドイツのエンジンDB601だ。

2010-02-20 01:20:24
芝村裕吏 @siva_yuri

DB601は イギリスのマリーンに並ぶ、傑作エンジンでな。 純粋に性能比較すると、まあ、選択肢はないくらいに優秀なエンジンだった。

2010-02-20 01:23:14
芝村裕吏 @siva_yuri

日本は、和風メッサー(DB601装備のメッサーシュミットにひっかけた)と呼ぶ3式を、次の陸軍主力機にしようとした。

2010-02-20 01:24:59
芝村裕吏 @siva_yuri

イタリアはどうだろう。 はい。ここからが面白いところ。 カストルディはレーサー機設計あがりといったね。 そう、別機とかでなく、Mc200のエンジンを付け替えたんだよ。 本来の性能にたちもどったといってもいい。

2010-02-20 01:28:06
芝村裕吏 @siva_yuri

ライバルのミッチェルが設計してたスピットファイアはマリーンエンジンつんでたので、これにまけていたmc200だったが、ドイツの心臓を得て、ライバルと互角以上の戦いを演じる機体になって帰ってくるわけ。

2010-02-20 01:30:09
芝村裕吏 @siva_yuri

お話的に、ここは格好いいところ。

2010-02-20 01:30:42
芝村裕吏 @siva_yuri

その名をmc202 フォルゴーレという。この改良版である205あわせて、イタリア最優秀機とされる。 職人なパイロットとあわせて、イタリアは誇りを取り戻すことになる。

2010-02-20 01:34:16