茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1195回「数学者の、アナーキーを処方せよ」
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連続ツイートをお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、知的探求は、どうあるべきか、ということについて。
2014-03-15 06:53:56すあ(1)昨日、朝日カルチャーセンターで、前半、科学における歴代の偽造事件をふり返った。シェーン、ハウザー、それから、常温核融合。これらの事件に共通するのは、「追試が成功しない」ということと、「データの使い回し」があるといった特徴である。
2014-03-15 06:55:41すあ(2)発表者が、publicity seekerである(世間の耳目を集めたがる)というのも、多くの捏造事件に共通するポイント。本人たちが最後まで認めない場合でも、追試が成功しないので、結局、これらの結果は科学の歴史に書き込まれることなく、ある半減期で消えていく。
2014-03-15 06:56:54すあ(3)そんな話をした後で、「この表情、どう思います?!」と示したのが、望月新一さんのこの写真。本物の天才の顔。あとで、複数の参加者から、「あの表情よかった」「しびれた」と感想をもらった。 http://t.co/YnCgLSQ8Zm
2014-03-15 06:59:21すあ(4)望月新一さんと言えば、「abc予想」を証明する論文で有名だが、この論文は、ある日、ネット上に、「こんなんできました!」と突然現れた。当然、査読とか、NatureとかScienceとか全く関係ない。ただ、数学があるだけである。 http://t.co/aO74TQsFSC
2014-03-15 07:02:49すあ(5)一つ前のツイートで添付した写真でもわかるように、望月新一さんのabc予想の論文には、ただ、Shinichi Mochizukiとあるだけで、Kyoto Universityという「所属」や、電子メールとか、一切書かれていない。そのあとに、数学の「中身」が書かれているだけ
2014-03-15 07:04:49すあ(6)さまざまな文脈にがんじがらめの生物学と、純粋な論理の世界を追及する数学を比較するのは、酷かもしれない。しかし、Natureに出たとか、ハーバードだとか、そのような「文脈」が幅を利かす世界と、望月新一さんの「こんなんできました」の世界は、あまりにも対照的だ。
2014-03-15 07:05:58すあ(7)ポアンカレ予想を解いたロシアの数学者Perelman(添付写真!)は、フィールズ賞を断って、キノコを採るといって森の中に消えてしまった。数学者というものは、自分よりも能力が低い人が決めた賞など、もらいたくないのだそうだ! http://t.co/xZgLx5zxPm
2014-03-15 07:08:28すあ(8)最近話題になったビットコインは、インターネット上に突然「こんな原理です!」と論文が出た。もちろん、査読も、NatureもScienceも関係ない。著者のSatoshi Nakamotoが誰なのか、未だに不明(望月新一さんという説、先日米国で報じられた人という説がある)
2014-03-15 07:10:39すあ(9)今回の事件で、日本のメディアが一番ださかったのは、Natureとか、ハーバードといった「権威」に恐れ入ったことだろう。田舎臭い。数学者たちは、実質だけしかみない。文脈だらけの現代においてはおとぎ話かもしれないが、解毒剤として、時には数学者のアナーキーを処方するとよい。
2014-03-15 07:12:03