福島県の小児甲状腺検査に関する私見

2014年3月11日の報道ステーションで県や県立医大のやり方への批判が展開され、すぐに県立医大から反論のコメントが公表されました。報ステに対する感情的な反発心・嫌悪感をお持ちの方も多いようですが、自分なりのまとめを一読頂ければ幸いです。
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記述項目

1.福島県の小児甲状腺がん有病率
2.県や県立医大が放射能の影響を否定する理由
3.成人の甲状腺がんスクリーニングの事例
4.早期発見と患者本位の適切な対応を望む
5.環境省のコメントについて
6.情報を公開して患者に寄り添う医療へ
7.第17回検討委員会・Nスペ
8.標準化罹患比
9.標準化罹患比によると福島の罹患率は全国平均より高い!

1.福島県の小児甲状腺がん有病率

今井長兵衛 @medanjin

2011~13年の福島県の子どもの甲状腺がん有病率(人口10万対)は 12.3 (33/26.9万人)で、2008年全国の0~19歳の罹患率の各年齢合計として推定した全国の有病率 6.0の 2.1倍。スクリーニングの影響も考えられるが、原因がどうであれ、早期発見が重要です。

2014-03-12 20:12:06
今井長兵衛 @medanjin

福島県の二次検査結果では「悪性ないし悪性疑い」を一括しています。通常、細胞診でがん細胞が発見されると「悪性疑い」、手術などでがんが確認されると「悪性」とされるようです。福島の甲状腺がんでも同様の取り扱いだとすれば、「疑い」を含めた「人口10万対有病率」は 27.9 になります。

2014-03-13 12:32:26
今井長兵衛 @medanjin

2014年3月11日の報道ステーションの「甲状腺がんは100万人に2~3人しか罹患しない」との報道は間違いです。全国平均で5~14歳の罹患率が10万人あたり・1年当たり0.2人というのが事実です。報ステは「1年当たり」ということを、意図的かどうかは別にして、無視しています。

2014-03-13 21:15:37
今井長兵衛 @medanjin

あれー、福島県立医大のパンフレットにも、小児甲状腺がんの有病率は通常、100万人に1~2人って書いてますね。3.11の報ステでは100万人に2~3人って言ってたので、有病率については両者は同じような考えなのですね。 http://t.co/MsQyAGiymN

2014-03-17 22:17:32
今井長兵衛 @medanjin

今回の報道ステーションの内容には、上記の誤りはあるものの、全般的には有意義だったと思います。感情的に「一方的な報道だ」と非難する人もおられますが、福島県や県立医大からも取材していますよね。ただ、どのような報道番組でも、「編集」は必須ですから、そのつもりで視聴すべきは当然でしょう。

2014-03-13 21:32:17
今井長兵衛 @medanjin

報ステの「おかげ」で、それに対する福島県立医科大学のコメントも出されました。まだ、確認してませんが、この程度の内容の文書がこれまでに公表されていないとすれば、それも問題だなと思います。報ステを視聴した人は、こちらも読んでください。 http://t.co/2pyD8IniE9

2014-03-13 21:50:35

2.県や県立医大が放射能の影響を否定する理由

今井長兵衛 @medanjin

現時点では福島の甲状腺がんと放射線との関係は不確かというのが妥当な考えでしょう。それなのに、県や県立医大が「放射能の影響とは考えられない」と否定的な発言を繰り返すのが不思議でした。HPを読み返してみて分かったような気がします。調査のフレームワークを壊さないためのようです。

2014-03-14 20:35:50
今井長兵衛 @medanjin

下記HPに「2011年10月~2014年年3月末までに、1回目の甲状腺(超音波)検査を実施します。これは、甲状腺への放射線の影響が考えにくい時期に行う現状確認のための検査(先行検査)です。」と明記されています。 http://t.co/vBdfoINPzg

2014-03-14 20:40:55
今井長兵衛 @medanjin

つまり、これまでの調査結果は「放射線の影響が考えにくい時期の結果」であるべきなので、県立医大は放射線の影響を否定するのです。本当は、放射線の影響の有無を検討するより、甲状腺がんの早期発見・積極的経過観察・早期(適期)治療で一人でも多くの人の健康を守るほうがずっと重要なはずです。

2014-03-14 20:59:00
今井長兵衛 @medanjin

その意味では、一次検査で正常高値(結節3.1~5.0 mm)だった1032人、および二次検査で細胞診を受診しなかった1427人の方々が気になります。この人たちが細胞診を受診すれば、「悪性ないし悪性疑い」判定の人が何人か見つかるのではと。素人の杞憂なら有り難いです。

2014-03-14 22:33:54
今井長兵衛 @medanjin

結節の大きさと「悪性ないし悪性疑い」との関係が明らかにされれば、(他の医療機関を含め)細胞診を受診するかどうか人々が判断する資料になると思います。県立医大が生データを独占されるにしても、個人情報保護に抵触しない加工データは積極的に公表し、「民に知らしめ」て下さい。

2014-03-14 22:59:35
今井長兵衛 @medanjin

第14回福島県「県民健康管理調査」検討委員会の議事録では、結節が10 mm 以下の場合は細胞診の必要が無い場合が殆どなので、細胞診は実施せずに経過観察を行うと書かれています。そうすると、当然、「悪性ないし悪性疑い」判定の75人の方はすべて結節10 mm超ということになりますね。

2014-03-15 21:02:38
今井長兵衛 @medanjin

上記の議事録は これです。→ http://t.co/XgNPxyRIBq 甲状腺がんに関する部分は 15頁~26頁 に記されています。

2014-03-15 21:16:36

3.成人の甲状腺がんスクリーニングの事例

今井長兵衛 @medanjin

成人の甲状腺検査の事例では、細胞診で悪性腫瘍とされた割合は、結節 3~10 mmの人で0.65% (23/3535)、11~20 mmで1.90% (22/1159)、21 mm以上で4.23% (12/284) という結果でした。 https://t.co/ubiL91TilN

2014-03-16 14:26:41
今井長兵衛 @medanjin

上記の論文では、1年間に1 mm以上大きくなる結節の割合は、カイ2乗検定で、11~20 mmの結節とそれ以上大きな結節では有意差が無く、両者は3~10 mmの結節より有意に多かったそうです。つまり、10 mm以下の結節は大きくなる速度が有意に小さいと言うことです。

2014-03-16 21:09:10
今井長兵衛 @medanjin

このことは、「結節10 mm以下の人は経過観察」の根拠で、理にかなったものでもあります。しかし、既述のように、結節3~10 mmの人の0.65%が細胞診で悪性腫瘍と判定されています。実際には、大きさだけでなく、結節の位置や血液検査の結果などを考慮して対応が決まるようです。

2014-03-16 21:23:09
今井長兵衛 @medanjin

前ツイの「対応」は、細胞診を受診するか経過観察を続けるかの医療者側の判断のことです。実際はインフォームド・コンセントが不可欠で、結果として医療者側の勧奨に応じない人もおられます。そのこともあって、結節10 mm以下でも細胞診を受診した人がおられ、0.65%が悪性だったわけです。

2014-03-16 22:45:11

4.早期発見と患者本位の適切な対応を望む

今井長兵衛 @medanjin

成人甲状腺がんの事例から分かるように、甲状腺スクリーニング検査だけで「悪性ないし悪性疑い」を全て見つけること(つまり感度100%を達成すること)は不可能と思われます。人々の健康を守るには、細胞診対象者の拡大など、早期発見のための努力が必要と考えます。

2014-03-19 20:54:07
今井長兵衛 @medanjin

そして、がんが発見された人への手厚いケアが不可欠です。第1回「甲状腺検査評価部会」開催報告の議事録にもあるように、セカンドオピニオンあるいはダブルチェックが自由に行える環境作りが大切です。

2014-03-19 20:58:34
今井長兵衛 @medanjin

「県民健康管理調査」検討委員会第1回「甲状腺検査評価部会」議事録が公表されています。セカンドオピニオンあるいはダブルチェックに関する意見は24頁などに記載されています。 http://t.co/KAiChTkCWW

2014-03-29 18:37:19