トーマス・ディクソン『科学と宗教』 島薗進氏による書評の自己紹介

トーマス・ディクソン『科学と宗教』に関する、宗教学者 島薗進氏の書評を 島薗氏ご自身が連続ツイートで紹介しました。
0

學鐙 第111巻 第1号 目次
http://www.maruzen.co.jp/corp/gakuto/

島薗進 @Shimazono

1トーマス・ディクソン『科学と宗教』(中村圭志訳、丸善)の私の書評、『学燈』第111巻 第1号に掲載。http://t.co/QkVOnW7mRK 抜き書きします。「オックスフォード大学出版の入門シリーズの一冊だが、読みやすいと同時に密度の濃い好著である」。(翻訳が優れている)

2014-03-19 08:10:04
島薗進 @Shimazono

2トーマス・ディクソン『科学と宗教』(丸善)書評『学燈』第111巻 第1号「科学と宗教は現代の体系的な世界観や思考法を代表する2つのもので、相互関係も多様かつ複雑である。そこで、一九六〇年代から英語圏では「科学と宗教」という学問領域が成り立つようになった。」

2014-03-19 08:10:17
島薗進 @Shimazono

3トーマス・ディクソン『科学と宗教』書評『学燈』「「科学と宗教」が活発化していく一つの学問領域だというのは興味深い。この論題は過去に十分論じられて筋道が見えてしまったものではない。科学研究にとっても宗教研究にとっても、そして両者が関わる政治や文化の歴史にとっても重要な領域なのだ」

2014-03-19 08:10:38
島薗進 @Shimazono

4トーマス・ディクソン『科学と宗教』書評『学燈』「だから取り上げ得る問題はきりがないほどある。だが、この本は西洋の17世紀以来のキリスト教と科学の関係に的をしぼり、重い意義をもった緊張関係を取り上げて、主要な論点を浮かび上がらせる手法をとり、読者をこの学問領域に引き込んでいく。」

2014-03-19 08:13:50
島薗進 @Shimazono

5トーマス・ディクソン『科学と宗教』書評「この領域の二人の最重要登場人物の科学的業績とキリスト教との緊張関係が生き生きと描かれている。ガリレオ・ガリレイとチャールズ・ダーウィンだ。一七世紀の宇宙論をめぐる葛藤と、一九世紀の進化論をめぐる葛藤が二人の主役が関わった危機的論題だ」

2014-03-19 08:14:20
島薗進 @Shimazono

6トーマス・ディクソン『科学と宗教』書評「だが、これを単純に宗教的世界観と科学的世界観の争い合いと見るのは適切ではない。多くの科学者はキリスト教信仰を保持していた。それは今も続いている。葛藤は宗教的世界観の間の対立とも見ることができるのだ。それが劇的な対立となるについては」

2014-03-19 08:14:46
島薗進 @Shimazono

7トーマス・ディクソン『科学と宗教』「政治的倫理的な論題や社会的葛藤が背景にある」「大きな流れとしては、自然に神が内在すると見る立場と神がこの世を動かすという立場の対立がさまざまな形をとって続いてきたというふうに読むこともできるだろう」http://t.co/zd2ZGnHicp

2014-03-19 08:16:02
島薗進 @Shimazono

8トーマス・ディクソン『科学と宗教』書評「ガリレオとダーウィンをはさむ時代の論題としては「奇跡」が取り上げられている。自然とは別に聖書に現れた啓示があり、それを信じるとすれば今も奇跡が働くという立場に対して、それは「隙間の神」のような無理な論にならざるをえないとの立場が強まる」

2014-03-19 08:16:30
島薗進 @Shimazono

9トーマス・ディクソン『科学と宗教』書評『学燈』「多くを教えられる書物だが、異なる文化環境でこの問題を考えて来たものとして疑問に思う点もある。とくに、自然に内在する聖性に注目した「科学と宗教」についての考察が十分ではないように思う。」(学問史は西洋学問史でよいという考えは根強い)

2014-03-19 08:17:54
島薗進 @Shimazono

10トーマス・ディクソン『科学と宗教』「これは「科学対宗教」の対立図式を排したといいながらも、本書が、一神教だからこそ生じる葛藤に焦点を合わせていることと密接に関連している。だが、そのようなアプローチでは、多くの宗教者や科学者が」 http://t.co/zd2ZGnHicp 

2014-03-19 08:18:29
島薗進 @Shimazono

11トーマス・ディクソン『科学と宗教』書評『学燈』「科学と有神論の両立を信じているという事態をうまく説明できないのではないだろうか」「他にも「科学と宗教」に関わって論じてほしい論題は多いが、そうした諸問題を考える際にも、本書の考察が役立つことは言うまでもない。」  

2014-03-19 08:18:43
島薗進 @Shimazono

12トーマス・ディクソン『科学と宗教』書評『学燈』最新号3月刊。付け加え。「科学と宗教」があらためて大きな研究領域になっているのは、「科学の限界」という問題意識と関わるだろう。科学こそ社会を方向づけると考えられていた時代からの脱却の中での動き。だが、本書はそこは明示されていない。

2014-03-19 08:22:14