戦車小話~赤軍におけるM3中戦車の技術的評価

なんだかやれやれなイメージがある気がするM3中戦車だけど、でも実際どうだったの? というお話を赤軍の視点から
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

M3中戦車ってえと、どうにも「やられメカ」めいた印象を持ってる人も実際少なくないんじゃないかと思います。レンドリース先のソ連でも「“7人兄弟の墓石”なんてあだ名が付けられた」なんていう噂さえもありますが……でも実際のところ、ソ連ではどう評価されていたんでしょう?

2014-03-22 18:22:16
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

当時を従軍した人による個人的感想はしばしば聞かれるところですが、赤軍としてはM3中戦車のことをどう評価していたのか、特に構造的・技術的にはどう見られていたのか、そんなお話を見つけたのでちょっと訳してみたのです

2014-03-22 18:25:08
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

赤軍がいつM3中戦車に対する評価を行ったのかは今一つわかりません。ただ、最初のM3中戦車のレンドリースがソ連に到着したのは42年1月であるらしく、そして今回触れる評価には夏季のテストも含まれていますから、たぶん42年夏以降のものと思います

2014-03-22 18:27:32
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

1. 車体はサイズの面でも形状の面でも近代的でない。 背の高い垂直な車体装甲は(前面を除いて)敵火砲からの防御上好ましくない。 車体の内部容積は7人の乗員の動作にも快適で使いやすい。 (赤軍におけるM3中戦車の評価1)

2014-03-22 18:30:49
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

さらに夏季であれば、自動火器を装備した戦闘員10名を内部に収容することさえできる。 これは戦車を短機関銃兵の輸送に用いることを可能にしている。 この戦車は跨乗兵に対し、戦車の全火器による火力援護を常に提供する可能性を持つ。 (赤軍におけるM3中戦車の評価2)

2014-03-22 18:35:44

20140323訂正

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

M3中戦車の評価について、跨乗兵収容のあたり誤訳してたみたい。どうやら 「跨乗兵に火力援護を提供できる」 でなくて 「兵員の搭乗中であっても、全ての火器の発砲が可能である」 くらいの意味らしく @FHSWman

2014-03-23 17:40:50

訂正おわり

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

側面ハッチからの10人の降車には25~30秒を要す。 側面ハッチは乗員や跨乗兵の搭乗・脱出に使いやすい。 (赤軍におけるM3中戦車の評価3)

2014-03-22 18:36:13
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

(以下わたしの所感) 防御力についてのお話はよく聞くものですが、内部容積の広さに関する意外な好印象と、さらにタンクデサントの可能性について触れているのは意外でした。跨乗兵の数については訳にちょっと自信がなくて、乗員7+跨乗兵10なのか、乗員+跨乗兵で計10人なのか……

2014-03-22 18:39:48
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

側面ハッチについては米軍でも便利だって評価されてましたね。防御上不利ではあれど、乗り降りや補給なんかには扱いやすいんだとか。跨乗兵の乗り降りに便利って評価は米軍には無い観点かも

2014-03-22 18:43:15
. @sdkfz1224

@FHSWman 夏季であれば、ってどういう事なんですかね?

2014-03-22 18:42:05
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

これ以上の説明はなかったんですが、想像するに、冬は防寒着を着込むでしょうから、薄着の夏でないと10人押し込めないって事なんではないかと RT @sdkfz1224_AusfA: @FHSWman 夏季であれば、ってどういう事なんですかね?

2014-03-22 18:46:51
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

2. 視察装置は単純な設計で何の独創性もないが、乗員を小火器から防御するとともに十分な視察能力を与えている (赤軍におけるM3中戦車の評価4)

2014-03-22 18:48:05
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

(所感)これはまあ「そんな感じかなあ」という印象通り。ただ、赤軍のお気に入りになった英軍のMk.IVペリスコープと違って、そう大きな印象を与えた風でもありません

2014-03-22 18:49:58
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

3. 火砲等の武装の配置は、扱いやすさの観点からは満足できるものである。 75mm砲の限定された射界(32度)はこの武器の有効性を限られたものにしている。 (赤軍におけるM3中戦車の評価5)

2014-03-22 18:52:14
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

4. 操縦席左および銃塔の機銃は照準装置を欠いているため正確な射撃が不可能である。 これは戦車の武装の有効性を著しく減じており、このような武装配置の有効性に疑問を生じさせる。 (赤軍におけるM3中戦車の評価6)

2014-03-22 18:54:10
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

(所感) 「武装は悪くないけどもうちょと……」という感じ。意外や、多砲塔戦車に付き物の乗員間の連携困難って話は聞かれません

2014-03-22 18:56:03
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

なお機銃の照準器を欠いているという件については、輸送中か何かの事故で無くなったのではなく、元々M3中戦車にはついてないものだったようです。アメリカ戦車の車体機関銃は普通は照準器がなく、視察装置から曳光弾を見て照準するものが大半でしたので、アメリカ的にはおかしな話じゃありません

2014-03-22 19:00:00
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

5. エンジンは実用上信頼性がある。 星形エンジンは戦車の車高の増大が不可避であるため、戦車への搭載には適していない。 加えて、気化器式のエンジン、特に高オクタン燃料を要求する航空エンジンは戦車用の要求に適さないという点に注意すべきである。 (赤軍におけるM3中戦車の評価7)

2014-03-22 19:02:17
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

戦車のエンジンとして最適なのはディーゼルエンジンである。ガソリンエンジンに比べてトルクが大きく、燃料の品質の観点から経済的、さらに火災が起きにくい点は戦車にとって特に重要である。 (赤軍におけるM3中戦車の評価8)

2014-03-22 19:03:20
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

(所感) 星形エンジンの不利については、アメリカ戦車についてよく言われるところではあります http://t.co/rn6A4Eg1bo R-975エンジンはこんな感じで収まって、確かに車高を増大させている気もするものの、それよりはドライブシャフトの処理が良からん気もしますが

2014-03-22 19:06:35
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

6. 操向装置の制動機構、二重差動機構、潤滑油システムは注目に値する。 実用上信頼性があり、また容易に戦車を操縦することができる。 (赤軍におけるM3中戦車の評価9)

2014-03-22 19:07:51