原発事故による過剰甲状腺癌の推計から、スクリーニング検査の意味を考える。
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2012年7月時点での過剰甲状腺癌の推計
(1)データが不十分な中、studyさんが妥当な仮定や近似を用いて被曝線量評価をし、ICRPの名目リスク係数を用いて過剰甲状腺癌の推計を行っています。ヨウ素131吸入および経口摂取で約200人の過剰甲状腺癌が見積られています。
2014-03-24 12:06:09(2)当時リスク係数の理解が不十分だった私がイマイチなコメントを入れてますが、今になって振り返ると改めてstudyさんのまとめの凄さが分かります。そして2013年にUNSCEARから日本人の甲状腺等価線量の集団線量予測が発表されました。
2014-03-27 16:49:09UNSCEAR2013年報告とICRP名目リスク係数から過剰甲状腺癌を推計
(3)UNSCEAR2013年報告では福島原発事故による日本人の甲状腺等価線量の集団線量はチェルノブイリの1/30である99000人・Svと推計されています。(朝日新聞の医療記事より抜粋) http://t.co/Kt3Ijx1M24
2014-03-27 16:50:25(4)ICRPの名目リスク係数では1万人・Svあたり33人の甲状腺癌の発生が推計されています。つまり303Svあたり1人の過剰甲状腺癌が発生する計算です。 http://t.co/Ogyxnk9oc4
2014-03-24 12:07:15(5)99000人・Svを303Svで割ると327人。もちろん不確実性は伴うものの、福島原発事故により日本では300人程度の過剰甲状腺癌の発生が予想されると言ってよいのではないでしょうか。
2014-03-24 12:07:31(6)チェルノブイリ事故では甲状腺癌は20年以上に渡って増加し続けているので、先ほど見積った約300人の甲状腺癌も長期に渡って徐々に発生してくると考えられます。
2014-03-24 12:07:45[再掲]チェルノブイリ原発事故後の健康問題 表2ベラルーシゴメリにおける小児甲状腺がん登録数(H12山下俊一)グラフ化。事故1年後から(特に事故時10歳以上が)増加し始めてるようにも見える http://t.co/J181U7my http://t.co/yKEhguJQ
2014-03-11 22:33:34(7)↑cavu311さんのグラフを見ると甲状腺癌は4年目から顕著に増加していますが、チェルノブイリ事故後1年目からわずかな増加を認めており、現在福島で見つかっている甲状腺癌の中に被曝由来のものが含まれる可能性も考えておいた方が良さそうです。
2014-03-24 12:08:01(8)チェルノブイリでは過去の疫学データをもとに事故後9年まで甲状腺癌は出ないと言われながら4年目から顕著に増加しました。今回はエコーによるスクリーニング開始が早かったので、被曝由来の甲状腺癌がチェルノブイリより前倒しで見つかることも有り得るでしょう。
2014-03-24 12:08:14成人の甲状腺癌と小児の甲状腺癌を混同する危険性
小児甲状腺ガンは以下のように成人の甲状腺ガンと所見に大きな違いがあり、同様に扱うべきものではない。論文や医学書でも通常、別項目で扱います。このように18年以下の期間で、成人の2~3倍大きな成長と進行を見せるのが小児甲状腺ガン。 http://t.co/Dq8s6BUzWx
2014-03-08 23:09:20(9)↑sivadさんのツイートにある表と、関連する小児甲状腺癌の資料はお勧めです。重要なポイントを、参考文献を添えて分かりやすく解説して下さっています。以下このまとめに関連した4点をツイートします。
2014-03-24 12:08:44(10)小児甲状腺癌は成人と比較して成長速度が早く、リンパ節転移や肺転移や腺外浸潤を起こしやすい。5mm程度の乳頭癌でもリンパ節転移の見られる症例がある。
2014-03-24 12:08:57(11)1歳未満の小児で分化型乳頭癌が見つかった例もある。(成人の甲状腺癌の成長速度を小児に当てはめるのには慎重になった方が良さそうです)
2014-03-24 12:09:09(12)ミシガン大学の1936-1970年と1970-1990年のデータ比較すると、早期発見技術の進歩を反映し最近の方がリンパ節転移は少なく(63%→36%)、局所浸潤も少なく(31%→6%)、肺転移も少ない(19%→6%)。また10年後の予後も改善している。
2014-03-24 12:09:24(13)リンパ節転移や肺転移が多いにもかかわらず、小児甲状腺癌の生命予後は成人よりも良く5年生存率は99.3%、10年生存率は98.5%とされている。(この成績はもちろん治療した場合の話)
2014-03-24 12:09:39(14)↑チェルノブイリでは約5000人の過剰甲状腺癌のうち死亡した人は19人と言われています。拾えていない死亡例もあるでしょうが、被曝由来の甲状腺癌の長期生存率は99%程度で上記と類似しています。(これも治療をした場合の話)
2014-03-24 12:09:58(15)※少し逸れますが「甲状腺癌は探せば多い」も成人の話です。14歳以下の小児ではそのようなデータはどこにもないはずなので注意が必要です。潜在癌の1つの目安として病理学会の剖検データを見てみると、14歳以下での甲状腺癌はゼロです。 http://t.co/5zTsK6SFed
2014-03-24 12:11:05(16)【補足】BEIRⅦ Phase2 表12D-1を見ると、成人より小児の方が放射線による甲状腺癌の発癌リスクが高いことが一目瞭然。 http://t.co/OYgvWCSiBv
2014-03-24 12:11:27