野尻抱介「太陽の簒奪者」2次創作メモ

現場猫教授 @Dr_crowfake

太陽の簒奪者二次創作で、UNSSベックレルとトムソンのクルーたちの話を、野尻抱介文体で書けないものかどうかちょっと考えている。ひたすらドライに、しかし重大な決断を迫られる緊張感をどうやって書くか。ハードル高いけどいつかやりたい。

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「スポークから変形してグレーザーを撃ちまくるとは、予想外だ」「奴らのテクノロジーはそこまで自由な変形を許すのか」「太陽リングの建設の段階で気づくべきことだったな。ともあれミサイル攻撃は失敗だ。ファーストコンタクト艦に任すしかない」「だがファランクスからも否定的な報告が」

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「奴ら、こっちと話し合うつもりはないってことか」「ですね」「プランが有ります」「なんだ」「グレーザー艦を盾にして、ぎりぎりまで近寄って核ミサイルを発射してはどうでしょうか」「危険な賭けだ、グレーザー艦の反射鏡が持つかどうかにかかってる」

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「よしんば持っても、ミサイルが直撃する可能性は低い。さらに、そんな軌道をとったら、俺達は完全に無防備になる」「俺の曽祖父は水雷屋でしたよ。一発必中に全てを賭ける、それが男の心意気だって」「性差別的な発言ね。でもそれしか方法はないと思うわ」「マジか」

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「決を採ろう。GO、NOGO」「GOだ」「GOね」「GOしかないでしょう」「全員一致でGOか。全く、お前たちはイカれてやがる」「人類の命運を託されたのだから、当然です。やらずに後悔するより、やって死に花咲かせたほうがまだましです」「いや、おれは艦長として全員を生きて連れ帰るぞ」

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ということで、グレーザー艦の反射ミラーを縦にして砲撃を防ぎながら至近距離で虎の子の核弾頭をぶっ放すベックレルとトムソン。その攻撃性かを見て「致命的ダメージは与えられなかったか」と落胆するも、ファランクスがファーストコンタクトに成功したと聞いて驚きを隠せない戦隊司令。「何故だ」

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「わかりません、ですが好機です。このまま離脱を」そして彼らは役割を終え――それが人類史上においてどれほど大きな役割だったかは、長い月日をかけて地球に帰還した後になる――英雄となった。だが戦隊司令と各艦長、クルーたちは「自己の責務を果たしただけ」と静かに対応した。

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実際、彼らにはわからなかったのだ――致命弾を与えることが出来なかったにもかかわらず、ファランクスがファーストコンタクトに成功し、ビルダー船が外宇宙に飛び去った理由が。そこに勝利の感情はなく、ただ義務を果たしたという個人的満足と、なぜビルダー船は進路を変えたのかという疑問が残った。

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その情報は国連最高機密として数十年後に公開されることになっていたが、彼らはそれを粛々と受け入れた。「やるだけのことはやった。サイコロの目は良い方に出た。それで何が問題が？」ベックレルとトムスンの奮戦に関して問われる時、クルーたちは決まってそう云ったという。

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そんな二次創作を10年前からぼんやり考えている。太陽の簒奪者手元にないからどうしようかな、買おうかな。