【twitter小説】水中に沈む花#3【ファンタジー】

スキュラの住む観光都市を訪れた二人の観光客。彼らはこの街の名物を観光しに来ましたが、二人はそこでアクシデントに見舞われます。小説アカウント @decay_world で公開したファンタジー小説です。この話は#4まで続きます
減衰世界 Twitter小説 ファンタジー
rikumo 600view 2コメント
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  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-30 16:47:25
     自治体は今日の夜にメギッサの姉を生贄に捧げるという。もう時間が無い。生贄に捧げられる場所はグレイソフィアの神殿だ。スキュラの首長はこの生贄の要求がグレイソフィア神からのものだと思っていた。 60
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-30 16:54:47
     神殿の警備は手薄だった。これは秘密裏に行われている儀式なのであまり大事にはできないということか。メギッサは大きい身体が目立つため、フィルの道具を借りることになった。フィルはメギッサに一つの指輪を貸してくれたのだ。 61
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-30 17:02:04
    「この指輪を身につけていると、皆からの注意を逸らすことができるよ。もちろんはっきり見られたら終わりだけど、ちょっとくらい影が見えたりする程度じゃ気づかれない……一個しかないから失くさないようにね」  指にはめていれば失くすこともないだろう。 62
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-30 17:08:04
     メギッサ達は神殿へと侵入した。警備のスキュラは姿が大きく、こちらからは容易にその場所が分かる。当然武装しており、見つかったらただでは済まないだろう。3人は注意深く警備をすり抜ける。だが、どうしようもない場所もある。 63
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-30 17:14:20
     本殿は湖の地下深くあり、そこまでは1本の洞窟で地上と結ばれている。出入り口は1つしか無く、洞窟の前で槍を交差して警備しているスキュラの戦士の間をすり抜けることは不可能に思えた。 64
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-30 17:19:08
    「いいか、レッド、アレを使うぞ。今が使い時だ」 「しょうがない、やるか」  フィルは懐から一つのカードを取り出した。メギッサは何が何だか分からない。まさか賄賂でも使うのだろうか? 65
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-30 17:24:55
    「メギッサ、君は初めて見るだろう。これは全ての観光客が憧れるという《サウザン=マウンテン=エキスプレス・スーパー・パス》だ。この魔法仕掛けのパスで入れない場所はない。あと5回使える。そのうち1回を君のために使うぞ」 66
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-30 17:29:01
    「えっ……」  メギッサの返事を待たず、フィルは警備兵の元へ歩いていった。そしてパスをかざす。すると、青い光が差して、沈黙に包まれた。交差されていた槍が避けられ、道が開かれたのだ! 67
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-30 17:34:44
    「はやく! 通るぞ!」  メギッサは戸惑いつつも、走り出したレッドの後を追った! 警備兵は確かに何もせず3人を素通しした。この観光客たちはいったい何者なのだろうか? 不思議な指輪やパス……メギッサの想像を超える者たちだ。 68
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-30 17:38:51
    「あなたたちは何者なんです?」 「僕らはただのプロの観光客さ」  それしかレッドは返してくれなかった。すぐ話をしている状況ではなくなったからだ。洞窟を進むにつれ、赤い靄が立ち込めてきたのだ。 69
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-30 17:42:22
    「空中を飛ぶやつもいるのか……一気に駆け抜けるぞ!」  手足に纏わりつつも、水中ほど動きは制限されない。3人は必死に靄の中を走った。やがて……真っ赤に染め上げられたグレイソフィア神殿の本殿が姿を現した。 70
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-31 16:52:08
     3人は神殿の中に入ることにした。普段は誰も入っていけない聖域なのだが、緊急時なので仕方ないだろう。不思議なことに、靄は建物に貼りついているものの中には入れないようだ。かなり息が楽になる。 71
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-31 16:59:42
     重い音を立てて神殿の扉が閉じられた。フィルとレッドは光源を操作し神殿の中を探索する。地下へもぐるようなことは度々あるので、この光源という光る浮遊球はフィルもレッドも所有している。神殿の奥を照らしたとき、酷い光景が目に入った。 72
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-31 17:12:07
     グレイソフィアの神像が壊され床に横たわっていたのだ。これは尋常ではない。 「グレイソフィア様、何があったのです!」  メギッサは彼女に呼びかけてみる。すると、石でできた神像に光が灯った。弱弱しい声が聞こえる。 73
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-31 17:15:19
     3人は神像に耳を当てて彼女の声を聞いた。 「……助けてほしいのです。遥か昔に、何者かがこの湖に化け物を放ちました。水中花の恩恵を手に入れるため……元凶の者が死んでもなお、化け物は居座り続けています。あいつを……どうか倒してください」 74
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-31 17:28:21
     女神の言う所によれば、その凶悪な化け物はこの神殿を乗っ取り、偽りの神託でスキュラの自治体を騙しているという。この神殿内部から追い払うことには成功したものの、化け物は神託で神殿に立ち入らないようそそのかしてしまい、助けが来ないままここにいたという。 75
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-31 17:33:33
    「大丈夫です、私たちが化け物を倒してみせます……たぶん」  自信は持てないものの、メギッサはそう答えた。水中花は数年に一度花が咲き、一夜にして実をつける。その実を横取りするため、この赤い靄が撒かれているという。 76
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-31 17:42:07
     いまは化け物の目的は変わって生贄を求めているようだ。生贄のもたらす力は絶大だ。化け物は、偽りの神から神に近い存在へと成長しようとしているという。グレイソフィアはそんな化け物と戦い続けているが、この神殿を守るだけで精一杯だ。 77
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-31 17:50:36
     グレイソフィアはそのほとんどの力を失っており、3人に貸す力を出すことができないという。だがレッドは笑って言うのだった。 「なぁに、このくらいの難関、観光中にはよく振りかかってくるもんだよ。安心して、きっと水中花を貴女のもとへ取り戻してあげますよ」 78
  • 減衰世界 @decay_world 2013-10-31 17:57:00
     レッドは神像を背中で押し上げて土台にもたれかかるようにして立たせてあげた。そして額の汗を拭うと、気合を入れる。 「靄ばかりで何にも掴めてないからな、まずは奴の本体を探さなくちゃ」 79
  • 減衰世界 @decay_world 2013-11-01 16:49:20
     グレイソフィアは自分の知っている情報を語りだした。靄は化け物の一部に過ぎず、本体は水中花の根元にいるという。近づこうにも、靄の攻撃を食らい溺れてしまうらしい。そのためグレイソフィアはどうすることも出来ず、防戦一方になっているのだ。 80
  • 減衰世界 @decay_world 2013-11-01 16:56:47
    「なるほど……ここは俺達に任せて、君はここに避難しているといいよ。なぁに、こう見えても俺達、結構修羅場をくぐっているのさ。」  フィルも笑って神殿の入口に歩いていく。レッドは立ち止って、振り返ると言った。 81
  • 減衰世界 @decay_world 2013-11-01 17:05:36
    「あ、君たちスキュラは水中でも息が出来るんだよね。靄さえなければ」 「え、ええ。大丈夫ですよ」  それは良かったと二人はハンカチで口を覆う。靄を吸い込むと少し苦しいのだ。そしてもう一度だけ振り返り、手を振った。 82

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