茂木さん朝の連続ツイート2010年11月
オラ(1)オーバーラップ・ゾーンに関するWrangham et al. 2007の論文を紹介する。(http://bit.ly/bUJxFR)。三種の霊長目の行動について、調べた。
2010-11-01 07:59:21オラ(2)動物は、テリトリーをお互いに主張し、殺傷を含む攻撃性(aggression)を示すことがある。この攻撃は、常に同種の個体に対して行われる。
2010-11-01 08:00:19オラ(2)同種の霊長目の異なる群れの、それぞれの「ホーム・レンジ」が重なり合う「オーバーラップ・ゾーン」はあまり利用されない傾向がある。なぜか?
2010-11-01 08:01:06オラ(3)オーバーラップ・ゾーンが利用されない理由として、(a)食糧などの資源が乏しい(b) ホームレンジからの距離が遠いので、移動にコストがかかる (c) 異なる群れが出会った時に、衝突が起こるリスクを避ける という三つの可能性が考えられる。
2010-11-01 08:02:29オラ(4)Wrangham et al.は、このうち、衝突のリスクがオーバーラップ・ゾーンの低い利用頻度の理由となっているという「リスク仮説」を検証した。そのために、衝突リスクの異なる3種の霊長目の行動を野外で観察した。
2010-11-01 08:03:50オラ(4)調べられた三種の霊長目のうち、チンパンジーは、異なる群れがオーバーラップ・ゾーンで出会った時のリスクが最も高い。個体数の多い群れの方が、少ない群れの特定の個体を追い詰めて、殺す行動が見られる。
2010-11-01 08:04:47オラ(5)調べられた三種の霊長目のうち、チンパンジーは、異なる群れがオーバーラップ・ゾーンで出会った時のリスクが最も高い。個体数の多い群れの方が、少ない群れの特定の個体を追い詰めて、殺す行動が見られる。
2010-11-01 08:05:24オラ(6)もし、リスク仮説が正しいのならば、チンパンジーのオーバーラップ・ゾーンが一番小さいはずである。ところが、Wrangham et al.の調査によれば、リスクの程度とは関係なく、オーバーラップ・ゾーンの広さは同程度だった。
2010-11-01 08:06:33オラ(7)この結果は、異なる群れが出会った時の衝突のリスクにかかわらず、オーバーラップ・ゾーンの大きさはほぼ同じであることを示す。そして、霊長目のテリトリー形成において、複数の群れが同一の領域を利用するオーバーラップ・ゾーンが普遍的に見られることが示唆される。
2010-11-01 08:07:45オラ(8)霊長目の行動において、オーバーラップ・ゾーンは普遍的である。では、人間はどうか? 国境線を人為的に確定するという発想が、動物としての本来の行動原理に反する可能性がある。オーバーラップ・ゾーンにおいては二つの群れが行き交っているのが自然の姿かもしれない。
2010-11-01 08:09:11オラ(9)オーバーラップ・ゾーンは、二つの群れの狭間であり、それぞれの群れの個体の出現頻度が低い「空白」。このため、群れから外れて単独で行動するような個体が、オーバーラップ・ゾーンにその棲息のニッチを見いだすのである。
2010-11-01 08:10:30以上、Wrangham et al. 2007 Use of overlap zones among group-living primates: a test of the risk hypothesis についての連続ツイートでした。
2010-11-01 08:11:05夢(2)夢は、脳の機能としては記憶を整理しているのだと考えられている。収納されたさまざまな情報を結びつけ、関連させ、意味を見いだしているのである。
2010-11-02 07:39:27夢(3)夢の中には、過去一週間分くらいの出来事が現れる。時間的、空間的にばらばらに経験されたことを、意味の空間の中で結びつけて編集するのである。
2010-11-02 07:40:24夢(4)河合隼雄さんによると、「夢」は本人にとっては盲点であることが多く、自分では意味がわからない。よく経験を積んだ分析者の方が、かえって本人よりもよく「夢」の意味がわかるのだという。ところが、分析者が本人と親しくなると、盲点を共有してわからなくなる。
2010-11-02 07:41:51夢(5)筒井康隆さんが、人を殺す夢を見た。河合隼雄さんがそれを聞いて、筒井さんは過去に自分を殺したことがあるのではないですかと言った。それで、筒井さんは、俳優になりたいという自分の夢を諦めた若き日を思いだしたのだという。
2010-11-02 07:44:48夢(6)ある時、私の夢の中に赤い服を着た5歳くらいの女の子がでてきた。その話をしたら、河合隼雄さんは「茂木さんの人生で、5年くらい前に始まった何かがありませんか?」と言った。はっとした。出来事が、擬人化されて夢の中に出てくるということがある。
2010-11-02 07:46:05夢(7)人は、普段、生きている中で感情的な無理が溜まっていく。たとえば、お金を借りる相手を、本当は「イヤなやつだ」と感じていても、負い目から「いい人だ」と思い込ませなければならない。そのような矛盾が、夢の中で解消されるのだと河合隼雄さんは言われた。
2010-11-02 07:47:45夢(8)脳の中で神経細胞が活動している「脳内現象」が起きているだけに過ぎないのに、なぜ宇宙の森羅万象を経験できるのか? 夢の意味論は深遠な謎である。「現実の認識」において隠蔽されているミステリーが露わになる。
2010-11-02 07:49:43夢(9)自分の夢に寄り添うことで、二倍、三倍の深みのある人生を送ることができる。河合隼雄さんはそう言われた。無意識を抑圧したり、隠蔽することから人生の不幸が始まる。
2010-11-02 07:50:27競争(1)昨日の「クール・ジャパン」は盛り上った。南條史生さんの素晴らしいプレゼンの後、猪子寿之さん、秋元康さんも本音モードとなり、日本の未来が見えたと思う。
2010-11-03 08:46:10競争(2)あまりにも議論が自由闊達になったので、私が、「これ、中国だったら、ユーストリーム中継が今頃遮断されていますよ」と言ったら、会場が沸いたが、実は真剣な話でもある。
2010-11-03 08:46:57