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レイズ・ザ・フラッグ・オブ・ヘイトレッド #3

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
文学 小説 書籍 ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「レイズ・ザ・フラッグ・オブ・ヘイトレッド」#3
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ニスイは荒んだ少年時代を送った。暗黒メガコーポ各社の下受けであったタカナスター社の違法工場街、コモチャン・ストリートで、4歳から労働に従事。街ぐるみで違法電脳ビジネスを営み、最終的にはその利権を巡り3つのヤクザクランが入り交じる血みどろの衝突の場となった、あの痛ましい事件だ。 2
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
老朽化した集合住宅が乱杭歯めいてひしめくこの一帯には、登記上、電脳工場など存在しなかった。だが一般家庭の室内には、非合法なマニュファクチャリング工場が実際築かれていたのだ。住民全員が共犯者となり、家族ぐるみで違法なハンダ付けや電脳麻薬作成を行い、監視し、外敵に対し自警した。 3
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
この異常閉鎖環境で生まれ育った他のテクノ群生相チルドレンの大半に似て、ニスイもまた、整然とした希薄な自我を有していた。彼らにとっては、監視と警戒が続く重苦しさこそが日常であり、時計の針の音の代わりに定期的に鳴り響く重プレス音を聞いて育った。この境遇に疑いを抱くこともなかった。 4
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
中でもニスイは、飛び抜けて無慈悲であった。8歳の時、彼はオハギ買うカネ欲しさに仲間を裏切り違法抵抗コケシを横流ししようとするクズを偶然発見し、追跡し、射殺した。それは彼の父であった。ニスイは涙ひとつ浮かべることなく、BEEPサイレンを鳴らし、IRCで淡々と事態を報告した。 5
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ニスイにとっては、何も難しい事ではなかった。彼はこの街のシステムの一部であり、重プレス機が唸りを上げ、何の躊躇もなく上下運動を繰り返すように、トリガを引くだけだった。ニスイはその無慈悲さを買われ、ストリートに拠点を持つ非合法通信カラテドージョーで、自警アサシンの教育を受けた。 6
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正規教育を受けていないため、知識面での偏りはあったが、ニスイは賢かった。昼は違法基板作成やタイピング労働し、夜は堕落したセンセイとUNIXのもと、カラテパンチやキックの方法、銃やカタナの扱いを学んだ。しばしば自警団とともに街を外敵や腐敗から守った。彼の瞳は冷たく、澄んでいた。 7
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だが、ニスイが13歳の時。コモチャン・ストリートの暗黒管理体制は、あの電脳麻薬密造トライアングルについて独自捜査を続けていたネオサイタマ市警49課の強制介入により、突如崩壊したのだ。タナカスター社の主導であることは隠蔽されかけたが、NSTVの勇気ある報道特番が、それを暴いた。 8
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
崩壊後、取材班の中心人物であるカンダ・ノボルバシが、ニスイを養子にした。彼はNSTV社員であったが、若きタニグチの才能に惚れ、密かに5人目のメンバーとしてBSCVATMの活動を支援していた男だ。報道特番BGMに使われた楽曲「ウェイク・オブ・アングリー・タナカ」は、実際売れた。 9
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養子として引き取られる前、ニスイはまるで電源を抜かれたUNIXめいて、虚無的な状態にあった。施設で朝目覚め、食事を取り、TV画面を見て、寝る。何故ストリートは崩壊したのか。自分はどうなるのか。ニスイは考えを巡らせたが、ブラックボックスめいた思考雑音が邪魔をした。 10
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報道特番を何度も再生していたある日。ニスイの中で眠っていた何かが、揺り動かされた。ラジオ放送チューニングが偶然合った驚きにも似て、彼は身を乗り出し、ボリュームを最大にした。「ウェイク・オブ・アングリー・タナカ」に秘められた爆発的な全方向性エネルギーが、彼のケツを蹴り上げた。 11
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
全てが噛み合った。ニスイは怒りを知った。そしてその他の様々の感情を知った。そして同時に、自分は暗黒メガコーポの支配下で13年も搾取され続けた事を知った。何もかも遅すぎる、と。だがその時、閉ざされていた施設の扉が開き、光が射した。彼は養子となり、過酷なネオサイタマに歩み出た。 12
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ニスイにとって、ノボルバシとタニグチは、どちらも男ではあるが、両親のような存在となった。彼は学校へ通い、級友らとぎこちない交流を持った。だが僅か2年足らずで、彼は再び父親を失う。ライブ前の不幸なUNIXサンプラー連鎖爆発事故により、ノボルバシは死亡、タニグチは手足を失った。 13
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この痛ましい事故により、BSCVATMは解散を余儀なくされる。追い討ちをかけるように、放送倫理と服務規程違反が突如指摘され、ノボルバシへの労災は下りず、政治的思想を背後に隠したBSCVATMの楽曲が表舞台から追放され始めた。暗黒メガコーポ群のパワーバランスが、変わったのだ。 14
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生死の境を彷徨いながらも、タニグチは口頭でニスイの養子手続きを行い、その後奇跡的な復活を果たした。固い絆で結ばれたネットワークが生き、BSCVATMの熱心なファンでもあるサイバネ職人が、特注でサイバネ義肢を作製した。事故から14ヶ月後、彼は独力でスシを食えるまでに回復した。 15
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7年が経過した。タニグチは退院直後から革命レディオの活動を開始し、軌道に乗り始めていた。21歳のニスイは、二人の父の言いつけ通り、三度目のセンタ試験に臨もうとしていた。途中何度も無力感に囚われたが、クルーに励まされた。革命レディオを全力で支援したかったが、父は許さなかった。 16
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そしてこの夜が訪れたのだ!戦争にかこつけた欺瞞に対して怒りを燃やし、またセンタ試験の対策に無意味を感じた彼は、レディオ収録現場へ向かい、父と喧嘩した。帰り道。廃高速道。タニグチの車が理不尽な攻撃を受けた時、ニスイの瞳は一瞬でアサシンのそれに変わり、カタナを抜いて飛び出した! 17
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おお、夜よ!無慈悲なる夜よ!数メートル先すら視界が通らぬ、激しい重金属酸性雨!ショットガンの銃声!怒号!ニスイは父の方向へ駆けた!カタナを振るい、得体の知れぬバイオ血液の円弧を描いた!だが敵は完全武装のオナタカミ・トルーパーズ16人!上空からは威圧的な漢字サーチライト! 18
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……勝算など皆無だった。それでもニスイは怒りに任せて叫び、カタナを振るった。徐々に体が重くなった。少年時代の彼は、カラテシャウトすら発さず、機械めいて淡々と殺人行為を行えたが、今は不可能だった。彼はトルーパー3人を斬り殺し力尽きた。装甲バン2台は逃がせたが、父は拘束された。 19
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死に物狂いの奇跡的健闘であった。仰向けに倒れたニスイ・タニグチが最後に見たのは、ライオットガンの銃口を突きつけながら彼を見下ろし、無表情に心拍音スキャンを行う、オナタカミ・トルーパーズ6人のヘルメットだった。ニスイは心停止し、バッグに詰め込まれ、チャックで視界を塞がれた。 20
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
バッグは、父親とは別のビークルに乗せられた。このまま処理施設にデリバリーされ、隠蔽される筈であった。だが、死んだ筈のニスイの身体は突如、バッグの中で稲妻に撃たれたかのように痙攣!再び目を開いた!全身に爆発的なカラテが漲った!彼は素手で内側からバッグを引き裂き、身をもたげた! 21
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「「ナンオラー市民!?」」装甲ビークルの後部乗員スペースに乗っていたオナタカミ・トルーパーズが、異常事態を察知して警棒で殴り掛かった。ニスイにとって、それは呆れるほどスローに見えた。ニスイの頭には、ひとつの名前が浮かんでいた。デリヴァラー。その目的は、父を救うことであった。 22
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殺すために、デリヴァラーの心は、少年時代の冷酷な心に戻っていた。彼はカラテシャウトも発さず、素早いカラテパンチで敵二人を殴り、壁に叩き付けた。同時に、片方の敵のホルスターから銃を奪っていた。閉所での戦闘。オナタカミ社製マッポガンMP-IIIK。認証機能無し。オートマチック。 23
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「ザッケコラグワーッ!」体勢を立て直しかけた敵の胸に銃弾を撃ち込む。敵戦闘服は軽度の防刃防弾。貫通力不十分。ヘルメット特に強固。BLAMBLAMBLAM!「アバーッ!」デリヴァラーは胸に淡々と銃弾を撃ち込み殺した。同時に、もう一人の頭部に音も無くサイドキック。「グワーッ!」 24
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2014年4月2日
レイズ・ザ・フラッグ・オブ・ヘイトレッド #1 http://togetter.com/li/646824 レイズ・ザ・フラッグ・オブ・ヘイトレッド #4 http://togetter.com/li/650244
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