#完全ノープラン艦これ与太話 【ナイトメア・ノンフィクション】 #3～#4

春魔解丼 @vespiking

●●●● #完全ノープラン艦これ与太話 ●●●● #KZNPLN

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【ナイトメア・ノンフィクション】 #3 #KZNPLN

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（これまでのあらすじ：羽黒ら『鎮守府最高戦力』の面々を発狂マニアックめいて崇拝する駆逐艦、秋雲。彼女は『最高戦力』に対する、風評被害めいた世論に激しい憎悪を滾らせ、その暗黒感情をひたすらに絵へとぶつける。彼女はカラテ溢れる羽黒らの絵を描き続けた） #KZNPLN

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（胸中で反芻増幅させ、臨界点に達した暗黒感情は、秋雲に禁断の衝動を迫る。重巡羽黒のブラックボックス。敬愛する彼女を瀕死の重篤状態へと至らしめた、その過程の記録。未だ目覚めぬ彼女の、最後の声を聞くべく、秋雲は立ち上がった……） #KZNPLN

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艦娘の船体には、有事の為に音声記録用のブラックボックスが埋め込まれている。ブラックボックスは船体をある程度残存させた艦娘の死体が回収された場合や、瀕死の重症から大規模修理を行うさい、体内から摘出され鑑識に回されるのである。 #KZNPLN

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羽黒のブラックボックスは特Aクラスの軍機だろう。羽黒と交戦した神通が、先の空爆を先導した第三敵勢力であった事は秘匿されている。帝国最高水準の水雷戦隊、その旗艦がテロリストだったなど前代未聞の不祥事だ。敵勢力の正体も依然不明。軍にとって公表するメリットはない。 #KZNPLN

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高度な音声解析が可能であり、摘出後の運搬必要性がなく、漏洩危険の高いハバツ抗争や金銭賄賂に無頓着、かつ機密保護に対し電子的・軍事力的に堅牢強固なセキュリティを保有する集団。秋雲にとって、羽黒のブラックボックス秘匿場所は明白であった。 #KZNPLN

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他ならぬ秋雲自身が、最も信頼と敬服の念を抱く集団。霧島工廠長以下、夕張師匠を擁する世界最高の軍事科学研究施設。この鎮守府の工廠だ。ブラックボックスがあるとすれば、ここ以外には考えられぬ。 #KZNPLN

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秋雲は工廠へと足を踏み入れる。敬愛する師匠や工廠長の人生に、自身のような矮小存在が関与する事を忌避し、無意識に接近を避けてきた霧島工廠の敷地内へ。禁断の聖域へと。 #KZNPLN

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真っ暗な夜の闇に溶け込み、不気味に聳える工学の要塞。秋雲は鎮守府の所属パスをかざし、オートドアを開く。所属パスやゲストパスを持たぬ外部の者が無理にこじ開けようとすれば、巻雲の1万倍の電圧出力を誇る超高電圧プラズマドラム缶によって2秒で船体を通電破壊される。 #KZNPLN

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工廠地上階から地下3階までは、鎮守府所属艦であれば誰でも入ることができる。ここまではリーガルの範疇だ。地上階にブラックボックスはない。関係者以外立入禁止のサンクチュアリ。その正門、工廠地下5階（大日本帝国では通常、4と9のつく階は建造されない）。この先だ。 #KZNPLN

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真っ暗な夜の工廠地下。艦艇の気配はない。霧島工廠長は2階の管理室か、あるいはここより下か。冷え切った室温を肌で感じながら、秋雲は非常階段へ辿り着いた。高電圧プラズマ有刺鉄線が進路を塞ぐ。この階段は緊急避難用であり、平時は致命的トラップによって塞がれているのだ。 #KZNPLN

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プシュー。地下3階で蚊の鳴き声ほどの小さな音。秋雲の耳には当然だが届かない。だが、音の存在は既知である。地下3階のダストボックスに、怪しまれぬよう巧妙に偽装した発煙性ケミカル物質を廃棄したのだ。反応は時限式。じき火災警報が発動する。 #KZNPLN

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ケミカル物質を日常的に扱う霧島工廠では、火災警報が発動してもすぐにはサイレンは鳴らない。かわりに浮遊ケミカル対策ドロイドが亜空間転送によって現場へ急行し、対処可能であれば素早く処置。警報は停止する。対処不可能であればサイレンだ。最先端のオート警報システムである。 #KZNPLN

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秋雲の仕掛けた物質は即時対処の可能なものだ。サイレンは鳴らず、警報は解除されるだろう。だがドロイド作業に悪影響を及ぼすため、一瞬だけ高電圧プラズマはオフになる。その一瞬の隙を突き、秋雲は高電圧プラズマ有刺鉄線を乗り越えた。ここから先は、禁忌の世界。神の領域。 #KZNPLN

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【ノープランが再開だって？】 #KZNPLN

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非常階段の有刺鉄線を超え、工廠地下5階にエントリーした秋雲を出迎えたのは、紺色のメタル壁に緑のLED血管を走らせる、霧島工廠の真の姿であった。（ブッダ！安いコンクリ造りの地上階とは別世界だ！）秋雲は壁に張り付き進む。この先、橙系の着衣に迷彩効果は期待できない。 #KZNPLN

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幸いにもメカニカル要塞廊下にはUNIX演算装置を初めとした遮蔽物が多く、秋雲は監視カメラの網を縫って進む。途中に小部屋を発見し、スルリと中へ潜入。並ぶロッカーから手近な白衣をくすね、カムフラージュする。この姿であれば、遠目からなら多少の誤魔化しが通用するだろう。 #KZNPLN

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秋雲はそのまま廊下を駆け抜けていく。このフロアは実験室が集まっているようだ。壁に滴るカラフルなケモ薬液跡や、メディカル拷問虐殺部屋めいたブキミな実験器具類が秋雲を恐怖させた。（一体、どんな実験を行う場所なのか……）秋雲は恐怖感情をキアイで押さえ込む。 #KZNPLN

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実験室をいくつか抜け、ホールらしき空間に出る。ホールは大型UNIX筐体4つによって『田』のような形に区切られており、『田』の左下隅に廊下入口、上中央にエレベーター。そして、通路を巡るように警備する艦艇が2隻。最奥部エレベーター前には、もう1隻。こちらは動かない。 #KZNPLN

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巡回警備する2隻はハンコを押したような同じ顔、同じ体型、同じ艤装、同じメガネをかけ、機械的巡回を続けている。あまりにも見知った、秋雲が何度も紙の上に描き続けた姿。工廠長霧島と同じ姿である。（クローンキリシマ2隻……！いよいよ警備が厳重だ！） #KZNPLN

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霧島は自身の遺伝子情報を用いた艦霊なしのクローン艦娘『クローンキリシマ』を製造、代替可能な兵力として全世界的に輸出を行っており、世界における大日本帝国の軍事的地位保持に一役買っている。ある程度想定はしていたが、予想以上に配備フロアが浅い。 #KZNPLN

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遮蔽物のためハッキリとは視認できぬが、エレベーター警備艦娘もクローンキリシマだろう。敵は3隻。秋雲に殺害の選択肢はない。それは霧島への崇拝感情ではなく、クローンキリシマのヴァイタルサインが定期的にチェックされる事に由来していた。 #KZNPLN